より高度な操作が従来の感覚で可能なDJ用CDプレーヤー新モデル

PIONEERCDJ-1000MK3

最近では、どこのクラブのDJブースにも常設されているDJ用CDプレーヤー。中でもいち早くこのシーンへ参入したのがPIONEER。一目で分かるシンプルな操作感とアナログ一辺倒だった人種にも納得の性能および優れた音質で、現場レベルから圧倒的な支持を受けている同社CDJ-1000シリーズに新機能を搭載したニュー・モデルCDJ-1000MK3の登場です。

ドット数の増加したディスプレイ
明るくなって視認性が格段に向上


まず、箱を開けての第一印象は“どこが変わったの?”という感じで、外見的には前モデルの、CDJ-1000MK2との大きな変更点は見当たりません。電源を入れて、CDを挿入すると、まず上部ディスプレイ内に改善されている機能を発見。MK2から導入された曲中における音量の強弱などを視覚的に確認できるウェーブ・ディスプレイです。これはプレイしている曲の時間軸方向の展開を波状に視覚化してくれるのですが、MK2ではディスプレイの性能上、この波形に一定間隔で9カ所の途切れ目がありました。しかしMK3ではウェーブが途切れることなくスムーズに描かれていて、波形を読むようにプレイ中の曲の展開を把握できます。経験豊かなDJが、アナログ盤の溝を見て“ここら辺から2バース目かな?”と、視覚的に内容を把握するのと同等なスキルを手に入れられます。また、ディスプレイがMK2より明るくなっている点もポイントでしょう。実際に音を再生してレコード状のジョグ・ダイアルを使ってスクラッチしてみると、今までのモデルと同様のアナログライクな操作感に感心させられます。この安定した操作感こそPIONEERのCDJシリーズが支持される大きな理由であり、その感覚はMK3にもしっかり継承されています。また、ジョグ・フィーリング調整機能が新たに搭載されジョグ・ダイアルを再生速度以外で回転させた際に、どの程度の負荷を掛けるかの設定をすることが可能になりました。例えば、負荷を設定するJOG ADJUSTツマミを一番軽くしてからジョグ・ダイアルを反時計方向に思い切り回すと逆回転は3秒近く継続します。反対に負荷を重くすると同じ力でも回転は1秒程度に。DJミックスの際、過激な逆回転でミックス・プレイにアクセントを加えたいときには設定を軽くすればOK。アナログ・レコードでここまで過激な逆回転を実践すると、よほどのスキルがない限り針が飛んでしまうはずです。

MP3データもそのまま再生可能
フォルダー・サーチ機能で曲を簡単管理


さらにMK3ではループ設定を記憶できる新機能が加わりました。MK2のループ機能はリアルタイムにスタート&エンド・ポイントを決め、その間をループさせるのみで、設定したポイントを記憶することはできませんでした。しかし、このMK3ではループの設定を本体左上にある3つのホット・キュー・ボタンにアサインして記憶させることができます。MK3が記憶できる設定の数はホット・キューおよびループ設定の合計で3個までとなります。例えばホット・キューを2個記憶した状態ではループの設定は残りのボタン数と同じで1個しか記憶することができません。MK3ではこの記憶機能によりプレイ途中でダイレクトにループのポイントへ移動して、そこから繰り返し再生させたり、シーケンスを組み立てるようにループからループへ移動することが可能になりました。また、ループやキュー・ポイントの設定情報は外部SDメモリー・カードに記録しておいて、後から呼び出すことも可能です。また、今までは不可能だったMP3データの再生も可能になりました。ディスプレイ上にファイル名がテキスト表示されるのでCD-RにMP3データを大量に保存していてもフォルダー・サーチ・ボタンにより、フォルダー単位の階層構造からサーチできるので、目当ての曲を探し出すのも簡単。コンピューター内のMP3データをCD-Rへ焼いてプレイすることが可能になりました。冒頭に書いた通りパッと見た時点でデザイン上の変更が無いということは、今まで同機種を使っていた人なら、すぐに操作できるということにほかなりません。同社製品のDVJシリーズもほぼ同じデザインが踏襲されているところから、同社のDJ用CDプレーヤー・デザインへの自信がうかがわれます。

▲リア・パネル。左上からステレオ・アナログ出力(RCAピン×2)、デジタル出力(コアキシャル)、コントロール端子

PIONEER
CDJ-1000MK3
オープン・プライス(市場予想価格/145,000円前後)

SPECIFICATIONS

■周波数特性/4Hz〜20kHz
■SN比/115dB以上
■外形寸法/320(W)×105(H)×370(D)mm
■重量/4.2kg