録音に便利な機能が満載のトータル・レコーディング・ソリューション

MINDPRINTT.R.I.O.

マイクプリ?モニター・システム?ミキサー?いやいや、それ全部です。レコーディングからモニターまでスタジオ・ワークにおいて重要なポイントをほとんど網羅しているトータル・レコーディング・ソリューション、MINDPRINTT.R.I.O.。非常に気になります。早速レビューしてみましょう。

豊富な入出力端子を備えたプリアンプと
コンプレッサーやEQをパッケージ


MINDPRINTのイメージ・カラーであるワイン・レッドが一際目立つT.R.I.O.。まず、この豊富な入出力端子をざっと見ていきましょう。入力系にはマイク入力×1、インサート×1、ライン入力×1、AUX入力×1、DAW入力×1、センド&リターン×1、S/PDIFオプティカル。この豊富な入力系統を見ただけで本機がいかにオールラウンドなレコーディング・ソリューションかが伺えます。T.R.I.O.では48Vファンタム電源の供給が可能なので、マイクは直接クラスAのマイク入力へ、エレキギターはHUGHES&KETTNER製の楽器入力端子に接続するだけで即レコーディングを始められ、さらに2バンド・アナログEQ、オートマチック・プロセッシングによるアナログ・コンプレッサーも装備されており、これらを併用したよりハイクオリティなサウンドを簡単に得ることが可能です。EQによる補正やFatツマミの効き方は音楽的だし、ローカットも備わっているのでボーカル録音も安心して行えます。サウンドがアナログ的でありながらローノイズな設計になっているのは、同社のDTCDualTubeChannel譲りらしく、さすがです。マイク/楽器入力のほかにライン入力にも専用のEQが装備されているので、歌やギターとライン入力(シンセやリズム・マシンなど)での同時録音もOK。AUX入力はRCAピン仕様なので、プラグの変換なしでDJ機器を、S/PDIF入力端子にはオプティカル・ケーブルでDATを接続したりと、まさにレコーディング・システムの中心に据えておきたくなる1台です。

3系統のスピーカー出力を備え
DAWシステムに容易に組み込み可能


次はこちらも充実の出力系統を見ていきます。ダイレクト出力×1、DAW出力×1、スピーカー出力×3、ライン出力×1、ヘッドフォン出力×2、S/PDIFオプティカル。まず、これら出力系で目を引くのが、3系統の独立したスピーカー出力でしょう。通常、複数のモニター・スピーカーで音を聴き比べる際には外部セレクターなどでモニターの切り替えを行いますが、それさえもT.R.I.O.上でまかなえてしまいます。スピーカーはフロント・パネルのスイッチでスムーズに切り替え可能。この機能を利用して3つのスピーカー出力を外部ミキサーの別チャンネルへ接続し、各チャンネルごとに異なったEQやエフェクトを設定すれば、T.R.I.O.の切り替えスイッチで3バージョンの異なったミックスを即座に聴き比べられます。そのほかにも2系統のヘッドフォン出力やモノ、ミュート、DIM(出力を20dB下げる)、トークバック機能まで備わっており、完全にスタジオ・コンソールを意識/再現した作りになっているのが驚きでした。宅録ユースの方は豊富な機能に最初戸惑うかもしれませんが、それらがレコーディング・セッションにもたらす効果が絶大であることに、すぐ気付くでしょう。また、T.R.I.O.はDAWとの親和性を強く意識しており、それはアナログのDAW入出力と24ビット/96kHzに対応したS/PDIF入出力が併用可能な点からも伺えます。オプティカル・ケーブルの接続が可能なサウンド・ボードがあれば、ドライバーのインストールの手間もなく簡単に現在のDAWシステムに組み込むことが可能だし、APPLEPowerMacG5のように標準でオプティカル・インターフェースがビルトインされているコンピューターをお持ちであれば、サウンド・カードすら必要ありません。どんな状況下でも最大限のポテンシャルを発揮できる柔軟性は、ユーザーにとってうれしい限りです。一通り使ってみて、T.R.I.O.がさまざまなニーズに応えられる製品だということが分かりました。宅録はもちろん、ボーカル・ブースを構えた小規模スタジオでも大変重宝されるだろうし、個人的にはライブでも面白い使い方ができそうな気がします。値段から言っても、コスト・パフォーマンスに長けた1台ですね。

▲リア・パネル。左よりヘッドフォン出力×2(ステレオ・フォーン)、スピーカー出力×3(フォーン、RCAピン)、ダイレクト出力(RCAピン)、DAW入出力(RCAピン)の下がS/PDIF入出力(オプティカル)、AUX入力(RCAピン)、ライン入力、センド&リターン、楽器入力(フォーン)、マイク入力(XLR)

MINDPRINT
T.R.I.O.
オープン・プライス(市場予想価格/66,000円前後)

SPECIFICATIONS

■最大入力ゲイン/マイク:4dBu、楽器