最小のPro Tools LEシステムの構築を可能にしたインターフェース

DIGIDESIGNMBox 2 Micro

コンピューターのデスクトップとラップトップとのスペックの差が年々縮まっている昨今、システムの小型/軽量化に命をかけている自分としてはまたまた悩ましい選択肢の登場。自身も今でこそ平素からDIGIDESIGN Pro Tools M-Poweredとラップトップの組み合わせで完全にモバイル・スタイルの作曲/トラック・メイクを可能にしていますが、ここに至るまでの歴史はかなりの道のりでした。時は流れて、自身のシステムはタバコ箱サイズのオーディオ・インターフェースM-AUDIO Transit USBにやっと落ち着いたと言うときに、このMBox 2 Microの登場です。

USBメモリーを思わせる小さなボディ


ミックスやトラック・メイクに特化USBメモリーを一回り大きくしたようなこんな小さなボディのリア・パネルに、ボリューム・ホイールとヘッドフォンのミニ・ジャック端子が!? ルックスも最近の同社のイメージ・カラーであるブルーをあしらったアルミのヘア・ラインが美しく、ガジェット好きな自分のハートをくすぐる質感。早速自分のAPPLE PowerBook G4にPro Tools LE Softwareをインストールして本機を使ってみました。ちなみに対応OSはMac OS X 10.4とWindows XP。現状の付属のソフトはDIGIDESIGN Pro Tools LE 7.3ですが、2008年初頭には最新バージョンの7.4が付属するとのこと。最新バージョンDIGIDESIGN Pro Tools LE 7.4へのアップグレードは同社のWebサイト上から可能です。それでは、まず基本的な動作や音質がどんなものかチェックしてみたいと思います。このMBox 2 MicroをUSB端子に接続し、録音してみようとしたところ、本機は何と再生専用。編集やミックスに特化したインターフェースと言えます。想定される具体的な用途としては、以下のような例が挙げられると思います。
■既にレコーディング済みの歌や楽器のエディットを自宅や出先で行いたい
■APPLE iTunesやサンプリングCDなどからサンプリング素材を取り込んで、ソフト音源なども使ってトラック・メイクをしたい
■事前に仕込んでおいたライブ音源を現場でエディットしたりEQなどで音作りしたい
■会議室などスタジオ以外の合わせの場で曲のサイズやキーの相談/変更をしたい以上のように、音の素材を直接録音せずに済むセッションであれば、プロの最前線で使用されるPro Tools|HDと全く同じ操作感/プラットフォームで作業が可能です。なにより、USBバス・パワーで電源が不要という点は利便性に大きく貢献していますね。ここまでくるとPro Tools LE Softwareやソフト・シンセなどをすべて外付けのハード・ディスクに入れて起動ディスクにし、このMBox 2 Microとハード・ディスク、それに使い慣れたトラック・ボールだけを持って、外部スタジオのコンピューターを借りて自分のシステムでバリバリ作業したり......などとまで考えてしまいます。ソフト自体の使用感は完全にほかのPro Tools LEシステムと変わりないので割愛させていただきますが、ミックスやマスタリングに使用できるプラグインもBOMB FACTORYやDigiRackシリーズ、それにソフト音源のXpand!など計45種類と豊富に付属しており、とりあえず本当にサクサク動いてくれます。

24ビット/48kHzでの再生をサポート


同社の上位システムとの互換性も抜群続いて、肝心な音質の部分について触れていきます。さすがに出力がステレオ・ミニジャックだから......とは言え、24ビット/48kHzの再生をサポートしているので、ヘッドフォンでの使用は問題なしです。さらにスタジオでラージ・モニターやニア・フィールド・モニターに接続して鳴らしてみましたが、もちろん同社の192 I/Oほどの解像度やS/Nの質とまではいかないものの、実作業では全くそん色のないサウンド・クオリティと言えるでしょう。特にプロのレコーディング現場においては、MBox 2 Microで制作した楽曲は、コンピューター内でバウンスして外部レコーディング・スタジオに設置されているPro Tools|HDシステムに移して仕上げの作業を行うことになるでしょうから。ちなみにこの本機で作業したセッションをバウンスして、DIGIDESIGN Pro Tools|HDシステムにインポートして鳴らしてみたら、確かに同じセッションでもよりプロフェッショナルな解像度の高い響きを得ることができました。本機は、音楽制作におけるエディットや、トラック・メイクなどの仕込みやアイディアのスケッチ、プリプロへの使用から、本チャンのセッションへの移行の簡潔さも含め、非常に完成度とお気軽度の高い、そしてお財布に優しい素敵なツールだと感じました。後は本当に"Micro"なので無くさないように注意、です!

▲リア・パネル(原寸大)。左からボリューム・ホイール、ヘッドフォンおよびスピーカー・モニタリング・システム用のステレオ・ミニ出力ジャック。なお、本体が取り付けやすいように延長用のUSBケーブルも付属する

DIGIDESIGN
MBox 2 Micro
オープン・プライス(市場予想価格/29,800円前後)

SPECIFICATIONS

▪周波数特性/20Hz〜20kHz@-2/0dB
▪サンプリング周波数/44.1kHz/48kHz
▪推奨ロードインピーダンス/2kΩ
▪ダイナミック・レンジ/103dB
▪外形寸法/89(W)×32(H)×11(D)mm
▪重量/33g

REQUIREMENTS

▪DIGIDESIGNが動作確認を行ったWindows XPまたはMac OS X 10.4ベースのコンピューター
▪768MB以上のRAM(1GBを強く推奨)
▪ソフトウェア・インストール用DVD-ROMドライブ
▪空きUSBポート(USBハブ接続は非サポート)
▪1,024×768以上の画面解像度