スタンドにマウントもできるミキサー内蔵コンパクトPAスピーカー - サンレコ〜音楽制作と音響のすべてを届けるメディア

MACKIE.SRM150

玖島博喜（TEAM URI-Bo）

最近"ストリート・ミュージシャン出身"という言葉をよく耳にします。実際、仕事先で出会ったあるアーティストも今では2,000人近く集客のある人ですが、"もともとストリートでやってました"というくらい、いわば"路上ライブ"が"オーディション"になっているのです。今回はそんなストリート・ライブも見据えた小型パワードPAスピーカーで、ミキサーも内蔵したMACKIE. SRM150をレビューします。

マイク／ギターを問わず接続可能
モニター用としても利用できる

まず驚いたのがその小ささ。通常のストリートなどで使用する小型スピーカーをさらに一回り小さくした感じです。スピーカー・ユニットにはフルレンジ・ネオジウム・ドライバーを使用し、5.25インチ（約133mm）というコンパクトさながら最大出力が150W（クラスDアンプ採用）とパワフル！とても小型スピーカーとは思えませんね。エンクロージャーは衝撃に強いポリプロピレン製。本体上部には持ち運びが楽にできるハンドルが付き、本体の上下にはビス穴が１つずつ空いています。これは付属のアダプターでマイク・スタンドに取り付け、さらに本体上にマイク・ホルダーやスタンドを付けるためのもの。別掲写真のようにマイク・スタンドと一体化する画期的な製品なのです！フロント・パネルにはNEUTRIK製コンボ端子を用いたインプットが２系統あり、それぞれゲイン・ツマミを装備。特筆すべきはこのクラスでお目にかかることのできないファンタム電源（ch1&2一括）が用意されていることで、コンデンサー・マイクもつなげられてうれしい限りですね。ch1にはギターの接続に対応したINSTRUMENTスイッチも完備。さらにch3としてRCAピンのライン・インも１系統あり、ミキサーのインプットは計３系統で構成されます。これらのソースをミックスしてPAすることができるわけですね。なお、アウトプットにはマスター・ボリュームのほかに効きの良い100Hz/12kHzのシェルビングと2.5kHzのピーキングの３バンドEQが付いています。次にリア部ですが、電源スイッチとフューズ・スイッチを装備。このクラスだとフューズが内部にあるのが普通なんですが、飛んでしまったときのリセットが面倒なんですよね。その辺りも現場重視です。そして、コンボ端子のメイン・インとスルー・アウトを装備。これらは通常のライブ・ハウスでの使用を考えたもので、PAからの信号を受け、アーティストのモニター・スピーカーとしての利用も可能なのです！スルー・アウトからは信号をパラレル出力できます。

小規模のPAには十分なパワー
伝達性を考えた周波数特性

では、早速リハーサル・スタジオに持っていきチェックをしましょう！ボーカル・マイクを付けて試してみたいと思います。最初にマイク・スタンドへ本体を設置しますが、アダプターを挿すだけで早い＆簡単です！電源を入れてメイン・ボリュームを12時の位置から始め、２時くらいで十分な鳴りが得られました。驚きのパワー感です。10m離れたくらいでは何の問題も無く聴きとれます。ハウリングも起こりませんでした。ここでもう少しメイン・ボリュームを上げ、２時半くらいで大きい声を入力したり、３時半くらいまで上げてしゃべってみると少々ひずみ感が表れました。同時にこの音量になるとハウリングとの戦いにもなるので、そこまでボリュームを上げるのは避けた方が無難でしょう。ですが、SRM150はたとえ間違って過大入力したとしても、保護リミッター機能が付いているのでスピーカーが飛ぶというトラブルは無いと思います。次はアナライザーを用いて出音の周波数カーブを見てみましょう。資料によれば周波数特性は100Hz〜17.5kHz（−3dB）となっています。実際に計ってみると、小型ということもあって低域は160Hzからなだらかにロールオフしています。また、1kHzと10kHz辺りが少し盛り上がっていますが、PAスピーカーとしての"拡声＆伝達性"を考えれば当然で、聴きやすい音質です。きっと小さなカフェ・ライブや、アコースティック・メインのPAでの使用にも対応するでしょう。小型であるにもかかわらず、さまざまな環境を想定したSRM150。ストリートはもちろん会議のプレゼンなどに使っても全く問題無いでしょう。スタンドに付けられるというアイディアも良く、MACKIE.は本当に素敵だと思います。