シンプルなデザインで基本性能をしっかりと備えたMIDIキーボード

CMEM-Key

今回レビューするのはCME M-Keyという49鍵のMIDIキーボードです。非常にシンプルでメタリック・ブルーのボディと右上にある同社のロゴがどことなく懐かしさを感じさせるデザインです。なんとなく子供のころを思い出させる人懐っこい感じがとってもかわいいいです。これだけシンプルなら僕でも使える!......と思いました。新しい機材のセッティングには毎回一晩くらいかかるのでちょっと心配ですが......。

シンプルな操作子配置でも
自由にアサイン可能


早速使おうと思いドライバーをインストールしようと思ったのですが、付属CD-ROMにはARTURIA Analog Factory SEなどのソフト・シンセやMAGIX Samplitude SEなどのバンドル・ソフト7種のみでドライバーらしきものがありません。あれれ? とりあえずAPPLE MacBookにM-Keyをつないでソフト音源を立ち上げて恐る恐る鍵盤を押してみたところ"ポーン""あ!鳴った!すごい!!"最近の機材は大体ドライバーをインストールしたりインターネットで登録したり(大体英語)で非常にややこしいのに、本機はWindow/Macともに自動的に認識されるので、USBケーブルでつなげただけですぐに使えるなんて気分が高揚しました。このM-Keyには49鍵の鍵盤以外にシフト・ボタンとデータ・ボタンが2個、アサイナブル・スライダーとジョイスティックしかなく、ホントにシンプルです。データ・ボタンのプラスはそのまま押すと1オクターブ高く、マイナスで低くなります。シフト・ボタンを押しながら同じことをすると半音単位でトランスポーズします。これは自分の不得意なキーに転調しても転調前と同じ鍵盤で演奏できるので、ライブなどで便利ですね。スライダーやジョイスティックにはボリュームやパン、モジュレーションなどのコントロール・チェンジ情報をアサインできます。鍵盤の上に"Assign Joystick"や"Assign Slider"、そしてコントロール・チェンジ番号などが表記されているので、シフト・ボタンと鍵盤を組み合わせてどこに何をアサインするかを選べます。例えばジョイスティックにボリューム情報をアサインしたいのであれば、シフトキー→"Assign Joystick"と書いてある鍵盤→ボリュームのコントロール・チェンジ・ナンバーである"7"と書いてある鍵盤→"Enter"と書いてある鍵盤、の順番で押していけばいいです。これでボリュームをジョイスティックで操作することが可能になります。

狭いスペースでも活躍できる
コンパクトなデザイン


ベロシティ・カーブはnormal/soft/hard/expandの4種類のモードを用意。"normal" は強弱がリニアに変化するモードで "soft"はゆっくり優しく弾いても強めの音を出すことができます。"hard"ではかなり強く弾かなければ大きな音は得られず"expand"はある程度の弱さで弾いてもそれなりの音が出すことが可能で大きな音を出すには強く弾く必要があるという "soft"と"hard"を混ぜたようなベロシティ・カーブになっています。割とピアノ・タッチを好むのであれば"hard"、普通に打ち込みをしたりシンセを弾くのであれば"normal"、あまり音の強弱のムラを付けたくないのであれば"soft"、ベロシティの強弱で違う音色を出すように設定してあるのであれば"expand"が使いやすいと思います。カーブの変更方法もスライダーなどにデータをアサインするのと同じです。シフト・ボタン→好みのカーブが書いてある鍵盤→"Enter"で設定完了です。また、M-Keyにはペダルが2つまで接続でき、そのペダルにも上記のようにボリュームなどのコントロール・チェンジ情報をアサインできます。シンプルなので一見打ち込み専用っぽい印象がありますが、コントロールしたいデータをうまくアサインしておけばライブでも十分活躍してくれると思いました。そのほか、セミウェイテッドの鍵盤は適度に重みがあって弾きやすかったです。色やデザインなども含めてかわいい雰囲気がありつつもシックで高級感ある作りだし"音楽やってるぜ!"っていういかにもな主張が無いデザインなので生活空間に溶け込むような、インテリアにもなりそうなキーボードだと思います。クラブなどでは場所によってはありえないくらい狭い場所でライブをやらされることもあるのでそのような場所でしっかりキーボード演奏したい場合にも本機はコンパクトなので向いているでしょう。やりたいことがハッキリしている製品は説明書を読まなくても分かるものですね。"シンプルと簡単"というのはとっても大事だと思います。基本的な性能や鍵盤のタッチなど重要なところがしっかり作られている、使い手のことをきちんと考えた製品だと思いました。

▲リア・パネル。左からUSB端子、MIDI OUT、PEDAL A/B用接続端子(共にTRSフォーン)、電源スイッチ

CME
M-Key
オープン・プライス(市場予想価格/19,800円前後)

SPECIFICATIONS

▪鍵盤数/49
▪外形寸法/726.5(W)×58.3(H)×210(D)mm
▪重量/3.2kg