指先でミックスが行える新コンセプトのポータブルDJプレーヤー

TONIUMPacemaker

Pacemakerというハンディ・タイプのDJツールを紹介します。これまでデジタルDJ用のコントロール・ツールは幾つか使ったことがあるのですが、大きくて持ち運びに不便……ということで、このPacemakerのコンパクトなボディにどんな機能が詰まっているのか、見ていきましょう。

軽くてスタイリッシュなボディ
iPodにミックス機能が付いた感覚


箱を開けるとスタイリッシュなデザインの本機が登場。スウェーデン製ということでさすが格好良いです。軽いし小さいのでDJブースに置いても全く邪魔になりません。Pacemakerの構成としては、2つのファイル・プレーヤーとミキサー、そしてエフェクトが入っています。これだけでDJミックスができちゃうってことですね。APPLE iPodのように音楽ファイルを内蔵の120GBハード・ディスクに入れて持ち歩きできるので、ヘッドフォンをつなげて通勤電車の中などどこでもミックスの練習ができちゃうわけです。従来のデジタル・プレーヤーにミキサーやエフェクトが付いた感じでしょうか。音源ファイルはコンピューターで管理する形です。本機をUSB経由でコンピューター(Mac/Windows)と接続するとPacemakerのフォルダーが画面に現れ、開くと本機専用のPacemaker Editorのインストーラーがあります。そのエディター・ソフトを立ち上げ、ファイル(MP3、AAC、AIFF、FLAC、WAV、Ogg Vorbis、SND)を読み込めば準備完了。それらを本体へ転送していく仕組みで全く難しいことはありません。このPacemaker EditorにはEQやフィルター、ループ、リバース機能があるので、ファイルに対して事前にいろいろな仕込みもできます。本体の端子類はメイン・アウトとヘッドフォン・アウトがそれぞれ独立してステレオ・ミニ端子で用意されています。通常のDJミキサーのように、ヘッドフォン・アウトでモニター音を聴くことができるわけです。また本体にはバッテリーが内蔵されており、充電は専用電源ケーブルもしくはUSB経由で可能。充電中にバッテリー容量を数字で表示してくれるところがうれしいですね。

タッチ・パッドでテンポ調整
現場を見据えた即戦力エフェクト


肝心の使い方ですが、本体上下の円形スペースにカラー・ディスプレイとタッチ・パッドを搭載。2つのファイル・プレーヤーをボタンで切り替えながら、タッチ・パッドを指でクルクル触ることでCUEポイントの調整、テンポ変更、ゲイン(音量)のほか、エフェクト、EQなどの操作が行えます。真ん中にある細長いくぼみはクロスフェーダーの役割を果たすタッチ・パッド。メイン用とモニター用で独立して操作でき、各位置をインジケーターで確認可能です。さて、実際にミックスをしてみたところ、タッチ・パッドでのテンポ合わせはとても簡単にできました。自動テンポ合わせはできませんが、ディスプレイに数値でテンポを表示してくれるので手動でも確実に合わせられます。内蔵エフェクトも1系統ながらエコー、リバーブ、ロール、ハイ/ロー・カットなど充実。メイン・アウトの音質はクリアに出ているという印象で問題なく使えます。はっきり言って、これでDJはできます。その機能は十分に備わっています。ただし、独特な操作を熟知すること、またタッチ・パッドがかなり繊細なので指使いも練習が必要でしょう。これからDJを始める方は、まずは本機からというのも悪くないと思います。またブースで本機をいじって、“魅せるパフォーマンス”にも持ってこいでしょう。“コンパクト”“デザイン”“多機能”“コンセプト”が素晴らしい機材です。20080901-03-002

▲底面にはメイン・アウトとモニター・アウト(共にステレオ・ミニ)、電源端子を装備。上面にはUSB端子が用意されている

TONIUM
Pacemaker
オープン・プライス(市場予想価格/89,800円前後)

SPECIFICATIONS

▪再生オーディオ・ファイル/MP3、AAC、AIFF、FLAC、WAV、Ogg Vorbis、SND
▪外形寸法/69.6(W)×164(H)×22.8(D)mm
▪重量/約200g

REQUIREMENTS

▪Mac/Mac OS X 10.4.4(Intel)以降、USB 2.0ポート
▪Windows/Windows XPまたはWindows Vista、USB 2.0ポート