コンパクト・フラッシュ使用の192kHz対応ポータブル・ステレオ・レコーダー

FOSTEXFR-2

フィールド・レコーディング用のポータブル・レコーダーが多く発売されるようになってきましたが、今回は昨年PD-6を出したFOSTEXから、FR-2を取り上げてみます。フィールドの部門をいろいろと研究しているFOSTEX。期待して見ていきましょう。

24ビット/192kHzまで対応し
PCスロットも装備


FR-2はステレオ(またはモノラル2トラック)のコンパクト・フラッシュへ記録するタイプのレコーダーです。記録時間は1GBのコンパクト・フラッシュを使用した場合、24ビット/48kHz/ステレオで約60分の記録が可能で、さらにPCカード・スロットを装備し、今後はコンパクト・フラッシュ以外のさまざまなメディアにも対応していく予定とのことです。16、24ビットの両対応で、サンプリング周波数も22.05kHzから192kHzまで対応と幅広く、録音の環境に合わせたさまざまな選択が可能です。外観を見てみると、上面のパネルには16/24ビット、ステレオ/モノラル、LINE/MIC、PRE RECのON/OFF、ハイパス・フィルターのON/OFFといった各種切り替えスイッチ、サンプリング周波数とTRIMのセレクター・スイッチ、REWIND、F.FWD、PLAY、STOPの録音/再生用のスイッチ類が分かりやすく配置されています(個人的にはここに蓋があるとうれしいのですが)。前面にはマスター・ボリューム、液晶パネル、メニュ−などの選択キーが配置され、ちょうど付属の肩掛けベルトをすると、これらが見やすい状態になっています。右サイドにはコンパクト・フラッシュ用のスロット、アナログ系の入出力(入力がXLR、出力がRCAピン)、さらに48Vファンタム電源のON/OFFスイッチがあって、コンデンサー・マイクも使えます。左サイドには、デジタルの入出力(AES/EBUとS/P DIF)があり、USBも標準装備されていて、記録したものをすぐにパソコンにBWFで取り込めるのもうれしいところです(Windows ME/2000/XP、Mac OS X10.2以上に対応)。さらにオプションで、将来的にタイム・コードとワード・クロックに対応予定の入出力用スロットも用意されています。背面には電池のホルダーが付いており、単三電池8本で約2.5時間の動作が可能です。

シンプルな操作性で
記録漏れ防止の機能もあり


機能説明はこれくらいにして、肩掛けベルトを付けてFR-2と出掛けてみることにしましょう。最初の印象はとにかく軽い! 担いでいるのを忘れそうになるくらいで、長時間録音する場合などは、疲労度がかなり少なくなりそうですね。今回はモノラルの24ビット/96kHzで、シンプルにNEUMANN KM81iを1本だけつなげて、列車の音を線路の側から録ってみました。どれくらいの空気感が収録できるか、そしてどれくらいの音圧に耐えられるかがポイントです。まずヘッド・アンプの印象ですが、同社のPD-4やPD-6と同じ傾向の音色という感じがしました。低域はあまり持ち上がらずに、中域に少し特徴があるようです。高域もあまり伸び過ぎないように設定されている感じでした。ハイパス・フィルターは、ばっさりと100Hz以下が無くなってしまうような潔いものです。ピーク・レベルはオーバーロードのランプがつくまで突っ込んでみたのですが、かなり耐えていました。もちろん内蔵のリミッターを使ってもよいと思います。録音は簡単で、REC STBYスイッチを押しておいて、その横のRECスイッチをスライドさせて開始させるだけです。このREC STBYを押すことで、録音前の約10秒間の記録がバッファーに保存されて、記録漏れを防止することができるのです。録音を止めるには、REC STBYスイッチをもう一度押すだけ。録音が1回終了するごとにファイルが1つずつ作られます。録音中にMARK CUEボタンを押して CUEポイントを作れば、このファイルの好きな場所にワン・アクションでスキップすることができます。この録音時に注意しなければならないのは、FR-2には録音中のポーズという概念は無いということです。録音中にREC STBYスイッチを押すと、ポーズにはならず、モニターもOFFになってしまうので、これには少し慣れが必要かもしれません。再生もいたってシンプル。録音後にそのままPLAYボタンを押せばすぐに音を聴くことができます。再生した音を聴いてみるとほぼ録音中と同じ感じで、かなり能力は高そうですね。それから録音したファイルには自分の分かりやすい名前も付けられ、録音した日時などのデータもすべて付いてくるので、とても便利です。データの削除はファイル・メニューを呼び出さない限りできないので、誤ってデータを削除してしまう事態も避けられます。万が一削除してしまっても、ファイル・メニューの“Restore”を実行すれば、データを復活させることもできます。これは普通のDATでは絶対にできないのでうらやましい!以上いろいろと試してみた感想ですが、すぐに旅に出てみたくなりました。マイクを1本持っていろいろな音が録音したい。とても軽いし、操作も簡単。オプションのキャリング・ケースもあるので移動にも便利です。皆さん、FR-2を持って気軽に外へ録音しに行ってみてください。

▲右サイド・パネル。左からアナログ・アウト×2(RCAピン)、ファンタム電源切り替えスイッチ、アナログ・イン×2(XLR)、下段にコンパクト・フラッシュ&PCカード用スロット



▲左サイド・パネル。左からUSB×2、デジタル・アウト/イン(AES/EBU、S/P DIF)、上段には拡張用スロットも用意されている

FOSTEX
FR-2
198,000円

SPECIFICATIONS

■トラック数/2tr(STEREO/MONO切り替え可)
■周波数特性/20Hz〜20kHz(44.1/48kHz)、20Hz〜40kHz(88.2/96kHz)、20Hz〜80kHz(176.4/192kHz)
■ダイナミック・レンジ/100dB
■消費電力/約5.7〜10W
■外形寸法/250(W)×77(H)×220(D)mm
■重量/1.5kg(バッテリー除く)