シリーズ最強のシーケンサー/サンプラー部を備えたハイブリッド機

AKAI PROFESSIONALMPC4000

MPCシリーズの新製品については、一年ほど前から"出るらしい"というウワサばかりが先行し、"実際はいつなんだろう?"という会話がいろいろな場所で聞かれていた(APPLEのコンピューターの新製品並みの期待感)。このシリーズは、現在のヒップホップ/R&Bのプロダクションにおいて独占といってもおかしくないくらいの状況にあり、特に海外では使っていないクリエイターを探す方が大変という感すらある。一方、日本国内はコンピューター・ベースのユーザーと半々といった印象だが、個人的にはこれがグルーブの違いとなって表れることもあるように思える。それは、やはりMPCシリーズが非常に"動的な制作環境"であり、コンピューターの画面とにらめっこしてデータのアラを探していくような作り方とは異った雰囲気で音楽制作を行えるからだろう。つまり、MPCシリーズは非常に楽器的なので、曲の仕上がりも良い意味で荒っぽく、人間味溢れる何かがプラスアルファされるのだと思う。しかも、使っている本人が気付かないうちに、MPCの論理みたいなものがトラックに表れてくるという不思議な機材でもある。

前置きが長くなったが、世界中の多くのクリエイターが待ちわびたMPC4000がついに発売された。"長年培われた機能的デザインを大きく変えた"とも"MPCの集大成的内容"ともいわれ話題となっているが、今回はその実体を細かくチェックしていきたい。

24ビット/96kHzに対応した
サンプラー・セクション


まず、サンプリングについてだが24ビット/96kHzに対応した。これは現在のデジタル・オーディオの流れの中で当然のスペックといえよう。ただし、本機はさまざまな制作環境を考慮し、従来の16ビット/44.1kHz&48kHzもサポートしている。これは、自社のサンプラーはもちろん、他社のサンプラーとのデータ互換性にも配慮した結果で(SシリーズやMPC2000XLはもちろん、ソフトウェアのアップデートでE-MU、ROLAND等のフォーマットにも対応予定)、これまでのサンプリング・データも無駄になることはない。また、メモリーは最大512MBまで拡張可能(標準16MB)で、16パッド×6バンクの合計96サンプルをアサインできる。これだけ多くのサンプルを扱うとなると、ファイル管理に混乱が生じそうだが、MPC4000には320×200ドットの大画面液晶ディスプレイが用意されているので、サンプルなども一括して表示することができ、何がどこにアサインされているのかも非常に分かりやすい(画面①)。▲画面① パッドへのノート・ナンバーのアサイン状況を一目で見わたすことができる。もちろん、ここでナンバーの変更も可能 肝心の音の特性だが、以前のAKAI PROF ESSIONAL製品に比べると奥行きが増した感じになっている。音のことなので言語化するのはなかなか難しいのだが、"音の粒子が際立っており、周波数の階層がより複雑に重なりあっている"という印象。個人的には、このちょっと派手な感じの音質はなかなか新鮮で、実際の曲作りにMPC4000を使用した際、ミックスの段階でどういったまとまり方をするのか楽しみだ。恐らく、この音質が今後の"AKAIサウンド"の特徴になっていくのであろう。また、音質面で特に気に入ったのは、ピッチを極端に落とした際のザラつき感だ。これはいわゆるローファイとはまた異なる感じで好印象だった。サンプラー・セクションの変更点をもう少し細かく見ていこう。まず、通常のサンプリングに加え、演奏(シーケンス)を本体内でダイレクトにリサンプリングできるようになった。これで自ら作ったシーケンスを、フレーズ・サンプル化でき、それをさらに組み替えたりすることで、楽曲に新鮮なヒネりを加えることができる。また、Zシリーズにも搭載されているQuick FX機能も搭載されており、内蔵エフェクトを利用したリサンプリングが可能だ。使用できるエフェクトは、POWER、RUMBLE、DISTANT、CRISP、MASSIVE、WHIRL、COSMO、UNDERSEAなどが用意されている。波形編集における目玉としては、サンプルの分割機能が挙げられる。これはサンプルを最大32のリージョンに分けることができ、それらを新規のサンプルへ変換できるというもの(画面②)。ドラム・フレーズなどを細かく分割して、ピッチを保ったまま異なるBPMに変更する際などに役立つ。タイミングやピッチの変更を行えるコマンドも用意されていて、MPCの用途を考えると非常に大きな改良点と言えよう。▲画面② 分割したリージョンごとに新規サンプルを作成するエディット・コマンド、SAMPLE SLICEを実行中の画面 従来の波形編集機能やループ・ポイント設定などについても便利な機能が追加されている。例えば、サンプルのスタートやエンド・ポイント、そしてループ範囲を決める際に、パッドをたたくことで特定範囲の試聴が可能となった。具体的にはパッドの13がサンプルのループ・ポジション、パッドの14が"現在選ばれている位置の少し前から現在位置"まで、パッドの15が"現在選ばれている位置から少し後まで"を再生する役割を与えられている。これによって波形による視覚的な判断以外に、自分の耳で簡単にサンプルのトリミング状態を判断することができ、二度手間になりがちなサンプルの編集をより正確に行うことができるわけだ。なお、サンプラー部のその他のトピックとして、現時点ではまだ対応していないが将来的にはハード・ディスクからのストリーミング再生も可能になる予定だ。実現すれば、大容量のデータを使った高品位な楽器音をも扱えるようになるということで、これは今から非常に楽しみな機能である。

