新しいスタイルを提案するAIノブ搭載Cubase専用コントローラー

STEINBERGCC121
近年は直感的に作業できるフィジカル・コントローラーの需要が高くなり、さまざまなメーカーからリリースされている状況ですが、この度STEINBERGからCubase専用のモデル、CC121が登場しました。同社が老舗のYAMAHAのグループになってから初の自社製品専用コントローラーとなるので期待感が高まります。

程よい重さで抜群の安定感
スムーズな操作感のフェーダー


まずは外観から。CC121は机の上に置くにはちょうど良いサイズで、アルミ素材のボディはとても高級感があります。また、程よい重さがあるので安定感も抜群です。本機はCubaseのVer.4.5.1、もしくはNuendoのVer.4.2.2以上に対応し、コンピューターとの接続はUSBで行います。ドライバーをインストールし、Cubaseを立ち上げれば自動認識し本体トップ・パネル右上の“CUBASE READY”LEDが点灯していればOK! また、Cubase AI 4も同梱されているのですぐ使い出すことも可能。さて、セットアップも簡単に済ませられたのでここから実際に操作していきましょう。CC121は専用コントローラーというだけあって、Cubaseのチャンネル・セクション、EQセクション、トランスポート・セクションがまさにそのままハードウェア化された作りで、該当ボタンも同様の配色で光るといった細部にわたるこだわりを感じます。左側に配置されたチャンネル・セクションには、フェーダーに100mmのタッチ・センシティブ・モーター・フェーダーを採用。触ってみての感想ですが、“重過ぎず、軽過ぎず”のスムーズな操作感に感心しました。またタッチ・センスの感度も8段階で調整できる点やムービング時の反応も本物志向の作りです。さらに、チャンネル・セクションにはPANやミュート、ソロ、トラック・エディット、インストゥルメント・エディットボタンといったCubaseユーザーにはおなじみのボタンも配置され、選択チャンネルを瞬時に操作できる点はさすが専用機といった感じです。トランスポート・セクションもCubaseのトランスポート部がそのまま移植されており、再生/録音やマーカ間の移動、LOOPなどが、画面上でトランスポート非表示時でも的確に操作可能です。また、すべてのボタンが素早いレスポンスで押したときの感触も非常に良く、サクサクと操作できるので、この点も開発者がユーザーの操作性を十分理解しているなと思いました。そしてEQセクションは、Cubaseの特徴でもある4バンドEQ部を、Q(Q幅)、F(フリケンシー)、G(ゲイン)の3種類、計12基のロータリー・エンコーダーで設定できるようになっています。また、各EQバンドのオン/オフ、ALL BYPASS、EQ TYPEスイッチも搭載されています。

パラメーターを簡単にアサインできる
“ポイント&コントロール”機能


続いてCC121の目玉機能、AIノブの“ポイント&コントロール”について見ていきましょう。この機能はマウスのポインターを操作したいパラメー ターの上に移動するだけでそのパラメーターが自動的にAIノブにアサインされ、値を調整できる優れものです! “マウスを動かしたらそのままクリックして動かせばいいじゃん!”と思う方もいると思います。私自身も実際に操作してみるまでそう考えていましたが、あら不思議。 “右手でマウス、左手にAIノブ”というスタイルで、こんなにモニターから視線を動かさずストレスなく直感的に操作できるのかと非常に感心してしまいました。また、LOCKボタンで操作したいパラメーターの固定も可能でポインターの位置にかかわらずロックしたパラメーターが操作できます。さらにJOGボタンでAIノブがジョグシャトル機能に切り替えられるのでこのスタイルでの作業をしっかりと研究している感じがとても好印象でした。最後に右上のファンクション・セクションです。こちらはプッシュ・ボタン付きのVALUEノブと4つのボタンを備え、さらによく使用する任意の機能を自由にアサインできるので使い勝手は格段に良くなります。またCubaseシリーズ最上位のCubase 4のみの機能”コントロールルーム・ミキサー”もこのセクションで操作可能です。筆者はこの機能を使用してボタン1に3つのスピーカー切り替え、 ボタン2にソース選択、ボタン3にヘッドフォンのオン/オフ、4にDimスイッチ、VALUEノブにはコントロール・ルームのレベルを設定してみましたが、使い勝手の良いモニター環境をとてもコンパクトに作ることができました。ざっと本機の性能を見てきましたが、機能はもちろん、機材としての作りに一番感動しました。さわった時のフィット感や操作時の感触、配置そしてマウスとの併用作業にいたるまで細部にわたり使い手側の立場に着目している、期待通りの製品でした。百聞は一見にしかず。ぜひ店頭のデモ機などに触れてみてください。20081101-04-002

▲リア・パネル。左から電源スイッチ、USB端子、FOOT SWITCH端子(フォーン)

STEINBERG
CC121
オープン・プライス(市場予想価格/50,000円前後)

SPECIFICATIONS

▪外形寸法/284(W)×72(H)×185(D)mm
▪重量/1.5kg

REQUIREMENTS

▪Windows/Windows XP/Vista、INTEL Pentium 1.4GHz以上、512MB以上のRAM
▪Mac/Mac OS X 10.4以降、G4 1GHz/Core Solo 1.5GHz以上、512MB以上のRAM