新たにノート・リピート機能を備えたパッド付きMIDIコントローラー

AKAI PROFESSIONALMPD32

筆者はAKAI PROFESSIONAL MPCシリーズにはかなり世話になってきました。人生初のハードウェア・サンプラーMPC3000(若気の至り、勢い余って2台買い!)から始まり、MPC60II、MPC4000、MPC1000とトラック制作においてMPCとは密接な関係を築いてます。そのMPCからパッド部分を切り出したようなMIDIコントローラー=MPDシリーズも、初代のMPD16が出たころにDIGIDESIGN Pro Tools LEでシーケンスを組むようになっていたこともあって、早速導入しました。現在はMPC4000、MPC1000と併用する形で、ソフト・サンプラー用としてMPD24を使っています。そのMPDシリーズの最新機種が、今回紹介するMPD32です。

MPCのような操作感で
MIDI信号などをコントロール


まずは概要から見ていきましょう。MPD32はMPCシリーズで高い評価を得ているベロシティ対応パッド×16、アサイナブル・ノブ×8、そしてアサイナブル・スライダー×8などを備えた、DJ/ミュージシャンのためのUSB MIDIコントローラー。サンレコ読者の皆さんはご存じでしょうが、本機は純粋な“MIDIコントローラー”であるため、本体に音源は内蔵していません。もちろんサンプリングもできませんので、注意してください。MPD32は計64の音色をパッドにアサインできるほか、ノブやスライダー、ボタンにコントロール・チェンジやプログラム・チェンジ、アフター・タッチなどを自在に割り当てられます。また本機を使用して、各種DAWソフトのトランスポートも制御可能。新機能としては、MPCシリーズでおなじみのノート・リピートがついに搭載されました。これで、ソフト・サンプラーでも思うままに連打できます! また、フット・スイッチやエクスプレッション・ペダルの接続端子も装備しているので、スタジオ内での音楽制作だけではなく、ライブでのリアルタイム・パフォーマンスでも力を発揮することでしょう。これにはABLETON Liveユーザーも、興味津々ではないですか?

連打を駆使して
ライブ・パフォーマンスでも活躍!


早速、我が家のAPPLE Power Mac G5にMPD32を接続しチェックしていきましょう。筆者が現在、椎名純平と進行中のプロジェクト「Brazilian Rhyme」のセッションで既に取り込んだキック、スネア、ハット、クラッシュなどのリズム・ネタをソフト・サンプラーDIGIDESIGN Structureに放り込み、異なるリズム・パターンをいろいろと試してみます。MPCシリーズとDAWを組み合わせているトラック・メイカーは筆者の回りにも多いですが、リズムをオーディオで取り込んでアレンジを進める中で“あれ? もしかしてこのリズム・パターンじゃなかったかもな〜”なんて事態はよくあること。そんなとき、異なるリズム・パターンを再度MPCで打ち込んでDAWに取り込み直すのは制作中のインスピレーションを軽〜く打ち消すほどの、何ともテンションの下がる作業です。筆者はMPCの鳴りが好きですが、こうしたアレンジ段階ではオーディオを録り直さなくて済むソフト・サンプラーがやはり便利なので、バランス良く併用しています。こんなときもMPD32を使えば、MPCと同様の操作感で作業が進められるのです。さらに、筆者がSHIBUYA FMで毎週金曜日に出演中の番組“Warp On The Table”の収録にAPPLE MacBookとMPD32を持ち込み、指ドラム的に生でたたいてAPPLE GarageBandやFXPANSION BFD2を鳴らしてみました。同席した本誌でもおなじみのエンジニア、G.M-KAZがGarageBandで鍵盤を弾き、メインMCのChannelがラップして、ジャム・セッション的な収録を敢行。ノート・リピート機能(この操作感はやはりヤバい!)を駆使してのハットやスネアの連打も、イイ感じでしたよ。MPD32は、打ち込みでリズムを入力する際、鍵盤を使ってのプログラミングに少し違和感を感じている人や、最近DAWを導入し、“ソフト・サンプラーってどうなんだろう?”なんて思っているMPC上がりのDJ/トラック・メイカー、逆に鍵盤でずっと打ち込んできて、“MPCっていいグルーブを生むらしいね”なんて思っているミュージシャンに薦めたい機材です。今回使用してみて、制作はもちろん、ノート・リピートを駆使したライブ・パフォーマンスにも向いている機材だな〜と実感しました。今後は自宅スタジオでMPD32、外出用にMPD24という布陣でいこうかなと思います。もともと筆者がMPC好きというのはありますが、MPD32、こりゃ〜絶対に買います!20080801-03-002

▲リア・パネル。左よりUSB端子、MIDI OUT/IN、フット・スイッチ端子1/2(共にフォーン)、エクスプレッション・ペダル端子(フォーン)

AKAI PROFESSIONAL
MPD32
オープン・プライス(市場予想価格/34,440円前後)

SPECIFICATIONS

▪パッド数/16
▪プリセット数/30
▪外形寸法/384(W)×64(H)×308(D)mm
▪重量/2.5kg

REQUIREMENTS

▪Windows/Windows XP/Vista
▪Mac/Mac OS X 10.4以降