積極的な音作りが可能なハーフ・ラック1ch仕様のチャンネル・ストリップ

JOEMEEKThreeQ

JOEMEEKといえば、もうおなじみですよね。いろいろな価格帯のラインナップがあるので皆さんも一度は使ったことがあるのではないでしょうか? そのJOEMEEKがこの度、新ラインナップを発表!! 今回はThreeQというチャンネル・ストリップをチェックしていきます。

さまざまな使用環境に対応する
細やかな配慮のされた入出力部


ThreeQは、ハーフ・ラックの中にマイクプリ/コンプ/EQが搭載されたいわゆるチャンネル・ストリップで、この辺りは今までと同じく親しみやすい感じ。おなじみのJOEMEEK色とでも言うべきグリーンが少しラメっていてゴージャスです。パラメーターとしてはフロント・パネルの左から、マイクプリのGAIN、コンプのCOMPRESS/ATTACK/RELEASE、EQのLF(80Hz固定)/MID FREQ(300Hz〜5kHz可変)/MID/HF(12kHz固定)、出力のGAINとなっています。リア・パネルには左から+4dBu/−10dBVの切替スイッチ、OUTPUT(TRSフォーン)×2、MIX INPUT(TRSフォーン)、INSERT(TRSフォーン)、LINE INPUT(TRSフォーン)、MIC INPUT(XLR)、48Vファンタム電源スイッチとなっています。このOUTPUT2系統や出力レベルを選べるスイッチは今の宅録時代に最適です。例えば、OUTPUTの1はそのままオーディオ・インターフェースに接続し、OUTPUT2をモニターに返せばCPUベースの録りでもレイテンシーを気にせず作業ができるし、出力レベルの調整も自宅スタジオやその他のプロジェクト・スタジオ、ライブなど、どんな環境でも使えるのはうれしいですね。

最小限のつまみを使用し
素早く望み通りの音作りが可能


本機は1chのチャンネル・ストリップということで1chでの使用を想定できるボーカル、エレクトリック・ベース、サンプリングのループ素材で本機を試していきましょう。まずはマイクプリの性能をチェックするため、マイクはAUDIO-TECHNICA AT4050をつなぎ、OUTPUTからそのままオーディオ・インターフェースへ。最初にコンプとEQはOFFでボーカルを録ってみます。マイクプリのゲイン調整つまみはクリック式になっており、こういった細かい気遣いがうれしいと思いつつ、ゲインを上げていくと……うー、本当に最近のこの価格帯のマイクプリは質の高さに驚かされます。ちょっとねちっこくて、ガッツのあるJOEMEEKならではの音はそのままで、高域が少し伸びたという印象です。僕はもっとレベルを上げてひずむJOEMEEKの音をよく好んで使うので、今度は大きなPA用のスピーカーからドラムのループを出して、それを録ってみます。マイクを立ててゲインをさらに上げると……JOEMEEKらしさは健在です。非常に良いドライブ感です。ベースにも使えそうですね。次にオプト・コンプで、これもボーカルから試します。各つまみは12時からスタートし、マイクプリで0dBくらいまでレベルを稼いでからスイッチをオン! ブルーのライトがいちいち素敵です。ボーカル録りでよく使う2〜4dBくらいのコンプを狙って調整すると、この価格帯でコンプ臭くならないのが好印象。さらに、8dBくらいを狙うと……はい、これがレジェンドJOEMEEKサウンドですね。欲しい音が簡単に得られるのはさすがです。以前のモデルよりも自然にコンプがかかる範囲が広くなり、音作りの幅が格段に広がっています。さらにドラム・ループで過剰なコンプをかけると、見事に荒れてくれます。良い感じです。EQ部に関しても同社のVC3Qなど、以前のモデルと同じというか、シンプルな配置なので何も考えずに各つまみをグリグリ。このEQは深いこと考えずにザックリした音が作れるのが魅力でしょう。攻めのEQという感じです(削っていくよりも足していく方が似合うEQとでも言えばいいのでしょうか)。ボーカルではコンプとEQを併用して、以前のモデルにあったエンハンスという機能を再現できるのです。近接効果を狙いたいときなどには良いでしょう。ボーカル以外でも試したのですが、音作りに関して欲を言うと“MID FREQが8kHzくらいまであるともうちょっと幅のある音作りができるなー”と思います。あと、ローカットなどあると、さらにうれしいなという感じです。この大きさといい、レコーディング/ミックス時だけでなく、楽器を演奏する際にも使えそうということで、リハーサル・スタジオにも持ち出してみましょう。エレキベースでコンプとEQを中心にチェックします。ライブはやはりレコーディング時よりもコンプきつめの方が良い結果が出るので試すと……構造がシンプルなので、好きな音を出せるまでが早い! しかも、コンパクト・エフェクターなどよりも自然にかかるし、つまみの数がさほど変わらないのに調整幅が広いのです。EQも本機で大まかに音を作ってから、ベース・アンプのグラフィックEQで微調整した方が好きな音になるまで早いし、アンプにもう1つEQが加わると思うと、アンプ・ヘッドが違っても心強い味方になってくれるのは間違いないでしょう。全体的な印象としては以前の同価格帯のJOEMEEKと比べると、マイクプリの性能が上がったし、コンプのかかり方に幅が出たなという感じです。INSERT端子も付いているので、個性的な使い方もできるでしょう。こんなにコンパクトで、しかもレコーディングやライブにいろいろ使えて、価格は4万円前後。最近はノート・パソコンでレコーディングなどという人も増えていますが、そういった際にもパワフルな機材がこの価格帯で手に入るということに驚きっぱなしです。
JOEMEEK
ThreeQ
40,740円

SPECIFICATIONS

■入力インピーダンス/1.2kΩ(マイク)、20kΩ(ライン)
■プリアンプ・ゲイン可変幅/0dB〜60dB
■最大入力レベル/+19.5dBu(マイク)、+44.5dBu(ライン)
■周波数特性/10Hz〜70kHz(−3dB)
■出力インピーダンス/75Ω
■ノーマル出力レベル/+4dBu/−10dBv
■外形寸法/220(W)×44(H)×180(D)mm
■重量/1kg