
見た目から既に楽しそうなミキサーが登場!今や老若男女を問わず、圧倒的な所有率を誇るポータブル・プレーヤーAPPLE iPod(別売)を装着することによって、このクラスのミキサーでは世界初であるiPodへのレコーディングやプレイバックなどのコントロールを可能にした8chコンパクト・ミキサー、IMultiMix 8 USB。早速いじり倒してみましょう!
アナログ卓として十分な仕様
さらにiPod用トランスポートを装備
まず入出力端子から見ていきましょう。端子はパネル左上にまとめられており、ライン入力(フォーン)×8、ギター入力(フォーン)×2、マイク入力(XLR)×4、AUXセンド(フォーン)×2、AUXリターン(フォーン)×4、メイン・ミックス出力(フォーン)×2、CTRL出力(フォーン)×2、テープ入力(RCAピン)×2、テープ出力(RCAピン)×2、ヘッドフォン出力×1という構成になっております。なお、リア・パネルには後述するUSB端子×1も装備しています。8chミキサー部分は、各チャンネルに3バンドEQを装備。マイク入力を備えたch1〜4(ch5/6、7/8はライン入力のみ)にはヘッド・アンプを内蔵し、またファンタム電源も供給可能。またch1/2には先述のギター入力も装備されており、ラインとマイク/ギター入力をスイッチで切り替えできます。これだけでもミキサーとしての用途は十分ですが、さらにリバーブ、コーラス、フランジャー、ディレイといった100プログラムの28ビット・マルチエフェクターを1系統搭載。ミックスに欠かせないエフェクターが最初から内蔵されているのはうれしい限りですね。仕様を見たところで、本機最大の特徴であるiPodとの連携をチェックしていきましょう。まずはパネル右上のiPod差し込み口にiPodを装着します。ここで注意したいのが、IMultiMix 8 USBで使えるiPodは5世代目のiPodと2世代目のiPod Nanoということなので、購入してから"オレのiPodじゃ使えない!"ということがないように、あらかじめ自分のiPodを確認しておきましょう。話がそれましたが、iPodを装着してIMultiMix 8 USBの電源を入れると、iPodが充電の状態に入ります。そして右下のトランスポート部にあるボタンでiPodを操作するわけですが、MENUボタンやENTERボタン、ホイールなど、実際にiPodを触る感覚でコントロールできるので、説明書を読まなくてもすぐに使いこなせるでしょう。例えばiPodに入っている楽曲を再生する場合は、MENUやENTERボタンを使って曲を選んで再生を選択。一時停止や曲送り&戻し、早送り&戻しのボタンも快適に動作します。再生中の音量はiPod PLAYBACK LEVELツマミで調整しますが、この音量はIMultiMix 8 USB内のレベルなので、iPod内のボリューム調整は無視されます。また、iPod PLAYBACK LEVELツマミの下にあるDISPLAYボタンは、iPodディスプレイのバック・ライトが消えているときに点灯させるもので、これもiPod側をいじることなくボタン1つで行えるのがうれしいですね。こういう細かい配慮は使えば使うほどありがたさを感じる機能の1つで、例えば薄暗いスタジオでの作業やライブでの使用などでも活躍することでしょう。
豊富なプリセットのマルチエフェクト
iPod録音時のリミッティングも秀逸
では、いよいよiPodへのレコーディングを行っていきます。iPodへはIMultiMix 8 USBのメイン・アウトが録音されることになるので、今回は本機内だけでレコーディングを完結させる一発録りに挑戦! まず、あらかじめリズムとベースをプログラミングしたサンプラーの出力をIMultiMix 8 USBのch5/6へ、そのサンプラーとMIDIで同期させたシンセをch7/8へ入力。エレキギターはアンプ・シミュレーターを通してch1へ。ch2にはマイクを接続し、ギターを弾きながら歌います。1人多重一発録りです!せっかくなので、レコーディング前の音作りも行ってみましょう。各チャンネルに装備された3バンドEQを使って各サウンドをいじってみます。個人的にはHIを上げたときのキラキラした感じが好印象だったので全チャンネルでHIを持ち上げました。次に、内蔵されているマルチエフェクターも試します(写真①)。エフェクターは1系統なので、今回は全チャンネルにうっすらとプレート系のリバーブをかけて空間の広がりを演出してみました。内蔵エフェクターは、各種類につき9つのプログラムが用意されており、エフェクト選びに時間をかけて悩むこともないでしょう。ほかにも使えるエフェクターが満載で、特にフランジャーではかなりエグい効果が得らたり、ピッチはその名の通り音程を変えられ、飛び道具としても使えそうです。

USB接続でオーディオI/Oとしても機能
Cubase LEの付属も魅力
さて、準備も整ったところでレコーディングを開始しましょう。REC MODEボタンを押すとiPodのボイスメモが立ち上がるので、ENTERボタンを押してレコーディングを開始します(写真②)。一通り録音を終えたらiPod画面の"停止と保存"にカーソルを合わせENTERボタンで終了。録音したデータは日付&時刻の名前でボイスメモに保存されます。iPodへのレコーディングは16ビット/44.1kHz(WAV)で行えるので、音質も問題なくバッチリでした。あまりにも簡単にレコーディングを行えるので、ちょっとした曲のアイディアをiPodへ保存しておく場合に重宝しそうです。


▲リア・パネル。左からパワー・サプライ、電源スイッチ、ファンタム電源、USB端子
SPECIFICATIONS
■周波数特性/22Hz〜22kHz(1kHz@+18dBu)
■インプット・ゲイン/+10dB〜+60dB
■チャンネルEQ/75Hz, 18dB/oct(High-Pass Filter)、12kHz, ±15dB(High Shelving)、2.5kHz, ±15dB(Mid Band Pass)、80Hz, ±15dB(Low Shelving)
■外形寸法/340(W)×70(H)×245(D)mm
■重量/4kg