4本の真空管を搭載する元気で温かいサウンドが魅力のマイクプリ

GROOVE TUBESSupre
さすが、GROOVE TUBES様!としか言いようがないほどコンセプトのはっきりしているマイクプリ、Supre。なんと言っても、2chのマイクプリながら3Uの大きさなので、その存在感は写真の通りで、すごいの一言に尽きます。合計4基の入出力トランスを内蔵しているためか、重さもそれなりにあり、ずっしりとしています。機器の上から内部がのぞけるのですが、作りがとても丁寧で、クオリティの高さが期待できそうです。

まずはその存在感のあるパネルから。大きく丸いVUメーターが目を引きます。これは左右独立してレンジが調整可能なので、本機の出力を録音する機器、多くはデジタル機器だと思いますが、それらのヘッド・マージンに合わせて0VUがセットできます。そして大きなボリューム・ノブ、通信機のようなこのレトロなつまみに僕的にはやられてしまうのです……。そのボリュームにより72dBまでのゲインを調整できます。

ニッケル・コアのトランスを搭載
マイク入力インピーダンスも切替可能


まずはその存在感のあるパネルから。大きく丸いVUメーターが目を引きます。これは左右独立してレンジが調整可能なので、本機の出力を録音する機器、多くはデジタル機器だと思いますが、それらのヘッド・マージンに合わせて0VUがセットできます。そして大きなボリューム・ノブ、通信機のようなこのレトロなつまみに僕的にはやられてしまうのです……。そのボリュームにより72dBまでのゲインを調整できます。さて、入力部に関して。リア・パネルのMIC入力(XLR)、LINE入力(TRSフォーン)のほか、フロント・パネルにはINSTRUMENT入力(フォーン)と3種類が用意され、MIC/LINE入力ともに−15/−30dBのアッテネーター・スイッチがあります。ほかにも位相反転、75Hzのローカット、48Vファンタム電源、そして使い勝手がよいミュート・スイッチを搭載。すべてのスイッチはボリューム・ノブ同様、昔ながらのガッチャン!というタイプなので、操作をしていて業務用機器のだいご味が味わえます。また、INSTRUMENT入力はMIC/LINE入力より優先され、マイクなどの接続時でも、ギターなどをINSTRUMENT入力端子に差し込むだけでDIセクションが使用可能です。また、これら入力にかかわるスイッチとして、入力インピーダンスの可変スイッチがあります。真空管アンプ内で使われるトランスとして音に定評のあるニッケル・コアを使用したトランスが搭載され、各チャンネルのマイク入力インピーダンスを300/600/1,200Ωに切り替え可能です。これにより、さまざまなマイクの最適なサウンドを引き出せるというわけです。例えば、NEUMANNのU67。実はこのマイクは出力のインピーダンスをマイク内部のジャンパー線で50Ωか200Ωに選択可能なのです。自分の体験から言うと、50Ωの場合は低いインピーダンスで受けた方がゲインも大きく、太いサウンドを得られます。また、リボン・マイクなどのビンテージのマイクはほとんどがローインピーダンスと考えていいと思います。大事なことなので、ぜひ試してみてください。

同社製の真空管による
独自のサウンド


実際に使ってみると、ほかの機器ではあまりお目にかかることができない不思議な体験に出くわすことになります。なんと、POWERスイッチを入れると、まぶしいばかりのブルーのランプが点滅し、その状態が30秒くらい続くのです。その間、ミュート・ランプも点灯しており、機器からは当然、信号は出ていない……本機は真空管ならではのウォーム・アップの時間の事故を防止するために、ミュートする機能が搭載されているのです。んー……まさに業務用です。さて、まずはいつものようにビンテージのFENDER Precision Bassで使ってみました。はっきり言ってやられました! 素晴らしいの一言に尽きます。低域のもちもち感、奥行き感、ズッシリ感は真空管ならではの素晴らしさ。ベースだと若干分かりづらいのですが、真空管の飽和感が感じられ、コンプがかかっているような音になります。次は、なんと言ってもボーカルです。これには若干の戸惑いがありました。非常に明るく元気があるのですが、ベース同様、真空管の飽和感があり、その音を最終的に見込んだ録音が必要になるからです。個人的には大好きな音ですが、決してオールマイティという感じではないと思います。そして、ドラムに関しても同様でかなり元気がある温かい音です。好き嫌いはあると思いますが、これに慣れるといい意味で個性的な自分ならではのサウンドが作れると思います。ちなみに真空管は同社製のGT6922とGT6GH8が2本ずつ内蔵され、通常マイクプリなどで使われている12AXに相当する真空管がGT6922だと思われます。そして、GT6GH8は5極管と3極管が1つになったものなのですが、あまり、マイクプリではお見かけしないので、その辺が独自のサウンドを生み出しているのでしょう。とにかくQUAD EIGHTやNEVEなどとは明らかに違う、無骨でいて、逆にその無骨さに色気を感じられるほどの真空管マイクプリです。20081201-01-002

▲リア・パネル。左からch2ライン入力(TRSフォーン)、ch2マイク入力(XLR)、ch2ライン出力(XLR、TRSフォーン)、ch1マイク入力(XLR)、ch1ライン入力(TRSフォーン)、ch1ライン出力(TRSフォーン、XLR)

GROOVE TUBES
Supre
オープン・プライス(市場予想価格/230,000円前後)

SPECIFICATIONS

▪周波数特性/10Hz〜50kHz(±1.0dB)
▪外形寸法/480(W)×130(H)×430(D)mm
▪重量/13.2kg