【製品レビュー】高品位録音が可能なプロ仕様のポータブル・メモリー・レコーダー

MAYCOMHandheld II

屋外での録音を行う際のレコーダーには、携帯性や安定性、操作性、機動性などの要素が求められます。メモ録音用途のICレコーダーでもこれらの点を兼ねそろえる製品は存在しますが、最も重要な音のクオリティについては十分とは言えません。このたび放送機器メーカーMAYCOMからリリースされたHandheld IIは、そのような条件をすべてクリアしたプロ仕様のポータブル・メモリー・レコーダーとのこと。期待しつつチェックしていきたいと思います。

簡単な操作性と高音質を実現する
充実のスペック


まずはスペック関係を見ていくことにしましょう。Handheld IIのサイズはテレビのリモコンくらいで、重さは300g。ちょうどSHURE SM58と同じくらいの重さで、ほど良い手ごたえがあります。記録メディアはコンパクト・フラッシュを採用しており、フォーマットはMPEG2と16ビット・リニア(BWF)、サンプリング・レートは16kHz〜48kHzで、音質も期待できそうです。本体には液晶パネルとボタン類に加え、内蔵マイク、内蔵スピーカー、ヘッドフォン・アウトと通信ポートを備えています。この通信ポートはオプションのドッキング・ステーション(66,150円)との接続のほか、付属のUSBケーブルとXLRケーブルが接続できるようになっています。ドッキング・ステーションにはアナログ入力(XLR)×2、アナログ出力(ステレオ・ミニ)、ヘッドフォン・アウト、内蔵スピーカー、USB端子が装備されており、本体のバッテリーをチャージする機能もあります。バッテリーは約2時間半の駆動が可能となっています。なお、本体とドッキング・ステーションに加え、128MBコンパクト・フラッシュ、バッテリー2本が付いたフルセット(249,900円)も用意されています。コンピューターとUSBで接続すると、コンピューターはHandheld IIを外付けドライブとして認識します。付属CD-ROMに入っているエディター・ソフト(Windowsのみ対応)では、サンプリング・レートや記録フォーマットなどの設定をユーザー・プロファイルとして本体に保存できます。もちろん本体の方でもある程度設定することができますが、ここで用途に合わせた設定を幾つか作成して保存しておけば、録音する際、状況に応じて切り替えて使うことができるので便利です。

高解像度で立体感のある音を
手軽に録音することが可能


早速試しに録音をしてみましょう。レコード・スイッチをオンにすると、電源ボタン横のLEDが点滅して、プリレコーディング状態になります。この状態でヘッドフォン・アウトからはAD/DA後の音が出力されており、記録フォーマットに準じた音質でのモニターができます。レコーディング・レベルは手動で設定することもできますし、AGC(オート・ゲイン・コントロール)リミッターをオンにすれば自動的に最適のレベルで録音できます。そしてマーカー・ボタンを押せばレコーディングがスタートします。慣れれば起動してから約5秒程度の時間で録音を開始可能で、これは素晴らしい操作性だと言えるでしょう。内蔵マイクはモノラルで無指向性のものですが、カラっとした音質で立体感がある音を得ることができました。ドッキング・ステーションを装着するとステレオ・レコーディングが可能で、インプット・レベルはマイク、ラインに対応しています。ステレオで収録してみましたが、原音に忠実で安定感があります。各フォーマットでの音質についてですが、16ビット・リニアはもちろんMPEG2圧縮時の音質も良好です。これはメモリー容量、記録対象との兼ね合いで選択すると良いでしょう。次に外へ持ち出して、内蔵マイクでフィールド・レコーディングをしてみました。音質はローノイズ、ハイゲインで解像度が高く、非常に反応が速いので遠くの小さな音まで奇麗に録れます。普段耳で聴いているよりもかなり広範囲にフォーカスが合っている感じで、パーカッシブな音が多い場合などはビット・レートを下げて鈍らせた方が自然に感じるほどでした。さらにライブを録音してみました。レベルをかなり突っ込んで試しましたが、結構タフでレベル・オーバー時のクリップも痛い感じになりません。リミッターのリリースも速いのでラフなセッティングでも確実性があり、音量の大小にかかわらず手軽に高音質でレコーディングできます。また、スタジオでは付属のXLRケーブルにSM58をつないでボーカルをレコーディングしてみました。こちらも同様に反応の良いしんのある音質で収録ができ、プリアンプとしても魅力的です。このような製品はデジタルの側面がクローズ・アップされがちですが、本機はマイクやプリアンプなどアナログ的にも非常に優れた性能を持っています。すべてにおいてプロ仕様の本格的な作りで、この価格も納得できるでしょう。フィールド、ライブ、スタジオなどすべての音楽制作現場で非常に重宝する1台だと言えます。

▲ドッキング・ステーション装着時。ドッキング・ステーションには、アナログ入力(XLR)×2、ヘッドフォン・アウト、アナログ出力(ステレオ・ミニ)、USB端子が用意されている

MAYCOM
Handheld II
176,400円

SPECIFICATIONS

■記録メディア/コンパクト・フラッシュ
■周波数特性/20Hz〜20kHz
■サンプリング周波数/16kHz〜48kHz
■S/N比/80dB
■外形寸法/64(W)×178(H)×30(D)mm
■重量/0.3kg