創造性が膨らむデジタル・リバーブ&マルチエフェクト・プロセッサー

ZOOMRFX-2200

ジタル・リバーブ&マルチエフェクト・プロセッサー”と銘打っているだけあってリバーブが121種類も用意されている。加えて、マスタリングを意識したミックス・ダウン・エフェクトやマイク入力など創造性を膨らませる機能があるのも見逃せない。既存のエフェクターを超えたマルチぶりがいかなるものか試してみた。

8個のノブをひねるだけで
音作りに関する作業は完結


実際に使用してみて実感したことは、操作がしやすいということ。これが最初の特徴として挙げられる。フロント・パネルに並んだ8個のノブをひねるだけで、音作りに関する作業がほとんどすべて完結できる仕組みになっているのだ。その工程を解説しよう。まずBANKキーとEFFECT TYPEセレクター・ノブでエフェクトを選ぶ。その後、選択したエフェクトに応じて右側の4つのノブに割り振られたパラメーターをエディットし、左側にあるINPUT、OUTPUT、MIXコントロール・ノブで生音とエフェクト音のバランスを調節するといった具合。幾層にも重なった呼び出し式のパラメーターに四苦八苦することもなくダイレクトに自分の意思をエフェクターへ伝えることができるわけだ。パラメーター設定後もCOMPAREキーを押せば設定前の状態と比べることができたり、PARM CHECKキーによって各パラメーターの値を呼び出せるなど、便利な機能もあって重宝するはずだ。気になるプリセット・プログラムは合計で528種類もあり、用途に応じて分類された6つのバンクからはそれぞれ8エフェクト・タイプがセレクト可能。さらに1つのエフェクト・タイプの中で11個のキャラクターを選択できる。ここからは各バンクの特徴をプリセット名を挙げながらそれぞれ紹介していくことにしよう。REVERBバンクには“HALL”“ROOM”“PLATE”とベーシックなもののほかボーカルや打楽器、ストリングスなどに特化したものがあるなど充実の内容。音圧感が増す“POWER”ではキック、スネアなどドラムのアンビエンスに最適化されている。ピークを抑えた品の良い響きの音質で心地良い奥行きを感じることができる。DELAYバンクにはディレイ・タイムを100ms単位でエディットできる“STEREO DELAY”や“MONO DELAY”、パンの周期を設定できる“AUTO PANNIG DELAY”などがある。“RHYTHMIC DELAY”ではディレイ・タイムをBPMと音符の長さで設定でき、MIDIクロックを受信することで外部MIDI機器のテンポに追従することも可能。フロント・パネル上のキーをたたいてリアルタイムにディレイ・タイムを入力できるTAP機能はバンドなどのセッションで活躍するに違いない。

DJプレイに役立ちそうな
フィルター系のエフェクト


次に、モジュレーション系を集めたEFFECTSバンク。ピッチ・シフトを半音単位で変えられる“PITCH”のほか“CHORUS”“FLANGER”“PHASER”と定番のものが並ぶ。オート・パン効果のある“TRM-PAN”はギターやシンセを入力してリアルに増幅する音量の揺れを体感できる。特殊エフェクトが楽しめるのはSFXバンク。その筆頭に挙がるのが何といっても“VOCODER”だろう。本機のフロント・パネルにはXLR、フォーン兼用のマイク入力が装備されているので、ほかのヘッド・アンプを介することなく低出力のダイナミック・マイクでも十分にパフォーマンスでき、反応が良くクリアなボコーダー効果が得られる。ほかにはリング・モジュレーターや音の強弱に応じてディレイ・タイムが変化する奇抜なエフェクト、独特のステレオ感を強調する“DIMENSION REVERB”、残響音を任意の長さでカットする“GATE REVERB”、リバーブ音を逆走させる“REVERSE REVERB”といった変り種のリバーブもラインナップされている。RE-MIXバンクは、2ミックスのソースを加工することができるなど、DJプレイに役立ちそうないわゆるフィルター系のエフェクトを集めている。中でも“ISOLATOR”は、低中高と3つの帯域のミックス量を設定することでトラックの表情に変化を付けられる優れもの。サンプリングやDJミックスなどにその威力を発揮する。そのほか標準的なフィルターはもちろん、時間軸上で周期的にフィルターに動きをつけるエフェクトやローファイ・プロセッサーもあり、派手に音を作り込むテクノ・ミュージックやリミックス作業に今すぐ導入できそうだ。MIXDOWNバンクは楽曲全体にかけて音質をコントロールするエフェクトが集められている。特筆すべきはマスタリングが行える“FINAL MASTER”だろう。4バンドEQと3バンド・コンプレッサーを有し、これらを設定することで繊細に音質のコントロールができる。専用機には及ばないまでも、WETバランスで効き具合を調節できるなど本機ならではの効果が実感できる。また、リア・パネルにはデジタル出力(S/P DIFコアキシャル/オプティカル)が標準装備されており、DATやMDなどのメディアにデジタル・レコーディングできることも大きな強みと言えるだろう。RFX-2200はリバーブを強調しているだけにアウトボード的な印象があったが、エンジニア向けというよりもプレイヤーやDJ向きの製品と言える。楽器やマイクを直接つなぎコンパクト・エフェクターのように使ってこそ本領を発揮しそうだ。

▲リア・パネル。左からMIDI THRU/OUT/IN、バイパス(フォーン)、S/P DIFデジタル・アウト×2(コアキシャル、オプティカル)、アウトプットR/L(フォーン)、インプットR/L(フォーン)

ZOOM
RFX-2200
19,950円

SPECIFICATIONS

■プリセット/528
■プログラム ・ メモリー/100
■サンプリング周波数/44.1kHz
■インプット/ライン : フォーン×2、 マイク : コンボ×1
■入力インピーダンス/ライン : 10kΩ (モノラル) /20kΩ(ステレオ)/マイク : 4.5kΩ (バランス入力時) 50kΩ (アンバランス入力時)
■基準入力レベル/ライン : ー10〜+4dBm 、 マイク