Libyus Music（www.libyus.com）からアルバム『II』を出しているFORCE OF NATUREのDJ KENTです。普段は音楽制作のほか、都内のクラブを中心にDJ活動をしています。今回レビューをするのはAUDIO-TECHNICAのDJ用ヘッドフォン、ATH-Pro700です。DJにとってやはりヘッドフォンは必需品。マイ・ヘッドフォンをクラブに持って行くのを忘れて、仲間から借りた物でプレイをするとやはり調子がいまいちだったりします。それくらい重要なアイテムなのでここはじっくりとチェックしてみましょう。
フロアでキックがクリアに聴こえる
圧倒的な低域とサウンドの立体感
最初に気になるのはやはりルックス。真っ黒でフューチャリスティックなカッコイイ箱から出てきたATH-Pro700、ボディ部分はマットなブラックを基調に、ハウジングにシルバーがびしっと入っていてなんとも重厚感があってかっこいい！ まさにProという名前が物語っている通りプロ仕様といった面持ちで（プロなら現場にヘッドフォンは忘れません、笑）、何か特別なことをやってくれそうな予感がむんむんしてきます。どんな機材でも見てくれって結構重要だったりします。愛着わきますからね。では肝心の音チェックの方にいきましょう。はっきり言ってビックリでした。低音の出方がクリアかつファット！ 最大許容入力3,500mW、周波数特性5Hz〜33kHzというスペックだけあってパワフルです。ほかのヘッドフォンと比較してみましたが圧倒的に低音が出ています。重低音がぐるぐる回っているクラブの中で次の曲をキューイングしなきゃならないDJにとって、低音がクリアかつ割れたりしないということはなんとも頼もしいではないですか。実際のプレイでは、かかっている曲のキックと次にかける曲のキックを聴き分けてピッチを合わせていくので、クリアに低域が出ると非常にミックスしやすいのです。さらに普通ならこれだけ低域が出ると埋もれがちになる中〜高域ですが、この帯域もかなりクリアでつやっぽい鳴りをしています。ナマってるのではなく、つやがあるんです。スネアもハイハットも粒立ちがはっきりしているのに痛くなく立体的に聴こえ、これなら長時間でも耳が疲れることなく快適にDJプレイできるでしょう。このチェック中にATH-Pro700でいろいろなジャンルのダンス・ミュージックを聴いたのですが、これがかなり楽しい！ 低音が重要な音楽だけあって抜群の相性です。DJの人だけでなくダンス・ミュージックが好きな人ならすごく気に入るヘッドフォンだと思います。全体的な音の印象としては、かなりのダンス・ミュージック仕様といった感じです。
180度回転のハウジング部と
携帯に便利なコンパクト収納
さらにDJプレイ時にもう1つ重要なのが装着感。それぞれDJによって通常のヘッドフォンの装着方法は、片耳だけ外してモニターする人や、首にかけて片耳にだけハウジング部分を当ててモニターする人などDJによってそのスタイルはさまざまです。このATH-Pro700はもちろん通常の装着方法もできますが、ハウジング部分が180度回転するので後者のような首かけスタイルの片耳モニターもかなり楽にできます。ミックス中にミキサーのフェーダーやEQ、ターンテーブルやCDプレーヤーのピッチを同時にいじらなくてはならないDJにとって、サッとハウジングが回転して耳にフィットしてくれるのは、かなりありがたいことです。コードも片出しのカール・コードなのでミックス中やレコードを選ぶなどの作業中にぐちゃぐちゃに絡まることもありません。またヘッドフォン自体もコンパクトに折りたためるので、クラブなどに携帯していくのに便利です。そしてもう1点重要なことは耐久性です。僕も今までに何個のヘッドフォンを壊してきたことか......。やはり曲を選ぶためにレコード・ボックスに向いたり、ブースに向いたりと常にコードは伸び縮みするし、キューイング中は耳と肩でハウジングを挟んだりと、激しい動きがつきものなので頑丈にできていないと使い物になりません。その点このATH-Pro700は相当頑丈な作りになっていて安心です。AUDIO-TECHNICAは、今までいろいろなDJ用ヘッドフォンを出してきたメーカーですが、今回のATH-Pro700はプロの名が語るようにかなりの自信作なのではないでしょうか。
▲折りたたんだ状態
SPECIFICATIONS
■形式／密閉式ダイナミック・ステレオ・ヘッドフォン
■周波数特性／5Hz〜33kHz
■入力インピーダンス／36Ω
■出力音圧レベル／105dB/mW（JEITA）
■最大入力／3,500mW
■ドライバー・ユニット／53mmネオジウム・マグネット
■重量／約320g（コード含まず）
■コード長／1.2m（伸長時約3m）
■付属品／キャリング・ポーチ
