上位機種で培ったノウハウを受け継いだ廉価版ワイアレス・システム

SENNHEISEREW G2 100Series

SENNHEISERのマイクは近接効果が比較的少ないため、オン/オフマイク時の音質の変化が少ないのが特徴の1つとして挙げられます。ちなみに先日、同社のE935を購入したのですが、そのとき代理店さんから"良いマイクがまた発売されますよ"と聞かされ、非常に興味を持っていた矢先、偶然このレビューのお話が来ました。ということで、今回は同社のワイアレス・システム、EW G2 100Seriesをチェックしていきます。

プロの現場を意識した
ワイアレス機能の数々


本製品はハンドヘルド・トランスミッターのSKM135G2-J、ボディパック・トランスミッターSK100G2-J、ダイバシティ・レシーバーEM100G2-Jなど多彩なラインナップで構成されるワイアレス・システムです。基本的に、トランスミッターとレシーバーの対でセット販売されていますが、単体で購入することも可能です。ということで、今回はこの3製品を中心に見ていきましょう。まず外見ですが、SKM135G2-Jのサイズは前作のG1シリーズと同じようですし、本体裏にある液晶部分が少し大きくなっただけで変わった感じがしません。ということは内部の仕様が変わってるのですね!? ということで、早速電源を入れてみます。すると、G1よりも液晶表示が見やすくなっているのが分かります。特に設定変更時は液晶のバックライトがしばらく光るので、暗い場所でも容易に操作が可能です。なお、このSKM135G2-Jには目的、声質に合わせて4種類のカプセルが用意されています(シリーズ共通で、僕の購入したE935のカプセルもあります)。さらに驚いたのは、G1では電池が006P(9Vの角形電池)だったのに対し、単三電池2本になったことです。006Pはコンビニに置いてなかったりして焦る場合があるし、単三電池の方がランニング・コストがはるかに安いのでうれしいところです。また、専用バッテリー・パックもあるので充電しての使用も可能になっています。一方、レシーバーのEM100G2-Jも進化しています。リア・パネルにXLRアウト(バランス)が標準装備され、さらにG1の+10dBuから+18dBuへと基準レベルが上がって、現場をより意識したプロ仕様になっています。ボディパック・トランスミッターSK100G2-Jも、いかなる状況にも対応できるよう上位機種の5000シリーズと同サイズの小型化を実現。ここにヘッドセット・マイクやピン・マイクをつなげて使用することが可能です。本機も単三電池2本での駆動に対応するようになりました。機能面も充実しています。特筆すべきは"パイロットトーン"機能で、これは近くにライブ・ハウスやパチンコ屋がある場合など、ワイアレスが多い環境での混線防止用。使用する周波数に外部から割り込まれないよう、特殊な信号(分かりやすく言うと妨害電波やスクランブルのようなもの)を出し、トラブルをより少なくするシステムです。しかも最近よく聞く"オートチューニング"機能(空いている周波数の自動検索機能)も標準装備されているので便利です!

ワイアレス特有の癖も無く
有線に近い音楽的な出音


さて今回は、たまたま某大型ライブ・ハウスでPAする機会があったため、本機を早速試してみることにしました。まず音を出した最初の感想は、このクラスのワイアレスにしては音に癖が無いということ。安いシステムだと、やはりそれなりの音でしかないのがワイアレスです。G1はローエンドとハイエンドにワイアレス特有の癖がありましたが、このG2はその癖を取り除いた感じで、より有線に近く、音楽的に鳴っているではないですか! 当然S/Nも良く(同社独自の"HDXノイズ低減システム"によるものらしい)、バンド・サウンドの中でも、ハンドヘルド・トランスミッターからの歌がすんなり前に出てくれる印象で非常に好感触でした。また、違う日に女性ボーカルで試したときも3kHzくらいの嫌なピークも無く、マイクの指向性も程よい感じ。"EQせず楽に仕事ができるアイテム"だと実感しました!ライブ、コンサート、ミュージカル、芝居、テレビ局など、常に現場を意識した製品を作り出し、だからこそ今やSENNHEISERのワイアレス・マイクはプロの現場で無くてはならない存在になりました。上位シリーズで培ったノウハウを、このG2のような廉価シリーズに惜しみなく詰め込み、商品化しているところも信頼につながっているのでしょう。E935も買ったことだし、これと同じカプセルのSKM135G2-Jが欲しくなってしまいました!
SENNHEISER
EW G2 100Series
134,400円〜(レシーバー+トランスミッターのセット価格。構成内容によって価格は異なる)

SPECIFICATIONS

■変調方式/ワイド・バンドFM
■周波数範囲/806.125〜809.750MHz
■送信&受信周波数/4つのプリセット・チャンネルのチャンネル・バンク、4つの自由に選択できるユーザー・チャンネル・バンク(30周波数、125kHzステップで変更)
■コンパンダー・システム/SENNHEISER HDX
■AF周波数特性/40Hz〜15kHz
■SN比(1mVRFピーク・ディビエーション時)/≧110dB
■外形寸法/SKM135G2-J:50(φ)×225(H)mm、EM100G2-J:212(W)×38(H)×145(D)mm、SK100G2-J:82(W)×64(H)×24(D)mm
■重量/SKM135G2-J:約500g、EM100G2-J:約1.1kg、SK100G2-J:約158g