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広いレンジ感と臨場感のあるサウンドが魅力の小型パワード・モニター

ADAMA7

1999年創業のADAMは、独創的な理論とテクノロジーで高い評価を得ていますが、このたび新製品のA7が発売されました。筆者は普段、同社のパワード・モニター、S3Aを使っているのですが、このA7はこれまでのSシリーズに比べて、よりリーズナブルな価格を提供するために開発されました。このA7は、大きさ的にもコンソールの上に置くのにちょうど良いサイズ。早速、試してみることにしましょう。

細やかな調整が可能なEQと
幅広いインプット・ゲイン


まず見た目ですが、Sシリーズと同色の黒でまとめられ、前面にはツィーター、ウーファーのほかに、バスレフ・ポート、−60dB〜+6dBまで調整できるインプット・ゲイン、電源スイッチがレイアウトされています。背面のパネルには、バランス/アンバランス(XLR/RCAピン)の2系統の入力端子を装備。さらにシェルビング・タイプのルームEQが高域は6kHz以上、低域は150Hz以下をそれぞれ±6dB調整できるのに加え、ツィーター・レベルは±4dB調整可能となっています。大きさ的には、正面から見るとYAMAHA NS-10Mより少し小さい感じですが、アンプを積んでいる分奥行きはあります。Sシリーズに搭載されているウーファーは、ヘキサ・コーンと呼ばれる特別なコーンを使用していますが、A7は新開発の165mmウーファーを採用。ロハセルというプラスティック素材をカーボン・ファイバーで挟んだコーンを使用したものだそうです。また、Sシリーズと共通のリボン・ツィーターは、A.R.T.という原理のもとに空気を比率1:1のピストン運動ではなく、4:1の比率で動かします。つまり通常より4倍速いスピードで音が出てくるわけです。これらのユニットの組み合わせにより、立ち上がりの早いデジタル・サウンドにも対応していこうということなのでしょう。同社のS3Aを普段使っている筆者としては、同機のインプット・ゲインやルームEQ、ツィーター・レベルなどの調整つまみが連続可変式を採用している点が不満だったのですが、A7では比較的細かいクリック式に変更されています。これは歓迎すべきポイントですね。

高域から低域まで奇麗に見える
奥行き感のつかみやすいサウンド


さて、まずは普段モニター・チェックに使っているCDを幾つか聴いてみました。大きめの音量で聴いても、ごく小さい音で聴いてもバランスが崩れず、奥行き感がつかみやすい印象です。ジャック・ジョンソンのアコースティック・ギターなどは、とてもイイ感じ。ただ、SSLコンソールの上に設置して聴くと、多少低域が出過ぎている印象だったので、ルームEQで150Hz以下を調整しバランスを整えました。実際のミックス作業で使ってみると、大きさから言っても爆音でモニターするのにはパワーが足りないのですが、音色は分かりやすく音が作りやすい印象。生楽器のアタックの早い音でも反応が良く、アコースティック・ギターやドラムのシンバルなどの高い周波数レンジの音源も非常に奇麗に見えてきます。また、ローエンドがしっかりと聴こえるため、生音でも電子楽器の音でも、不必要な低域成分の処理がとてもやりやすいと思いました。比べてしまうのはちょっと酷なのですが、低域のスピード感はやはり価格の分、S3Aに軍配が上がるのは仕方ないですね。さらに、0dBの位置で使っていたインプット・ゲインを+6dBまで上げて聴いてみました(当然その分、スピーカーに送る手前のプリアンプのアウトは下げましたが)。ここで驚いたことに、音の表情が劇的に変わりました。ベールが一枚取れたと言うか、全体のスピード感がさらに上がったと言うか、音の輪郭がハッキリしてかなりイイ感じです。特にロック系を聴くならこちらのセッティングの方が断然いいですね。さらに“アンバランスのインプットに入れてみたらどうだろう?”と思い、実験してみました。結果は、インプット・ゲインを上げたときに近い印象。メリハリが効いてグッドです。ただこの場合は、バランス・インプットのときには無かった中域に多少の癖を感じました。気になるほどではないのですが、ちょっと出っ張る感じでしょうか。全体の印象として、大きなコントロール・ルームでは音量的には少し厳しいかもしれませんが、12畳くらいまでの部屋であれば、十分過ぎるパワーです。位相特性も良く、あたかもスピーカーの間に演奏者やボーカリストが居るようなリアルな印象を受けます。アンバランスのインプットも搭載されていて、プライベート・スタジオでの作業などにも最適なモニター・スピーカーではないかと思います。
ADAM
A7
オープン・プライス(市場予想価格:75,000円前後/1本)

SPECIFICATIONS

■形式/2ウェイ・バイアンプ方式、バスレフ型
■LFユニット/165mm、ロハセル/カーボン・サンド
■HFユニット/A.R.T.
■アンプ出力/50W(LF)、50W(HF)
■ノイズ・レベル/16dB
■最大入力レベル/105dB以上
■入力インピーダンス/10kΩ
■全高調波歪率/1%以下@80Hz
■周波数特性/46Hz〜35kHz
■外形寸法/180(W)×330(H)×280(D)mm
■重量/8.1kg