ワイドなレンジ感と明るいキャラクターが魅力のコンデンサー・マイク

SEIDEPC-X1

一昔前は"コンデンサー・マイクは高い!"というイメージがありましたが、最近では安価なモデルも多く、手軽に入手可能となっています。今回レビューするのは、SEIDEよりリリースされた、これも20,000円を下回る価格帯のニュー・モデル。プロもアマチュアも要チェックです!

ローカットとPADを標準装備
幅広いセッティングに対応


SEIDE PC-X1は直径26mmのラージ・ダイアフラムを搭載した単一指向のコンデンサー・マイク。見た目はマットなブラック・ボディで、大きさはNEUMANN U87よりもやや短く、太くて男らしいデザイン。手に取ってみると、この価格帯にしてはずっしりと重量感があります。ローカット(100Hz以下、−6dB)とPAD(−10dB)スイッチを装備しているので、さまざまなマイク・アレンジに対応できるでしょう。今回は、比較的色付けが少ないAMEK 9098 EQのマイクプリでチェックしました(EQはバイパス)。ヘッドフォンで自分の声を聴いてみた印象では、同じコンデンサー・マイクのSONY C-800Gなどで聴ける、中高域から高域へのヌケの良さを感じました。かといって低域が少ないわけではなく、マイクに口を近づけるとしっかりした近接効果があり、ラージ・ダイアフラムならではの広いレンジ感を持っているのが分かります。NEUMANN系と言うよりAKG系のブライトな印象です。ヘッドフォンから聴こえる自分の声はみけんの辺りにピッタリと定位し、ボーカリストにとっては歌いやすい音像感なのではないでしょうか。マイクの中心から多少ずれても極端にサウンドが変化することもありませんでした。また、スタジオでよく見かけるコンデンサー・マイク、NEUMANN U87AIと比べると中域の密度が少々物足りない感じもありますが、価格差を考えると健闘していると思います。

コンプなどで後処理をしなくても
前に出てくるサウンドが印象的


続いて、アコギでチェックしてみました。ここでは、ホールよりもややネックよりにマイキングして録音。使用したギターの生音は柔らかめでしたが、録音されたアルペジオは音の粒立ちがよく、マイクの持つ明るさとコンプ感がマッチした感じ。ストロークでは高域が若干うるさく感じる部分がありましたが、マイクをボディ寄りに動かし、少し離すと良い結果が得られました。さらにマイクプリを真空管のTELEFUNKEN V76にしてみたところ、気になっていた密度感が増し、奥行きも出ました。MARTINなど出音のバランスが良いギターでは、よりきらびやかに、安価なギターはゴージャスな感じにしてくれる印象です。ピアノなどでアタックを強調して、派手にしたいときにセレクトすると効果的なマイクだと思います。総評ですが、後処理に頼ることなくブライトなサウンドが得られるので、プリプロや自宅録音に使うコンデンサー・マイクとしてはオススメです。この価格帯でローカットやPADが付いているモデルは少ないですし、ビギナーのファースト・マイクとしてもかなりお買い得だと思います。このマイクを使い倒してから、ちょっと高価なマイクにステップ・アップしていくと、マイク録音の面白さが実感できるのではないでしょうか。
SEIDE
PC-X1
オープン・プライス(市場予想価格/17,800円前後)

SPECIFICATIONS

▪周波数特性/20Hz〜20kHz
▪指向性/単一
▪感度/−35±2dB(0dB=1V/Pa 1kHz)
▪出力インピーダンス/100Ω±30% 1kHz
▪外形寸法/53(φ)×152(H)mm
▪重量/530g