録音用コンデンサー・マイクを2本内蔵したモデリング・ギター・アンプ

ZOOMFire-36M

いやいや、これを待ってました! 多彩なアンプ・モデリング、マルチエフェクト、オート・クロマチック・チューナーなどを搭載したギター・アンプZOOM Fire-36が、新たに"マイク"を搭載したFire-36Mとして再登場。"え? マイク搭載?"そうなんです、キャビネットの中にマイクが入っちゃってるんです。しかも2本も! ということは、これ1台でアンプによるギター・サウンドのマイク録音が可能なわけですね。ありそうで無かったこの感じ。早速、使い倒してみましょう。ギター・アンプ自体も、久しく触っていなかったのでワクワクしています!

エフェクトやチューナーも備えた
便利なオールインワン・アンプ


では、簡単に仕様を見ていきましょう。重量は12kgと結構いい感じの重さです。スピーカーは直径25cm(10インチ)で出力は36W。自宅レベルではかなりハイパワーですね。入力部はギター・インプット×1、AUXイン端子(ステレオ・フォーン)×1。AUXイン端子へはCDプレーヤーなどが接続可能です。一方、出力部はフロント側にヘッドフォンの端子(ステレオ・フォーン)。リアには後述のレコーディング・アウトがXLRとフォーン(アンバランス)で用意されています。ヘッドフォン端子にプラグを接続すると、自動的にスピーカーからは音が出なくなり、マイク録音もできなくなるのでご注意を。モデリング技術を駆使したプリアンプ部には、ドライブ・タイプとして11種類のアンプ・モデルが用意されています。さらに各アンプ・モデルでVINTAGEとSTANDARDのバリエーション選択ができるので、合計で22バリエーションを楽しめるのです。特に、MARSHALLやMATCHLESSなどのギター・アンプを参考にしたと思われるVINTAGEタイプのものは、音に丸みがあって好印象でした。ほかにも内蔵エフェクトの豊富さ(19タイプ)やチューナーの搭載など、実際に使ってみて"つくづく便利なアンプだなぁ"と思いました。

特性の異なる2本のマイク出力と
ライン出力を自由自在にブレンド


さて、いよいよお待ちかねの本題に入りましょう! キャビネット内部には、専用マイク・プリアンプと2本の無指向性コンデンサー・マイクが内蔵されています。マイク・プリアンプでのキャラクター付けにより、MIC1が"ダイナミック・マイク風"、MIC2が"コンデンサー・マイク風"のサウンド・キャラクターになっているそうです。それらのマイクで収音した信号は、アンプ内部のライン信号とミックスして、リア・パネルのレコーディング・アウト端子からダイレクト出力できます。ここで面白いのが、単にマイクが搭載されているだけではなく、2本のマイクとライン出力の合計3つの信号を好きな音量バランスで組み合わせてサウンド・メイキングができるというところです。これにプリアンプ部のドライブ・タイプやエフェクトを組み合わせれば、相当なバリエーションを生み出すことができるわけです。実際にギターを接続して、いろいろなセッティングで試してみたところ、マスター・ボリュームを"家ではうるさいかな"というくらいまで上げて、MIC1、MIC2の収音レベルを12時、ライン出力レベルを3時くらいのセッティングにしたときに、音に芯があって好きな感じになりました。当たり前ですがマイク収音なのでギターの音以外にアンプの周りの音も混入します。ただ、そんなライブ感もマイク録音のだいご味だと思うので、"ピックと弦が擦れるシャカシャカした音"などが混入されているのは、妙にうれしかったです。さて、ここで邪道かもしれませんが、1つお勧めしたいFire-36Mの宅録的な使用法があります。クリーンなアンプ・タイプ"PLAIN"をフル活用してギター以外のソースも試してみる、というものです。まず、デジタル・ピアノの出力からFire-36Mのインプット端子へ入力し、PLAINに設定。さらにルーム・リバーブをかけると、この音がまたいいんです。アップライト的な雰囲気も出てるし、鍵盤をタッチする音もしっかり収音されていて、思いのほかリアルで好感が持てました。その勢いのまま調子に乗ってドラム・ループやベースなど、いろと試してみましたが、一番印象的だったのはピアノですね。これは、ぜひ試してもらいたいです。ギターの録音はもちろんですが、これは宅録をやっている人にとって"さまざまに使える道具"のように思えました。宅録をメインでやっていると、どうしてもベストな位置にマイクを立てるまでに要する時間がもったいなく思うわけですが、Fire-36Mを使えば、その時間を有効に使え、なおかつクオリティの高いマイク収音を期待できます。そして、何よりZOOMならではのコスト・パフォーマンスが光ってますね。欲を言えば5年早く作ってほしかった! 取りあえず買いです。

▲リア・パネルの接続端子とコントロール部。左からRECORDING OUT×2(XLR、フォーン)、LINE、MIC1、MIC2のRECORDING LEVELつまみ

ZOOM
Fire-36M
29,400円

SPECIFICATIONS

■AD変換/20ビット(64倍オーバーサンプリング)
■DA変換/20ビット(8倍オーバーサンプリング)
■サンプリング周波数/31.25kHz
■エフェクト/モジュレーション(10種から選択)+ディレイ&リバーブ(4種から選択)+ブースト+サステイン+エッジ+ボトム+ZNR
■外形寸法/485(W)×410(H)×240(D)mm
■重量/12kg