フィルターは最大−36dB/oct
バンドパスやハイパスも装備


次に、複数のサンプルを組み合わせて、フィルターやLFOなどのパラメーターとともに音色を構成する単位、"プログラム"について見ていこう。MPC4000のプログラム・セクションはよりサンプラー単体機の仕様に近付けられており、今までのMPCユーザーにとってみるといくぶん分りづらい面もあるが、機能的には格段のパワーアップが図られている。まず、プログラムには2種類のタイプが用意されているが、1つはノート・ナンバーごとに異なるサンプルを割り当てるドラム・プログラム。これは名前の通りドラムやパーカッション、フレーズ・サンプルの再生に適したタイプだ。もう1つはキー・グループ・プログラムで、1つのサンプルを連続した複数のノート・ナンバーにアサインすることができるので、マルチサンプルによる楽器音を設定するのに向いている。さらに、各ノート・ナンバー/キー・グループでは4つのゾーン(サンプルをアサインする領域)を利用することができるようになった。各ゾーンに異なるサンプルをアサインして同時に鳴らしたり、ベロシティ・レイヤーを組むことが可能だ。プログラムには音色作りの要となる各種のパラメーターが用意されているが、中でも注目したいのはフィルター部。ここには2ポール・フィルターが3基用意されており、組み合わせることで最大−36dB/octのスロープを設定することもできる。しかも、これまではローパスのみだったフィルターの種類もバンドパスやハイパスなど10種類ものプリセットが用意されており、非常に細かな音色作りが可能となった。サンプリング主体の制作においてフィルターは欠かせないものだけに、このフィルター部の改良は制作手法に大きな具体的変化をもたらすであろう。

