優れた低域の再現性を誇る小型パワード・ニアフィールド&サブウーファー

DYNAUDIO ACOUSTICSBM5A / BM9S

DYNAUDIO ACOUSTICSのBMシリーズに新たに加わったBM9S。同シリーズのアクティブ・ニアフィールド・モニターBM5Aに最適化し、最新技術を反映させたアクティブ・サブウーファーの登場です。一見、サブウーファーとは思えないコンパクトな外観に果たしてどんな実力が潜んでいるのか。今回はサテライト・スピーカーにBM5Aを2台設置して2.1chシステムでチェックしてみたいと思います。

多彩なキャリブレーションが可能な
コンパクトな“.1”システム


先述のようにBM9Sは本当に小さい! 一辺が約30cmの立方体に10インチのウーファーがみっちりと収まっていて、重さも10kgほど。既に発売されているBM10Sと同じ10インチ・ウーファーを搭載していますが、幅と高さは2〜3cmほど、奥行きに至っては約15cmも小さくなっています。湾岸音響にあるBLUE SKYのサブウーハーSub 12と比べてもその3分の1くらい。これは“2.1chあるいはマルチチャンネル・モニターを導入したいけど、サブウーファーを置くスペースが無くて……”といった悩みを抱えていた人にピッタリのサイズなわけです。さて、2.1chで使用する際の接続方法について話を進めましょう。モニター・アウトをBM9Sのリア・パネルにあるSAT/SUB入力のL/Rに接続し、BM9SのSAT/SUB出力からサテライト・スピーカーのBM5Aに接続。BM9SのSAT High passを任意のポジションにセットし、BM5Aのリア・パネルにあるHigh passをFlatにと、至って簡単。ちなみに今回のチェックではケーブルがMO GAMI NEGLEX 2549で、ACOUSTIC REVI VEのスピーカー・スタンドに直接設置しました。サテライト・スピーカーとのキャリブレーションについては時間の都合上、BLUE SKYにならってSPLメーターにて設定。実際には、部屋の条件などで最適値は変わってくるので、皆さんが使うときにはより厳密にセッティングしましょう。なお、BM9SとBM5Aを組み合わせたシステムは設定できるポイントが非常に多く、ベストなチューニングにたどり着くには試行錯誤が必要。例えば、クロスオーバーのポイントは80Hzで設定しましたが、この辺もいろいろ試してみたいところです。

ベースやキックなどの低域楽器や
全体を見据えたローエンド処理も可能


では音を確かめるべく、シンプルなアコースティック・サウンドのカサンドラ・ウイルソンのCD『glamoured』を聴いてみます。一聴ではアコギやパーカッションのアタック音など、ブライトで心地よいサウンド・カラーに感じます。ただ、今回注目すべきはやはり低域の楽器。本作で多く聴けるウッドベースの印象では弦を弾いた瞬間のエッジの部分から深く広がるボトムまで良く再生できていると思います。低い方は少し強過ぎるかな?という印象があり、そのせいか芯(しん)の部分が少し甘い気がしました。しかし、10インチというウーファーのサイズから考えれば十分な再生能力と言っていいかもしれません。しばらく聴いているうちに、少々ブライト過ぎる印象に変わってきました。この辺はBM5Aのリア・パネルにあるイコライザーでも調節可能でしょう。偶然にもこれから作業をしようとしているのが、近ごろワーナーから登場した“TUFF SES SION”というレゲエ・バンドのダブ・ミックスだったのです。人形は顔が命、レゲエは低音が命というわけで、2.1chシステムを試すには打ってつけ。ベースやキックなどの低域処理や全体を見たときのローエンドを決めていくのにサブウーファーの存在が有り難かったりするのです。作業を進めていて感じたのは、さすがにサブウーファーがあるおかげで、低域の動き方は分かりやすい! ただ、混ざったときに少々浮いて聴こえる感じがしてしまい、サブウーファーの存在を意識しながらのミックスです。これはクロスオーバーやカットオフの設定次第で落ち着くのかもしれませんが、現状では一体感が薄く感じました。やはり時間をかけてじっくりチューニングをすべき組み合わせなのでしょう。ただ、BLUE SKYのように初めから2.1/5.1chで使うことを前提として完全にマネージメントされている機種と違って、必要に応じてBM5Aだけで使ったり、5.1chの作業が入ったときにBM9Sを引っ張り出して来たりと、幅広いシチュエーションでの活躍が期待できそうです。ひょっとすると5.1chのサラウンド・システムのように、ある意味独立した低域担当スピーカーとして使った場合の方が、比較的簡単に良い結果が得られるのかも知れませんね。
DYNAUDIO ACOUSTICS
BM5A / BM9S
144,900円(BM5A/ペア)
147,000円(BM9S)

SPECIFICATIONS

【BM5A】
■タイプ/アクティブ2ウェイ
■スピーカー構成/28mmソフト・ドーム(HF)、175mmポリプロピレン・コーン(LF)
■周波数特性/50Hz〜31kHz(±3dB)
■クロスオーバー周波数/1.5kHz
■アンプ出力/50W(HF)、50W(LF)
■外形寸法/186(W)×320(H)×320(D)mm
■重量/8.7kg(1本)
【BM9S】
■タイプ/アクティブ・サブウーファー
■スピーカー構成/240mmロング・スロー
■周波数特性/50Hz〜250Hz(±3dB)
■クロスオーバー周波数/HP:フラット、60Hz、80Hz、LP:50〜150Hz
■アンプ出力/200W@4Ω
■外形寸法/294(W)×289(H)×318(D)mm
■重量/10kg