DAW環境のモニター・システムを統括するパッシブ回路のコントローラー

PRESONUSCentral Station

コンピューターを使ったDAW環境が広まる中、意外と見落としがちなのがモニタリング環境です。スピーカーは各社から多くの製品が出ていますが、オーディオ・インターフェースとスピーカーの"間"の機材は後回しになりがちです。しかし、実は音を作る上で非常に重要なポイント。筆者もDIGIDESIGN Pro Toolsを導入した当時、そのような製品を求めて自らメーカーに企画を持ち込みカスタム・メイドしてもらったほどです。そのほかにも宅録環境ではヘッドフォンでモニターして楽器の録音を行う際にエンジニア担当と演奏者が異なるミックス・バランスでモニターしたいといった場合にちょうどいい機材がありませんでした。そこで登場したのがスタジオ・コントロール・センターことPRESONUS Central Stationです。

充実の入出力&機能を誇るほか
CUE関連機能で録りの時も最適!


モニター・コントローラーとは何?という方も多いと思いますが、簡単に説明するならオーディオの世界でプリアンプの部分に相当するもの。音楽制作ではスピーカーやラジカセなどのモニターの選択や音量調整をしたり、CDやDAWなどの入力切り替え、レコーディング時の演奏者へのモニターなどの機能を指します。Central Stationはそれらの全機能に加え、レベル・メーターやトークバック機能などを搭載した至れり尽くせりの製品。レベル・メーターはキャリブレーションも可能で、見た目的にもやる気にさせてくれます。入力はステレオで5系統(デジタル×2、アナログ×3)で、接続機器が増えても十分に対応できます。加えてモニター出力もステレオ×3系統あるので、スピーカー×2セットとラジカセを常時接続しておき、手元で切り替えられます。入力のデジタル×2系統は最高24ビット/192kHzのDAコンバーターを内蔵し、スペック的にも申し分ナシ。スピーカーの直前までデジタル接続することで音質劣化を防ぎ、より実音と差のないモニタリングが可能です。これら各入出力は簡単に切り替え可能で、モニターやアナログ入力のレベル調整もでき、接続機器に応じて音量を合わせられるのもうれしいところです。レコーディング現場では演奏者へのCUEが必要ですが、本機には2系統のヘッドフォン出力のほか、CUE専用の出力まで搭載! ヘッドフォンは2系統それぞれでどのソースをモニターするか選択可能で、音量もそれぞれ調整できます。例えば、ミキサー担当の人はバランスのとれた通常の2ミックスを聴きながら作業を行い、演奏者はAUXなどを使って自身の担当するパート音が大きめのバランスの2ミックスでモニターできるのです。もちろん、演奏者はボタン1つでミキサー担当の人と同じバランスで聴くことも可能です。また、宅録環境でもブースなどを使ってレコーディングしている場合、演奏者とのコミュニケーションをとるためのトークバックが必要となりますが、本機はマイクとトークバック・スイッチを搭載しているので手軽にブース内の演奏者に指示するといったことも可能なのです。なお、トークバックに外部のマイクを使うことや、トークバックのオン/オフを専用のリモート・コントローラーCSR-1(オープン・プライス/市場予想価格23,100円前後)で行うこともできます。

プリアンプ部の味付けにより
エフェクティブな使い方も可能


では、肝心の音質に関する部分です。通常、このような機材はオペアンプなどを使ったアンプを本体内に搭載していますが、よくも悪くも何らかの色付けの元になります。しかし、本機は接続されたオリジナルのソースを忠実に再現するように何とパッシブ回路を採用。実際に音質的にも色付けなくクリアな音を奏でます。まさに"そのまま"という音なので、実際に作っている音を的確に判断できるでしょう。ただ、パッシブ回路に起因することなのかもしれませんが、TRSフォーン入力に接続する機材のレベルは−10dBよりも+4dBでの接続の方が好印象。また、ボリュームはツマミが12時以降の大きめでの再生に優れている気がします。パワード・モニターなどではアンプの出力レベルを下げて使用すると良いのではないでしょうか。DAコンバーターの音質に関しては、これも癖のないクリアなもの。DAコンバーターによる音質変化を求めるタイプではなく、非常に素直なキャラクターと言えます。ここまでザッと説明してきましたが、本機は録りからミックスまで多彩な活用方法が考えられます。音質はもちろん"とにかく便利!!"の一言。これで実売10万円前後と言うのは非常にうれしいところです。いや〜本当にもっと早く出してほしかった! モニタリング環境の改善を考えている方はぜひ一度チェックしてみてください。

▲専用リモート・コントローラーCSR-1はトークバック・マイクを内蔵しつつコンパクトにまとめられている



▲リア・パネル。左からS/P DIF入力(オプティカル、コアキシャル)、スピーカー出力(TRSフォーン)×3系統、ライン出力(TRSフォーン)×2系統、アナログ入力(TRSフォーン、RCAピン)×3系統、リモート・コントロール・スイッチ、リモート・コントロール用コネクター、フット・スイッチ、外部マイク接続スイッチ、マイク入力(XLR)

PRESONUS
Central Station
オープン・プライス(市場予想価格73,500円前後)

SPECIFICATIONS

■ビット・レート/24ビット対応
■サンプリング周波数/44.1/48/88.2/96/176.4/192kHz
■外形寸法/48.3(W)×4.4(H)×14(D)mm
■重量/2.3kg
■付属品/純正パワー・サプライ