小型／軽量化を実現した192kHz対応4trポータブル・レコーダー - サンレコ〜音楽制作と音響のすべてを届けるメディア

EDIROLR-44

土方裕雄

ポータブル・レコーダーR-4が、さらに小型軽量化されR-44として登場しました。録音愛好家の間で好評の、同社の小型レコーダーR-09がステレオなのに対し本機は4tr同時録音ができる点が特長。4chサラウンド収録もできる訳です。早速そのサウンドを聴いてみます。

最大24ビット／192kHzに対応し
基本的なエフェクト類も内蔵

まずスペック関連ですが、R-44はSD＆SDHCカードを記録媒体としています。記録媒体用のモーター駆動が無いため野外での収録もスムーズ。同時録音トラックは4tr、最高24ビット／192kHz対応（192kHz時はステレオのみ）で、8GBのSDHCカード使用時には24ビット／192kHzのステレオ録音で115分、あるいは24ビット／96kHzの4tr録音で115分と十分に実用レベルの容量を備えています。記録フォーマットはWAVとBWFで、モノラル各１〜４、ステレオ×１、ステレオ×２、４trの録音モードが用意されています。入力部には4chのファンタム電源対応のアナログ入力（XLR／フォーン）が用意されているためコンデンサー・マイクも使えます。ほかにはステレオ２系統のアナログ出力（RCAピン）、１系統のS/P DIFデジタル入出力（RCAピン）が用意されています。また、R-4には無かったコントロール・シンク端子も装備。２台のR-44をつないで合計8chの録音が可能です。また、USB端子より録音ファイルをWindows／Macへ転送できるようになっています。さらに、かけ録りも可能な３バンドEQ、６バンド・グラフィックEQ、ノイズ・ゲート、エンハンサー、コンプ／ディエッサーなど５種類のエフェクトに加えて、MSマトリクスが用意されており、MS型のマイクで収録した音をステレオに変換することも可能です。そしてR-44は付属のACアダプターもしくは単三電池×４本（R-4は８本でした）で駆動することで、ランニング・コストの低価格化を実現しています。重量は1.3kgなので、ストレスを感じることなく、ますます手軽に野外録音が楽しめそうです。

192kHz録音のリアルさ
操作性の良さも決め手

R-44を持って早朝に近くの公園に出かけました。4ch同時録音の機能を生かして、4trモード＆24ビット／96kHzで野鳥の声を狙ってみます。本機にはステレオ・マイクも付属していますが、今回は筆者がよく使うSENNHEISER MKH70とMKH60、MKH30×２を使用。XLR入力に接続してファンタム電源を供給します。フロント・パネルのSENS LEVELツマミで入力レベルを合わせ、視認性の良い有機ELディスプレイを見ながら内部ミキサーでモニター調整もできます。また新たな機能として、RECボタンを押す数秒前から録音を開始できるプリレコーディング（何秒前かはモードによって異なる）が追加されているので、この機能をアクティブに。さらに24ビット／192kHzでも録音してみました。収録したサウンド・ファイルはディスプレイを見ながら各種ボタン類を操作して選択することができます。編集機能も充実しており、操作はR-4同様至ってシンプル。デジタル・レコーダーを使ったことのある人なら初めて触ったとしてもすぐにマスターすることができるでしょう。さて、持ち帰った収録素材をUSB経由でコンピューターへコピー。早速録音データをDAWに張り付けてスタジオ・モニターで再現してみます。4trモードで収録した音はS/Nが良く、公園の臨場感が見事に再現されていました。野鳥の声もリアルです。鳥の声は歯切れ良く、とてもクリアです。マイクプリは中高域寄りの明るいキャラクターでした。次にステレオ×１モードの音のチェックですが、24ビット／192kHzのサウンドは密度が濃くて、たとえステレオでも立体感を感じさせます。本機を使う方は、ぜひ192kHzでの録音を試してみてください。R-44は軽量コンパクトで、フィールドでも機材を携帯しているという意識を全く持たずに収録に専念できます。24ビット／192kHzのハイクオリティなサウンドで長時間収録ができるので、手の平サイズのレコーダーよりもワンランク上を求めている人にとって、新たな選択肢の１つとなるでしょう。ますます録音が楽しくなりそうです。 20080501-03-002