直感的な操作性はそのままに正常進化したコンパクト・エフェクター - サンレコ〜音楽制作と音響のすべてを届けるメディア

KORGKaoss Pad KP3

sugiurumn

一家に一台、みんなが大好きなコンパクト・エフェクター＝KORG Kaoss Padの最新作KP3がついに発売となりました。ルックスも高級感がアップして、カラーは昨今のクラブ系機材の流行色、ブラーック！ブース回りの相性も完ぺきです。早速チェックしていきましょう。

多彩になったエフェクト群
より繊細な表現も可能に

KP3は、Kaoss Padシリーズで培われてきたX-Yパッドによるフィジカルなインターフェースはそのままに、計128種類のエフェクトが搭載されています。KP2が100種類ですから、何と28もの新エフェクトを追加。また使用中のエフェクトが、略式ではありますがディスプレイに文字表示されるようになり、視認性が向上しました。Kaoss Padの魅力は、何と言ってもX-Yパッド上の指の動きに合わせてダイナミックにエフェクトをかけられることですが、KP3では新規ドライブ回路を搭載しアナログの質感を追求したフィルターなど、音質のクオリティ、反応のリニア性ともに向上しています。入力音をカットしてエフェクト音だけを出力するミュート機能が搭載されているので、センド＆リターンで使用することの多いトラック制作にも力を発揮することでしょう。KP3ではこれに加えて、エフェクトの残響音の音量をコントロールすることでより自然な減衰感を得られる"FX RELEASE"機能を新たに搭載。リバーブやディレイなどを、より自然に曲や演奏に溶け込ませることが可能になりました。

コンピューターとの連携で
さまざまな設定／保存が可能

４つのサンプル・バンクを搭載し、それぞれに13秒録音が可能と、パワー・アップしたサンプリング機能はかなりDJライクなことになっています。まず"半拍ずらし"など、いわゆる２枚使い的な効果が欲しいときに重宝するサンプルのスタート・ポイント調整機能が付きました。これは個人的にCDターンテーブルで慣れている機能なので、ミックスCD制作時にも即戦力となりそうです。そして特筆すべきは、サンプルを自動的に８等分してX-Yパッド上部の８つのボタンにアサインするスライス機能。これは面白い！リミックス制作にあたっては、まずメインのフレーズやリフをKP3にぶち込んでみたいです。ボタン操作により新しいフレーズが生成でき、気軽にジム・オルーク先生やオウテカ先生の気分が味わえます。そして、エフェクト処理したサンプルを再びサンプリングするリサンプリング機能もDJの現場で活躍しそう。オリジナルのアカペラなどを加工してあらかじめサンプル・バンクに割り振っておけば、クラブ・プレイの良いアクセントになるでしょう。またKP3はMIDIクロック送信機能も装備しているので、DJミキサーとシーケンサーなどのMIDI機器の間に接続しておけば、BPM自動検出機能を利用してアナログ・レコードとMIDI機器の同期が可能になります。またX-Yパッドやつまみなどパネル上のコントローラーにアサインされているMIDIメッセージをカスタマイズすることでMIDIコントローラーとしても使えるので、制作時にマウスでプラグインのツマミを一つ一つ"この野郎！"といじっていた時代ともサイナラです。KP3はSDカード・スロットを装備しており、これらの設定を保存しておけば、本体を持ち運ばなくともDJの現場にある本機に手持ちのSDカードを挿して、瞬時に普段の設定を再現することができます。また新たにUSB端子が装備されたので、付属のエディター・ライブラリアン・ソフトを経由して各種情報をコンピューターに保存することも可能。これで、容量の大きなオーディオ・データも保存しておくことができるようになりました。そして、ファミコン世代にはたまらんパッドLEDによる"光"の演出がかわいい！このパッドはエフェクト操作時の複雑な指の動きを記憶する"PAD MOTION"のほか、新たにスクリーンセーバー機能も装備しており、先述のエディター・ソフト経由で設定したメッセージなど文字情報をスライド表示できます。"自分大好き"な筆者はもちろん、みなさんも己の芸名や彼女の名前、ひいきのクラブ・チームなどを入力しておきましょう。使用していない間も、たたずまいがかわいいです。KP3はクラブ・プレイやトラック制作においてはもちろん、一家に一台、フィジカルな操作性はバンドマンにもお薦めでございます。