コンパクト・オーディオI/O付属のアンプ・シミュレーター・パッケージ

NATIVE INSTRUMENTSGuitar Rig Session

最近はいろんなものがコンパクトになっている。携帯電話でテレビ番組が見られたり、手のひらサイズのコンピューターでいつでもどこでもE-Mailやインターネットが使用できたりと、現代技術には目を見張るものがある。音楽業界も例外ではなく、高性能のままコンパクトになったものは、その携帯性を生かし、他用途で活躍している。今回紹介する、Guitar Rig Sessionも上記のようなコンセプトを持つギタリスト向けコンピューター用レコーディング・システム。では早速、見ていこう。

アンプのイメージを
しっかりと主張するサウンド


まず製品の構成を紹介。中心となるのはギターやベースのサウンドを作るためのアンプ/エフェクト・シミュレート・ソフトGuitar Rig 3 XE。またそのほかにドラム・ライブラリーのPop Drumsと、これを鳴らすための専用プレーヤーKorePlayer、そしてDAWソフトのCubase LE 4もバンドルされる。ハードはオーディオ・インターフェースのSession I/Oが付属する。本機は製品構成でも分かるように、コンパクトで持ち運びが容易な作曲ツール的要素がメイン。他社でもこのようなオーディオ・インターフェースとソフトのパッケージはたくさん出ているが、ほとんどがソフト音源あるいはDAWソフトがメインになるものが多い。しかし本製品は、名前でも分かるようにギター/ベースのアンプ・シミュレーターを全面に打ち出したものだ。ではそのメインでもあるGuitar Rig 3 XEを中心にチェックしていこう。私自身、仕事で同社のGuitar Rig 3を使用しているので比較は容易だと思ったのだが、音のクオリティやつまみを動かしたときのレスポンス、ひずみ具合など、Guitar Rig 3となんら変わらないのである。後で確認したのだが、このGuitar Rig 3 XEはGuitar Rig 3から5つのアンプ、12のキャビネット、21のエフェクトを抜き出した構成の機能限定版で、それらの数以外は全く同じ物とのことだった。音自体も、どのアンプを選んでも素晴らしい。特にひずみ系では"Lead800"がバッキング系やソロなどの用途には万能だ。ややクランチよりのひずみが欲しい場合は"Citrus"がお勧め。クリーン寄りの音から乾いた感じのひずみまでサポートしてくれる。ややファットな感じでクリーンやソフト・ディストーションを得たければ"AC-Box"が最適。落ち着いた感じの音はほかのアンプとひと味違ったものがある。もちろん素材となるギターやベースの元の音のキャラで多少の違いはあるが、シングル・コイル系でもハムバッカー系でもアンプのイメージはしっかりと主張している。もちろんギターだけではなく、ドラムやボーカルなどを少しひずませて張りを出したり、ヘビー・ディストーションでアブノーマルな音作りも可能。エフェクトもかなり良く、ディレイやリバーブ系はアナログのような温かみがありオケになじみやすい。ほかにもフィルター系など面白いものが搭載されている。ちなみにスタンドアローンでの使用以外にもAudio Units、RTAS、VSTのプラグイン・フォーマットに対応する。さらにこのGuitar Rig Sessionはドラム音源も付属されているので、これもまたバンドルされるCubase LE 4を核にして曲作りやアレンジも容易にできるだろう。

2イン/2アウトのSession I/Oは
コンデンサー・マイクも使用可能


もう一つの注目点は、付属するオーディオ・インターフェースのSession I/Oだ、USB2.0接続でコンピューター側の設定さえすれば即使用可能だ。基本仕様は2イン/2アウトで、ライン入力とHi-Z入力(TRSフォーン)が兼用になっており、入力したものに応じてフロント・パネルのInst/Lineスイッチで選択することができる。選んだ状態はトップ・パネルで容易に確認することができ、インプット・レベル・ツマミで設定したレベルもトップ・パネルで確認可能。インプット1には48Vファンタム電源対応のマイク入力(XLR)も装備されているのでコンデンサー・マイクも使用可能だ。アウトプットはライン・アウト(TRSフォーン)とヘッドフォン・アウトが付いており、レベルもおのおの操作できるので非常に使いやすい。音については、同じ素材を仕事で使用しているシステムと比較したのだが、この値段とサイズのものとは思えないくらいのクオリティだ。情報量が多くなると多少のざらつき感は出るが、気にするレベルではない。本当に最近の機械は優秀だ。このようなシステムがあれば自宅はもとより、友達の家に集まってセッション的に曲を作ったりアレンジしたりと、新しい楽しみ方もできるだろう。

▲Session I/Oのリア・パネル。左からライン出力×2(TRSフォーン)、USB2.0接続端子、48Vファンタム電源用スイッチ

NATIVE INSTRUMENTS
Guitar Rig Session
オープン・プライス(市場予想価格/29,800円前後)

SPECIFICATIONS

[Session I/O]
▪インピーダンス/4.8kΩ(マイク)、44kΩ(ライン)、1MΩ(インストゥルメント)
▪外形寸法/360(W)×102(H)×237(D)mm
▪重量/2.6kg

REQUIREMENTS

▪Windows/Windows XP/Vista(32bit)、INTEL Pentium/Athlon XP 1.4GHz、512MB以上のRAM、USB2.0ポート
▪Mac/Mac OS X 10.4以上、G4 1.4GHzまたはINTEL Core Duo 1.66GHz、512MB以上のRAM、USB2.0ポート