12インチのプラッターでアナログ盤の操作感に肉薄したDJ用CDプレーヤー - サンレコ〜音楽制作と音響のすべてを届けるメディア

NUMARKCDX

DJ HIRAGURI

ここ数年、DJ用CDプレーヤーの開発競争の激化には目を見張るものがある。各メーカーが次々に最新モデルを送り込んでいるが、今回紹介するのはNUMARKのCDX。僕自身一時期NUMARKのDJミキサーを愛用していたこともあるので、かなり興味津々だ。早速チェックしていこう。

回転するレコード盤に触れて
内部のCDの音を自在に操作する

まず目を奪われたのが、本体の中央にある実寸大のターンテーブル（12インチ・サイズのアルミ製プラッター）！しかもその上にはスリップマットとビニール・レコード（実際のアナログ・レコードを模した付属品）を設置できるのだ。つまりこのCDXは、まるでアナログ用のターンテーブルを触るのと同じような感覚で内部のCDを操作できるというわけ。では、いざCDをフロントのスロットから挿入し再生ボタンを押すと、プラッターがアナログ用のターンテーブルよろしく回転し始めた。早速あれこれ触ってみる。すると、ビニール・レコードに触れた手の動きが実にリアルに、そしてダイレクトに内部のCDに反映される。盤面に手を置くと瞬時に音が止まるし、リリースするとスムーズに音が再生される。簡単に曲の頭出しもできるし、プラッターの縁に触れたりしてのピッチ微調整も思いのままだ。アナログ用のターンテーブルと比較しても何らそん色がない。DJにとって、この手の動きがダイレクトに音に反映されるというのはかなり重要なポイントだろう。

使える内蔵エフェクトに加え
正確なBPM検知機能を装備

では、CDXならではの機能を見ていこう。まず本体右奥にある曲のテンポをコントロールするピッチ・スライダー。スライダーを"＋"方向に動かすと曲のテンポは速くなり、"−"方向に動かすと遅くなるのだが、その際のスケールを、±６％／±12％／±25％／±100％の４パターンから選択できる。このピッチ・スライダーとキー・ロックという機能を合わせて使うと面白い。キー・ロック機能とは、曲の再生中にキー・ロック・ボタンを押すと、その曲の音程を以後ずっと維持できるというもの。例えば、先ほどのピッチのスケールを±100％に設定しキー・ロックを掛けた後、ピッチ・スライダーを"−"方向にスライドしていくと、キーを維持したまま曲のテンポだけが遅くなり、最終的には完全に曲を止めてしまうこともできてしまう。逆にスライダーを"＋"方向に完全に振れさせるとキーを維持したまま２倍のテンポで再生されるといった効果を得ることができる。さて、さらにCDXの優れた機能として挙げられるのが"ビート・キーパー"。これはいわゆる自動BPM計測器をより進化させたもので、NUMARKが商標登録した最先端技術Beatkeeperを使用した、より正確なオート・シンク機能だ。具体的には曲をプレイすると本体左奥のLEDが４拍分のタイミングで点滅し、また本体右奥のLCDディスプレイには数字でBPMが表示される。DJプレイには不可欠なピッチ合わせに重宝するのはもちろん、DJ用CDプレーヤーならではのループ作成も正確に行うことができる。ちなみにループ作成は"LOOP IN ""LOOP OUT ""RELOOP"の３つのボタンのみでシンプルに設定でき、ループの長さを即座に半分にしたり、逆に２倍にしたりといったこともボタン１つで可能だ。また、CDXにはSONAR、SLIDE、FILTER、KILL、ECHO、A.D、CHOP、PANの８種類のエフェクトも装備されている。個性的なものが多く、特にFILTERの効き方などはかなり強力。どのエフェクトも曲中に本体左上のジョグ・ホイールを回せばリアルタイムにパラメーターを調整できる。さらに注目なのがスクラッチ機能。例えば"スクラッチ＋CUE"モードでは、本体中央奥にあるCUEボタンで曲中にキュー・ポイントを設定すると、その後スクラッチをするたびに自動的に元のキュー・ポイントまで曲が戻るといったプレイができてしまう。もちろんスクラッチ自体の操作性も良好で、カット・イン、バック・スピンなどのトリッキーな技を多用するヒップホップDJでも違和感なく使いこなせるだろう。足早に紹介してきたが、とにかくこのCDX、アナログのターンテーブルと同じような大きさと操作性はDJにとってかなりうれしい。また、MIDIのIN/OUTも付いているのでMIDI機器をつないでCDXとシンクロさせることもできたり、デジタル・アウトも装備していることを考えればDJ専用CDプレーヤーとしてだけでなく、音楽制作にも威力を発揮する１台と言えるのではないだろうか。