USBオーディオI/Oを搭載する高音質で多機能な4chDJミキサー

ALLEN&HEATHXone:42

DJミキサーを送り出しているメーカーとしては後発組にあたるものの、高音質や高耐久性、しっかりした基本設計に加え、システム構成も柔軟に対応できることで"音にうるさい"クラブやDJたちの信頼を得たALLEN&HEATH。同社のDJミキサー・シリーズに、USBオーディオ・インターフェース搭載の新製品が登場。ラップトップ活用のDJが増えている昨今では、非常に歓迎されそうな仕様ですが、その実力やいかに?

ベーシックで分かりやすいレイアウト
各chは2系統の入力から選択可能


早速箱から取り出した瞬間、"よくやった!"と思わず心の中で叫んでしまいました。たびたびクラブで使う同社のDJミキサーは、縦フェーダーの横のスイッチが指に引っ掛かり、縦フェーダーのみでミックスをする僕には少し使いづらさを感じていましたが、本機では縦フェーダーの横にスイッチ類が一つも無い! これだけでかなりうれしくなりました。大まかなレイアウトは非常にベーシックで、すぐ使えそうです。ch1/4はフォノ入力とライン入力を切り替えられ、ch2/3はライン入力ステレオ2系統から1系統を選択可能。各チャンネルには3バンドのEQ/アイソレーター、X:FXセンドつまみなどが並んでいます。X:FXセンドつまみはリア・パネルのX:FXセンド/リターン端子(ステレオ仕様)に接続した外部エフェクターを使用する際にセンド/リターン・レベルをつまみ一つで調整できます。肝心の音質は、非常にハイファイ。中低域はしっかりと腰のある音で、高域は奇麗にハイエンドまで伸びるレンジ感の広い音。また、EQはブースト/カットのカーブが違うのが特徴。ブースト時は、ハイハットやベースなど、現場において"肝"となるところを狙って持ち上げられる感じです。一方、カット時はアイソレーターになり、かなりばっさりとカットできるので、とてもミックスしやすく、腕前が上がった気がします(笑)。右側下部はフィルター・セクション。各チャンネルのFILTERボタンで信号が送られます。HPF、BPF、LPFの3種類で、効き具合は非常に"温かみ"のある印象。VCFタイプのアナログ・フィルターで刺激的ながら音楽的な温かみが感じられます。これは重宝しそうです。

外部エフェクター用のX:FXセンドで
DAWのプラグインへも伝送可能


次はUSBオーディオ・インターフェースをチェック。2イン/2アウト仕様ですが、基本的にはメイン出力であるミックス・アウトや各入力部と内部で接続されているわけではなく、専用のアナログ入出力端子であるUSB AUDIO IN/OUTを介して各入出力端子とケーブルで接続するという方式です。DAWへDJプレイを録音したいときは、リア・パネルのRECORD OUTとUSB AUDIO INを接続します。あるいはUSB AUDIOのIN/OUTとX:FXセンド/リターンをつなぐとコンピューターのプラグインを外部エフェクトとしてDJミキサーの音に掛けることができます! そのほか、外部音源をDAWへの入力ソースとして接続してもいいでしょう。なお、コンピューターからの出力はマイク・チャンネルへ内部的に接続してメイン・ミックスへ出力も可能です。これは左側上部のMIC/USB切り替えスイッチで行います。取りあえず僕のAPPLE MacBookと接続してみました。システム環境設定の"サウンド"メニューでは、本機は"USB Audio CODEC"として認識/表示されるので、出力デバイスとしてそれを選択。試しにiTunesを立ち上げて再生。マイクチャンネルに入力するといとも簡単にDJミキサー経由で音楽が流れてきました。専用ドライバーは不要なので、まさにプラグ・アンド・プレイです。次はMARK OF THE UNICORN Digital Performerを立ち上げて録音してみます。入力デバイスもUSB Audio CODECに。前述のようにRECORD OUTをUSB AUDIO INにつなぎます。これで録音準備はOK。何だかパッチ・シンセみたいで良いですね。Digital Performerの入出力をUSB Audio CODECに設定して録音開始です。ひとしきりDJプレイで曲をつないで録音終了! 早速聴いてみましたが、あっけなくバッチリ録れていました。音質も問題なし! これをこのままiTunesに入れて、あっさりとどこへでも持って行けてしまいます。駆け足でのチェックでしたが、使い方次第でいろんな裏技を発揮できるのでは?という印象を持ちました。使えばそれだけ"技の幅が広がる"ミキサー。あらゆるDJの音楽スタイルにも対応できる作り、そしてやはり一番大切な音質、しっかりした設計でこの柔軟性! 素晴らしい両立を果たした"ネクスト・スタンダード"モデルと言っても過言ではないでしょう。

▲リア・パネル。上段左からステレオ入力4系統(ch1/4はフォノ入力とライン入力、ch2/3はステレオ2系統のライン入力を装備。すべてRCAピン)、ステレオのUSB AUDIO入出力(RCAピン)。下段左から電源インレット、ミックス・アウト(XLR)、ステレオのX:FXセンド/リターン(RCAピン)、ステレオBOOTH出力(RCAピン)、ステレオRECORD出力(RCAピン)

ALLEN&HEATH
Xone:42
オープン・プライス(市場予想価格/200,000円前後)

SPECIFICATIONS

▪周波数特性/10Hz〜20kHz
▪外形寸法/305(W)×84(H)×358(D)mm(突起物含まず)
▪重量/5kg