コントロール用プラグインが付属する独立2系統マルチエフェクター

LEXICONMX200

いやー、なんでこういう製品が今まで無かったんだろうと思ってしまうようなエフェクターが登場しましたよ。LEXICONのマルチエフェクターがこの値段で手に入るだけでもすごく魅力的なのに、コンピューターからもコントロールができて、しかもDAWソフトのソング・ファイルにセッティングをメモリーしておける! これこそ欲しかったアウトボードです!

コントロール用プラグインで
DAWソフトとの連携を強化


アウトボード・エフェクター(特にリバーブやディレイ)だけでミックスしていたころの自分の作品を聴いたときに、“すごく雰囲気があるなー”って思ったことはありませんか? MX200はそういうところに目を付けて“アウトボード・エフェクターのいいところ”“DAWソフトの便利さ”を見事に両立させています。まず接続端子から見ていきましょう。本機にはアナログ・インプット/アウトプットが2つずつあります。S/P DIFコアキシャル入出力もあり、44.1/48kHzでの入出力も可能です。それからUSB端子も備えていて、これでコンピューターから本機のコントロールが行えます。エディター・ソフトは、スタンドアローンのものとVST/Audio Unitsプラグインが付属。このプラグインは、本体のセッティングをコントロールするためだけのものなので、DAWソフトのどこのトラックにインサートしてもよく、インサートするとプラグインのエディット・ウィンドウから本体をコントロールできるようになります。もちろん本体についているつまみをいじってもコントロール・ソフト側のセッティングに反映させることができるので、いつでもリアルタイムにエフェクトのセッティングを行うことが可能です。もちろん設定を保存することができますし、DAWソフト+コントロール用プラグインを使用していれば、ソングを保存するだけで曲ごとのセッティングを管理できてしまうわけです。またユニークなのは、本体にあるオーディション・ボタン。このボタンを押すとキック、スネア、女性コーラス、ギター・ストロークが入れ替わりで再生されるようになっています。選んだエフェクトがどんな効果なのか、いつでもかかり方を確認することができて便利でしょう。また、タップ・テンポ・ボタンも装備されているのでディレイのセッティングも素早く行えます。

輪郭がぼやけないリバーブを筆頭に
伝統のエフェクトが2種同時使用可能


さらに驚いてしまったのは、この価格で完全独立2系統のエフェクトが使用可能なことです。エフェクトはリバーブ系、ディレイ系、コーラス/フェイザー/フランジャー、ピッチ・シフター、それにコンプレッサーやディエッサーまで入っています。2つのエフェクト・プロセッサーの接続方法は4種類のパターンから選択できるようになっていて、リバーブの後にコーラスをかけるといったような接続方法もできますし、インプット1はリバーブへ、インプット2はディレイへ接続し、出力はステレオ(両方のプロセッサーからのアウトがミックスされて出力)というものもありますので、実質2つのエフェクターを手に入れたのと同じ使い方ができるでしょう。また、エディット用のノブも2つのプロセッサーそれぞれに用意されているので、どちらのエフェクトをエディットしているか分かりやすかったです。ちなみにこれら2つのエフェクトを組み合わせた効果的なプリセットも、99種類用意されています。プラグイン・エフェクトを組み合わせて作るのとはひと味違った複合エフェクトを簡単に試すことができて、ミックス時にも重宝しそうです。こうした機能だけでもすごく魅力的なのですが、やはり肝心なのは音。チェックしてみた感想を一言で言えば“めちゃくちゃ良い”です。すごく気に入りました。もともとLEXICONの低価格帯のリバーブには好感を持っていて、よくパーカッション系の音に使っていたりしたのですが、本機もその雰囲気を受け継ぎつつ、より洗練されたイメージの音色になっています。ボーカルにもギターにもいい感じで、ハイファイな音にもローファイな音にもよくなじみます。深くかけても輪郭がぼけず、雰囲気タップリにできるところがさすがLEXICON製です。また、ディレイはスタジオ/デジタル/テープなど質感の違うものが用意されていて、これまたオケになじむ“ならでは”の音色です。そのほかピンポン・ディレイや、プラグインではあまり見かけないリバース・ディレイも用意されています。さらにモジュレーション系のエフェクトには、ロータリーやビブラートといったものまであり、オルガンやエレキギターの音作りにも使えそうなしんのある音が印象的でした。総じて、ミックス内で個性を感じさせながら“使える”内容になっていると思います。機能、音質ともに“ホントにこんなに良くって、この値段なの?”といった印象でした。同じ価格でプラグイン・エフェクトを購入するなら、僕はMX200を買います。

▲付属のコントロール・ソフト。実機のパネル上では表示されていないパラメーター名やその値も見て取れるのは便利



▲リア・パネル。左から電源コネクター(DC9V)、フット・スイッチ端子(TRSフォーン/各エフェクトのバイパス用)、MIDI IN、OUT/THRU、USB、S/P DIFコアキシャル入出力(48kHzまで対応)、アナログ出力×2(TRSフォーン)、アナログ入力×2(TRSフォーン)

LEXICON
MX200
31,290円

SPECIFICATIONS

■オーディオ・プロセッシング/24ビット
■アナログ入力インピーダンス/20kΩ(バランス時)
■アナログ入力レベル/+4dB(基準)、 +20dB(最大)
■周波数特性/20Hz〜20kHz(±1dB)
■アナログ出力レベル/+4dB(基準)、 +20dB(最大)
■ダイナミック ・ レンジ/108dB以上
■付属ソフト対応フォーマット/VST(Windows XP/Mac OS X)、 Audio Units(Mac OS X)
■外形寸法/483(W)×44(H)×137(D)mm
■重量/1.7kg