モニタリングしやすく粒立ちの良い音が魅力のDJ用ヘッドフォン

TECHNICSRP-DH1200

TECHNICSといえば、やはりDJ御用達のターンテーブルの名機SL-1200シリーズが最初に思い出されるのですが、今回は同社からDJ用ヘッドフォンRP-DH1200の登場です。DJをされている方々にとって、レコードはともかく最近はマイ・カートリッジと共にマイ・ヘッドフォンをクラブに持っていくのは当たり前であったりするので、やはり良いモノを選ぶことがかなり重要ですよね。今回は僕もレコーディング・スタジオでレコードをリスニングしながらのDJスタイルでチェックさせていただくことになりました。期待してレビューしていきましょう。

着脱式のカール・コードと
反転片耳モニターを採用


良い音を気分良く聴くためには、やはり第一印象が大切です。何よりも先に目に入ってくるのはその外観で、数あるヘッドフォンの中にあっても、お店に入ったら一目で"これ、間違いなくTECHNICSだ!"という外観のかっこよさは、かなりインパクトがあるのではないでしょうか。さて、箱から出してみてまず驚いたのは、なんと付属のカール・コードが本体との着脱式になっていることです。これはかなりポイントが高いと思います。よく持ち運びのときに、折り畳んだヘッドフォンにカール・コードをぐるぐる巻きにしてる人を見かけますが、結構巻きづらそうに思えてしまいます。しかしその点、この製品は、本体から取り外せるので自宅から持ち出す際やDJ使用後などに、さっとカール・コードを外して収納しやすいのではないでしょうか。持ち運びの際にもすっきりと収まりがよいし、何かのトラブルでケーブルが断線した場合にも、サクッと交換できますしね。こういった配慮はすごく大事です。ヘッドフォンの大きさというのは個人の好みもあるとは思いますが、この製品は自分にしてみればなかなか良いサイズですね。僕は実際にDJをするときには、レコードを選ぶためにかなり体を動かすので、そんなときに頭にがっちりとヘッドフォンが固定されていないと大変だったりするのです。下手に小さいヘッドフォンだと、何かの拍子に頭からずり落ちたりして、自分がしたことなのに慌てふためいたり。細かいことですが意外とDJブース周りではその辺りが重要なことなのです。その点ではこのヘッドフォンは適度に重みもあるし、しっかりとしたホールド感でバッチリです。また反転片耳モニター方式を採用していて、しかもそれが耳にフィットするので、これもDJ用としてはもってこいだと思います。

上下のレンジがしっかりと聴こえる
ミックスに最適なサウンド


さて、いよいよ本題。肝心の音の方ですが、率直に第一印象を言えば、自分にとってはかなり好きな音でした。特にDJがクラブで使うヘッドフォンは、どんなジャンルであっても、曲のピッチ(テンポ)を合わせるために目安になるリズムの聴こえ方が重要なポイントなので、その辺りが非常に良いなと感じました。アタック感が早くてリズムがすごく耳に入ってきます。だからといってそのポイントだけが無理に強調されているわけではなくて、レンジも上下がしっかりと出ている上で、さらに音がちゃんと粒立ちしてるんです。クラブでプレイしているときなどは、人によってヘッドフォンの掛け方も違いますが、どんな場合であれ、かなり細かいところまでモニターできるので、そんなにボリュームを上げなくてもミックスしやすいのではないかと思います。これならベース始まりの曲などでも"曲の頭どこだ?"なんて、慌てたりすることもないでしょう。実際のクラブでの使い勝手がすごく良いのではないでしょうか。さて、RP-DH1200は、基本的にはやはりクラブ・プレイでの使用が目的で作られている製品なのですが、今回はこのレビュー時に、たまたま自分がレコーディングをしていたということもあって、スタジオでレコーディング目的で使えるかどうかもいろいろと試させていただきましたが、全く問題なく使えました。聴こえてくる音の分離の仕方がとても素敵なんです。いや、むしろこういう粒立ちの良いモニター・ヘッドフォンの方がリズムなどのレコーディングの際には活躍するんじゃないかと思ってみたり。次回スタジオに入るときもまた使ってみたいなという気になりました。最後に、DJ用とはいえ実はこういう使い方をする読者が割と多いのではないかと思い、自分の持っているオーディオ・セットにつなげて、リスニング用としても試してみましたが、音の感じが良いからでしょうか、普通に長時間聴いててもしっかりと聴けて、なおかつ疲れないんですよね。ん〜これはいいかも。DJだけが使うのはもったいないのでは? いろいろなところでいろいろ人がその人なりに使っていってもいい製品なのではないかと感じました。今回はレビューを書くに当たっての時間が短かくて、本当はもっと試してみたかったですね。と言うのも、やはりヘッドフォンというのは、通常のモニター・スピーカーなどと一緒で、ある程度使用して慣らしてからが本領発揮ですし、そうして慣らしていくうちに、もっとこの製品は味が出てくるのではないかと思ったからです。もちろん、箱から出してすぐに使える即戦力であることには間違いありません。RP-DH1200はDJ用としてはもちろん、普通に音楽を聴くために新しくヘッドフォンを買おうと考えている読者にも薦めたいですね。いろいろなシチュエーションでお試しあれ。最後に、この製品のカラー・バリエーションものなども発売されたらうれしいです。
TECHNICS
RP-DH1200
オープン・プライス

SPECIFICATIONS

■形式/密閉型ダイナミック・ステレオ・ヘッドフォン
■使用ユニット/直径50mmドーム型
■周波数特性/5Hz〜30kHz
■インピーダンス/50Ω
■感度/107dB/mW
■最大入力/3,500mW
■重量/約360g
■コード長/約1.2m(伸長時約3m)