小型ボディにエフェクトやリズム・マシン、マイクまで内蔵した多機能MTR

ZOOMMRS-8

どうも、初めましてメトロオンゲンというバンドの龍崎です。バンドをやっているといろいろな場面で録音機材を使うと思います。例えば、曲のアイディアをデモとして録っておいたり、バンドの音源作りやプリプロなどなど。その録音機材の選択基準はたくさんあると思いますが、今回は特に可搬性に優れ、コスト・パフォーマンスの非常に高いMRS-8をご紹介します。

軽量&電池駆動の身軽なフットワーク
内蔵マイクのクオリティも良好


まず、実物を見て驚きましたね。小さい! しかもめちゃくちゃ軽い! 1.1kgです。これならリハスタに持って行くのに気合を入れる必要はないですね。僕はこれだけ見た目が小さいと機能の方が心配になってしまうアナログな感覚の持ち主なのですが、機能の方もかなり充実しているようです。以下で具体的に見ていきましょう。本機の記録メディアにはSDメモリーカードを使用します。サンプリング・レートも44.1kHzとCDクオリティでの録音が可能です。同時録音は2トラック、同時再生は8トラック仕様で、さらに各トラックごとに10テイクのバーチャル・トラックが用意され、計80トラックの録音が可能。バウンス機能もあるのでトラック数で不自由することはまずないでしょう。もちろん、コピー、ムーブ、イレースなどのトラック編集機能も充実しています。さらに面白いところでは、テープ逆回転のような音が作れるリバース機能もあります。本機は単三乾電池4本で駆動するので、野外など電源の無い場所でも使用が可能です。別売りのACアダプターを使えば、長時間の使用も問題無し。さらに小型コンデンサー・マイクが本体に内蔵されているため、外部のマイクを接続しなくても生録りが可能。持ち歩いているときにふと思い付いたアイディアをすぐに残しておけるわけです。このフットワークの軽さはありがたいですね。ちなみにこの内蔵マイクですが、結構良い音で録ることができます。試しにアコギを録ってみたのですが、“えっ?このままで全然いいじゃん”というくらい、普通に良い音で録れていました。入力レベルも簡単に調節できるので、リハスタでジャムっているバンド全体の音を録るのにも適しているでしょう。そうやって録ったテイクを家に持ち帰ってアイディアを加えていくなど、曲作りの幅も広がりそうですね。

リズム・マシン機能やエフェクトも装備
パソコンとの連携も可能


本機には、リズム・マシン&ベース・マシン機能も搭載されていて、8種類のドラム・キット、5種類のベース音源から選んで使うことができます。パネル左のタッチ・センス付きパッドをたたいて、ニュアンスのあるオリジナル・リズム・パターンの打ち込みが可能です(ステップ入力にも対応)。また、475種類のプリセット・リズム・パターンも用意されているので、大まかなリズム・ガイドが欲しいデモ制作時などに便利です。さらに内蔵エフェクトも充実しています。インサートとセンド/リターンの2系統が同時使用可能で、インサートは94タイプを搭載。ギター/ベース・アンプやマイク・プリアンプをモデリングしたプログラムもあり、録音の段階で音作りに困ることはなさそうです。僕はエレキギターで試してみたのですが、エグめな音、飛び道具的な音も作ることができて結構遊べました。アンプ・モデリングではピッキングのニュアンスもちゃんと出せるし、ライン直でも十分な感じです。センド/リターンにはリバーブ、コーラス、ディレイなど6タイプが用意されていて、全体の空気感を調節できます。さらにロー/ミッド/ハイの3バンドの帯域別にかけられるマルチバンド・コンプなどのマスタリング用エフェクトも搭載されているので、デモ制作だけでなく、これ1台で作品をきちんと仕上げることも可能です。僕はマルチバンド・コンプをいろいろいじって立体的な変化を楽しむのが好きなので、このエフェクトの搭載はうれしいですね。そして何気ない部分ですが、チューナー内蔵も便利な点です。いちいちシールド・ケーブルを抜き挿ししないでワン・タッチでチューニングが行えるのは本当に便利。バンドマンには“デモを録るのにいちいちチューニングを合わせるなんて面倒”という無精者が結構多いと思います。そういう人たち(僕も含め)にはありがたい機能です。そのほか、ZOOMのWebサイトからフリーでダウンロードできるMRS-8 Card Manager for Windowsというソフトを使って、本体のオーディオ・データをWAV/AIFF形式でパソコンとやり取りすることもできます。物理的なやり取りは、カード・リーダーをパソコンに接続してSDカード経由で行うのですが、これを使えば、例えばリハスタでMRS-8で録ったテイクを、自宅のパソコンのDAWソフト上にコンバートして編集するといった作業ができるわけです。自宅のデスクトップ・パソコンにDAWソフトをインストールしたはいいけど、バンドの音、特にドラムはスタジオじゃなきゃ録れないし……と悩んでいる人に便利な機能ですね。MRS-8の機動力を生かした使用法だと思います。以上、駆け足で機能を見てきましたが、この小ささ&軽さでこの機能、そしてこの価格にはちょっと驚きました。バンドが必要とするレコーディングのすべてのシーンに対応可能という印象です。録音機材を気軽に持ち運べるのは素晴らしいことですね。個人的にはリハスタでジャムっているときに、全体の音をこれで録っておきたいです。ウチのバンドはジャムりながら曲を作っていくことが多いんですけど、これで録っておけば自宅に帰ってからもいろんなアイディアを試せるので。うーん、欲しくなりました。

▲リア・パネルには左からMIDI OUT、SDカード・スロット、アウトプット×2(RCAピン)、ヘッドフォン、インプット2(XLR/フォーン)、インプット1(フォーン)

ZOOM
MRS-8
34,965円

SPECIFICATIONS

■トラック構成/フィジカル・トラック×8(バーチャル・トラック×80)+ドラム・トラック×2(ステレオ)+ベース・トラック×1
■記録メディア/SDメモリーカード(16MB〜1GB)
■最大録音時間(1トラック換算)/256MB:約100分、1GB:約400分
■ミキサー入力チャンネル/13(11トラック+2インプット)
■エフェクト・タイプ/インサート:94、センド&リターン:6
■サンプリング周波数/44.1kHz
■外形寸法/300(W)×165(D)×60(H)mm
■重量/1.1kg(電池含まず)