アナログ・ターンテーブルの操作感を再現したDJ用CDプレーヤー

DENONDN-S5000

最近、正直、面白い機材が無いなーと思ってんですよ。なんて言うんですかね、制作するときに、"コレ使ったらすごく面白いのできそうっ!"って感じの、ググッとモチベーションが上がるヤツってのが。そんな中、編集部からご連絡をいただき、かなり面白そうだったんで今回このDN-S5000のレビューをさせていただくことに。普段のDJでもあまりスクラッチしたりしないし、ましてコスリがうまいわけでもないのですが、何だかんだ言っても新しい物には本当に目が無い自分(特に機材)。触ってみないことには、でもってなんか使えたらいいな、なんて期待大で、いろいろといじらせていただきました。

ターンテーブルと同構造の
回転プラッターを世界初採用


まず箱から出してみて感じたのは、本体が意外とコンパクトにまとまってるな、ということでした。操作ボタン類がぎっしりと配置されてますが、使用するセクションによってまとめられているので、慣れたら使いやすいかと思います。それよりも目に付くのが、真ん中に鎮座しているスクラッチ用のパッド(プラッターと言うそうです)。ターンテーブル、スリップ・シート、スリップ・マット、スクラッチ・ディスクという、アナログのターンテーブルと同じ構成になってるそう。DJ用CDプレーヤー業界初の試みだそうですが、まさにアナログライクな見た目です。一番上にあるダミーのスクラッチ・ディスクには、レコードっぽい溝まで入ってるじゃないですか。まずはCDを入れてみてPLAYボタンをポチっと。おぉっ、回ったっ! 拍手っ! これには横で見ていたうちの猫もビックリ。確かにアナログライク。というかアナログそのもの。この下でCDがガンガンに回ってるとはうちの猫も思うまい。頭出しのときの音の感じもかなり良いですよ。アナログのターンテーブルを触ってるぽいっすもん。しかもターンテーブル脇の部分を使ってのベンドも可能。さらにアナログライク。しかもスクラッチの再生方向(正方向のみ/正逆往復)まで選べます。こう言ったとこはしっかりとデジタルですな。うーん、面白い。また、ドライブ部が自分で交換可ということで、ドライブが壊れるという最悪の事態でもその場で対処できるという仕様です。なんか、イイっすね。こういったちょっとしたDIYなとこ。

1枚のディスクの異なる部分を
同時に再生できるαトラック機能


で、このほかにも面白いなと思ったのが"αトラック"というモードで、要するにメインで鳴ってる音とは別に、同じディスクから違うところを再生できるという機能なのです。このαトラック用のアウトプットが付いていて、アナログもデジタル(S/P DIFコアキシャル)もメインと別々に出すことができるようになっています。というか、DJミキサーをつなげれば、コレ1台でつなぎもある程度できちゃうんですけど。また、"こことここの音を混ぜて出してサンプリングしたい! でも音量のバランスがうまく合わないんだけど"なんてときはすっごい重宝しますね。DJミキサーで混ぜて録っちゃえばいいんすから。EQとかもいじれますしね。ちなみにスクラッチはこのαトラックでも使えます。さらに"HOT DISC機能"というのがありまして、CDをイジェクトしても35秒(最大)は再生が継続されます。その間に次のディスクに入れ替えるなんて離れ業までいけます。ループもサンプリングもできるし......こんなに機能付いてていいのか?と思ってしまうほどです。というわけで面白そうなところを書いてみましたが、ホントにてんこ盛り過ぎてビックリです。自分でも"どう使おうっかなぁ"なんて考えちゃうし。いや、使い方はそれぞれ皆にいろいろとあると思うし、慣れも必要なので、まずはガンガンにいじくり倒してみましょう。個人的には、逆に引き算もありかと思います。機能はそんなに無くてもイイから、よりターンテーブルに近い廉価版も出してほしいなー。そういうとこは、やっぱりアナログちゃんなんで。
DENON
DN-S5000
130,000円

SPECIFICATIONS

■SN比/90dB以上
■チャンネル・セパレーション/85dB以上
■全高調波歪率/0.01%以下
■対応ディスク/CD-DA、CD-TEXT、CD-R/RW
■可変ピッチ幅/±4、10、16、24、100%
■フレーム・サーチ精度/1/75sec
■再生立ち上がり時間/20msec以内
■最大サンプリング時間/15秒
■外形寸法/285(W)×111.5(H)×327(D)mm
■重量/5.7kg