自宅スタジオにも最適なサイズで高解像度の2.1chモニター・システム

BLUE SKYPro Desk System

当たり前のことですが、録音作業で初めから終わりまで必要となるのがスピーカーです。しかも、仕上がりを大きく左右する非常に重要な機材ですので、私もその選択には多いに悩むところであります。各種のニアフィールド・モニターをチェックして“作り出している低音域”という印象を受け、いまいち導入に踏み切れずにいる、なんていう方もいらっしゃるんじゃないですか? そんな悩める皆さんに夢と希望を与えてくれそうなモニター、それがPro Desk Systemであります。これはSat 5という2本のメイン・スピーカー、それにサブウーファーのSub 8を加えた2.1chシステムで、小さな箱だけで無理なフルレンジ再生をさせずに、自然な低域の質感をありのまま表現してくれるというもの。実は、私がスタジオでメインに使っているのも同社のSky System Oneという一回り大きい径の製品なのです。

音本来が持つ低域が再現されることで
的確な録音/ミックス作業が可能に


以前、2.1chシステムを使用したときは、基本はラージ・モニターで“実はサブウーファーも鳴らしているんです。でも必要なければ切り離して使えます”という後付け的な環境でした。そこでは少々不自然さがあって、あまり良い感じはしなかったのですが、Pro Desk Systemは初めから2.1chで使うように設定されていて、サブウーファーとのクロスオーバーのポイントも計算ずくというのですから安心ですね。とはいえ、試聴前はサブウーファーの低音が効き過ぎて、環境が変わったときなどに低域が寂しくなってしまい、音を作っていく面では不向きなのではないかと思っていました。しかし、実際使ってみるとその予想はまるで違っていて、ソースとなる音が本来持っている低域をきちんと出してくれるので、本当に必要な部分やそうではない部分の判断がしやすいことが分かりました。そのため、いたずらに低域を膨らませすぎたり、逆に削り過ぎたりといった無駄のない音作りができます。また低域の処理を的確に行えることで中域、高域も分かりやすく、バランスの良い仕上がりになることにも気が付きました。

サイズから想像される以上の
リアルで立体感のあるサウンド


Pro Desk Systemは、Sky System Oneをそのままサイズ・ダウンさせていて、プロジェクト/ホーム・スタジオでの使用まで視野に入れて設計されています。Sat 5は13.3cmウーファー+1.9cmツイーター、Sub 8が20.3cmウーファーと本当にコンパクトに作られているので、自宅に置いても邪魔になることもないはずです。また、オプションでリモート・ボリューム・コントローラーのFVC(22,000円)も用意されています。さらにSat 5を買い足して、別売りのベース・マネージメント・コントローラーBMC(160,000円)を使えば、5.1chなどのサラウンド環境にも対応します。サウンド面の話に移りましょう。先日行ったジャズのセッションで使ってみたのですが、とても高い解像度を実現していると思います。このサイズにしてはリアルで立体感のある音を聴くことができました。ピアノのダイナミックなフレーズやウッド・ベースの奥行きのある低音など、ガラスを隔てたレコーディング・ルームでの演奏が、楽器の前で聴いているように感じられ、録る音にどんな処理をすれば良いか短時間で決めることができる、そんなふうに感じました。これはSky System Oneととても近い印象です。たいしたものです。メイン・スピーカーが60Wバイアンプ、サブウーファーが100Wなので、レコーディング・スタジオではもう少しパワー感が欲しいと思うときもありましたが、自宅などでの使用を想定すれば十分な気がしました。レンジ感も上から下まで偏りの無い再現ができています(もちろん、サブウーファーがあるからこそでしょう)。低域を担当するスピーカーが別体なのに、どうしてそんなにスムーズにつながって聴こえるのかと不思議に思いませんか? 資料によると、これはコンピューターが最適化したベース・マネージメントとクロスオーバー設計によるものだそうです。これによりメイン・スピーカーとサブウーファーの一体感を実現し、従来のモニター環境では分かりづらかった音の動きを明確にとらえることができるような製品に仕上げられているというわけです。さらに、この製品は純粋に音楽を聴くために使ってもとても良いんです。映画のサントラ、特にミュージカルものでビッグ・バンドなんかを聴くとすごく楽しい。ただ、過去に自分でミックス・ダウンした作品などを聴いてみると、細かく処理したつもりでいた部分も、もう少し踏み込めたかもと思わせる恐ろしさも秘めているのですが。最後になりましたが、厳密なセットアップを行う場合には、メイン・スピーカーとサブウーファーのレベル設定が必要になります。しかし、測定器とピンク・ノイズを出せるジェネレーターがあればすぐに合わせられるので心配はありません。2.1chシステム、お1ついかがですか?
BLUE SKY
Pro Desk System
Sat 5:85,000円(1本)
Sub 8:98,000円

SPECIFICATIONS

[Sat 5]
■周波数特性/200Hz〜10kHz(±1.5dB)、20Hz〜20kHz(±3.0dB)
■ローフリケンシー・カットオフ/80Hz
■ハイパス・フィルター/80Hz 2nd order
■クロスオーバー/1.8kHz
■外形寸法/168(W)×276(H)×259(D)mm
■重量/11kg
[Sub 8]
■周波数特性/0〜200Hz
■入力インピーダンス/20kΩ(バランス)
■ローパス・フィルター/80Hz 4th order
■外形寸法/406(W)×330(H)×339(D)mm
■重量/22kg