充実の基本性能に加えCD-RW録音機能も有すDJ用CDプレーヤー

VESTAXCDR-07

これだけ技術が進歩すると“ありそうで無かったモノ”なんて意外と少ないですよね。そんな中、誰もが意表を突かれる“ありそうで無かったモノ”が登場しました。DJ用CDプレーヤーとCD-RWレコーダーが1台に! 今回、僕が本誌初レビューさせてもらう製品は、DJやクラブ系クリエイターから熱い支持を集めるVESTAXからリリースされたCDR-07です。

発色の良いホワイト・ボディに
多彩な入力端子がスタンバイ


基本的に本機はDJ用CDプレーヤーですが、そこにCD-RWレコーダー機能を追加したものと言えます。オーディオCDを使った通常のDJプレイのほか、CD-R/RWに記録されたMP3ファイルの再生、さらに内部にCD-R/RWを入れて、外部入力音を録音し、通常のCDと同様にコスったり、テンポを変えたり、内蔵エフェクトをかけるといったプレイが可能です。さて、到着した製品を見て意外だったのがボディのカラー。DJ関連機材はシルバーや黒を基調にしたものが多いので、これだけ奇麗な発色のホワイトは現場で目立つこと間違いなし! 同社より新発売のDJミキサーPMC-08Proホワイトと並べたときの相性もバッチリです。入力はさまざまな音源に対応した構成になっていて、アナログ入力用にはLINE/PHONO端子(RCAピン)とMIC/INST端子(フォーン)が、デジタル入出力用にはS/P DIF(コアキシャル)がそれぞれ用意されています。この豊富な入力系統のおかげで、アンプやミキサーを介さずにターンテーブルをじかに接続したり、ラップや楽器の演奏を本機でCD-R/RWで録音し、その場でスクラッチするといったことができちゃうんですね。

CD-Rの録音/再生は非常に簡単
バンドの生演奏をコスると面白い


それではターンテーブル脇に本機を置き、実際に使っていきます。まずDJ用CDプレーヤーとして、市販のCDを再生しながら外部のレコードとミックスしてみました。CDとレコードはそれぞれ音の記録/再生方法が違うため、ミキサーのレベル・メーターで音量を合わせても、どうしても音質の差が出てしまいます。それが従来の不満の1つだったのですが、VESTAXが独自に開発した“CDフィルター”によりその問題も解決。本機はアナログ的な“太く温かい”出音なので、レコードとも自然にミックスできます。さらにクラブでの使用を想定していろいろとチェックしてみると、使える機能がてんこ盛りでした。本機はCD-RWレコーダー機能と独立した8秒間のサンプリングが可能で、CDの再生に重ねてサンプルをプレイバックできます。この“独立した”というのが重要で、例えばDJ中に、曲のアウトロをフレーズ・サンプリングし、それをループ再生している間にCDを替えて次の曲に切れ目なくつないだり、イントロをCDのループ機能で再生しつつ、サンプラーに取り込んだワンショット・フレーズをPLAYボタン連打で再生すればオリジナルのイントロがあっという間に完成! CUEメモリーと3種類の内蔵デジタル・エフェクト(フランジャー/ディレイ/フィルター)を駆使すればさらにトリッキーなプレイが可能です。次にCD-RWレコーダー機能をチェック。ターンテーブルの出力をじかにつないで録音レベルを調整し、レコードの音を本体内のCD-Rに録音してみました。手順は簡単で、しかも搭載された24ビットAD/DAコンバーターのおかげか、とてもクリーンな音質。録音してからそのCD-Rを実際にコスるまで何秒かあればできちゃう感じです(ただし本機で録音したCD-Rを他のCDプレーヤーで再生するにはファイナライズが必要)。このCD-RWレコーダー機能は、特に生バンドとのセッションで有効かと思いました。あらかじめ用意したスクラッチ用レコードだと、バンドが演奏しているキーに合わせにくかったりしますが、ギターやベースの演奏音を本機に録音する配線にしておけば(リハーサルの段階で各パートからワン・フレーズずつ録音させてもらうのも良いでしょう)、楽曲とのキーも合い、しかも楽器では出せないトリッキーな音が加えられると思います。また、DJ以外の人にもこの機能は面白いと思います。“あのフレーズをコピーしたいけど、速弾き過ぎて分からない”なんて場合、すぐさま本機に録音し、音程を変えずにゆっくり再生できるマスター・テンポ機能を使う→ループ再生でじっくり研究する、といった使い方ができるでしょう。DJ&クラブ系クリエイターにとって、瞬時の“ひらめき”はとても大事なので、直感的にサウンドをCD-Rに記録してコスるといった作業が1台で試せる本機はまさに打ってつけ。ターンテーブル周辺のセットだけでそうした作業がサクサク進めていけるのもストレスが少なく、うれしい限りです。

▲リア・パネル。左からMIC/INST入力(フォーン)、GNDターミナル、LINE/PHONO入力、MONITOR出力、LINE出力(以上フォーン×2)、S/P DIF入出力&モニター出力(コアキシャル)、T.T.-LINK端子(別売TASCAM TT-M1を接続可能)、フェーダー・スタート端子、その上はフット・スイッチ×2

VESTAX
CDR-07
オープン・プライス(市場予想価格/80,000円前後)

SPECIFICATIONS

■周波数特性/20Hz〜20kHz、±0.5dB(LINE OUT/PHONES)
■外形寸法/244(W)×110(H)×335(D)mm
■重量/3.3kg