ピアノ・ロール画面が採用された
シーケンス・セクション


MPC4000が従来モデルと最も大きく異なる点は、シーケンス・セクションであろう。これまでのシリーズにおいても新製品のたびに細かな改良は行われてきたが、MPCのシーケンサーはもともと人に優しく、非常に良くできたインターフェース・デザインだったので、初代MPC60のころからそれほど大きな変更はなかったように思う。ところが、今回は大胆なリファインが施されている。まず、先ほども少し触れたが大型の液晶ディスプレイが採用されたことにより、視覚的な情報量が格段に増えた(画面③)。メトロノーム表示がテンポに合わせて動いたり、小節の進行状況がバー表示されていたり、さらにはMIDIやパッドの信号がメーターの動きで表現されていたりするのだ。最初、この画面を見たときは多少の違和感を感じたが、これは慣れの問題もあるだろう。▲画面③ MAIN画面。シーケンス名やテンポ、メトロノーム、トラック名、入出力の状況などさまざまな情報が表示されている レコーディング方法もリアルタイムでの打ち込みに関しては従来通りだが、ステップ・レコーディングについては驚くべき変更がなされている。まずびっくりしたのは"これはMPCの画面か?"と我が目を疑ったピアノ・ロール表示によるエディット画面(画面④)。コンピューター・ベースのシーケンサーではおなじみだが、ことMPCのような単体シーケンサーでピアノ・ロール画面を見たのは初めてである。▲画面④ ピアノ・ロールによるエディット画面。左に鍵盤図があり、各ノートがグラフ状に表されるこの画面が、ついにMPCでも採用されることになった さらに、これまたびっくりなのがMIDIイベントの一括表示。これもコンピューター・ベース最大のメリットとして多数のシーケンス・ソフトウェアに採用されているものだが、MPCにおける見た目もかなりというかほとんどコンピューターと同じような雰囲気である。びっくりしたことはほかにもある。しかもこれが最大の驚きで、また"バッチリ"と思わせられたのがグリッドを用いた打ち込み画面の採用だ(画面⑤)。これはドラム・プログラムにおいて表示されるもので、まるでパターン・シーケンサーのようにグリッドが表示され、そこに音符を置いていくだけでデータ入力が可能だ。簡単に正確で緻密なデータ作成が行えるわけで、個人的にはこれだけでも買いだと思えた。また、この画面ではMIDIコントロール情報もグリッド上にグラフィカルに表示されるので、ボリュームやピッチ・ベンドなどのエディットも感覚的に行える。この辺りはまさにコンピュータ・ベースのシーケンサー顔負けの機能といえ、大画面を採用したメリットが遺憾なく発揮されているといえるだろう。▲画面⑤ ドラムやパーカッションなどの打ち込みに最適なグリッドによるステップ入力/エディット画面。縦軸にパッド・ナンバーが並び、カーソルとパッドでサクサク打ち込んでいける そのほかの改良点についても述べておこう。トラック数は最大128に増加し、最大記憶ノート数も300,000となっている。また分解能も、これまでの96ppqから一気に10倍の960ppqへと変更になった。これはソフトウェアと同等もしくはそれ以上の精度といえるものだ。細かすぎて面倒に思う人もいるかもしれないが、単純にこれまでの10倍の数値で考えればいいので、従来のユーザーもそれほど混乱することはないだろう。個人的には以前の大ざっぱな分解能も単体機っぽくて好きであったが、これはもちろん"大は小を兼ねる"ということなので歓迎すべき点であろう。また、パネル上にTIMING CORRECTと呼ばれるボタンが新たに用意された。これはリアルタイムでの打ち込みの際、設定した音符へ強制的にタイミングを修正するというもので、機能自体は従来のMPCシリーズにも装備されていた。しかし、以前はディスプレイ上に該当ページを呼び出し、数値を変更するという少々面倒な操作が必要だったが、MPC4000はボタン1つでTIMING CORRECTのオン/オフが可能だ。例えば、この機能をオンにしてスクエアな打ち込みを行っているときに、急に人間的な揺れを出したいと思ったら、ボタンを押してオフにするだけで、すぐに感覚的なタイミングで打ち込める。細かい変更点のようであるが、思いついたときにストレスなく音楽的かつ人間的なノリをシーケンスに付加できるという点では、大きな変更点といえるのではないだろうか。良い悪いは別として、現在のように非常にスクエアな打ち込みが多くなった現状が、このボタン一個で変っていくように思える。さらに、よく使うシーケンス・データをフラッシュメモリーに保存し、ライブラリー化することができるようになった点も見逃せない。これは作業の効率化を促進するもので、自由な発想による曲作りという観点から見れば消極的な機能のようにも思う人もいるだろう。確かに、面倒がらずに自分で打ち込んだ方がより良いパターンを作れるのではとも思うが、実際にはお決まりのフレーズを使うケースは意外に多い。例えば、8分音符のベタなハイハットの打ち込み等を簡単に呼び出せるのは便利だし、それをたたき台にしてさらに発展したパターンを作っていくことも考えられる。また、音色を変えることにより偶然良いフレーズが生まれる可能性もあるので"かなり便利"かつ"ちょっとだけ実験的"な機能ともいえるだろう。そのほか、新機能ではないのだが便利な点として、16個のパッドを利用したトラックのオン/オフ機能(トラック・ミュート)やソングとシーケンスを同時に走らせることが可能なサイマル・シーケンス、シーケンスをパッドにアサインしてリアルタイムで曲の構成を決めていくことができるネクスト・シーケンスといった機能も継承されている。さらに、個別のシーケンスのBPMを無視してテンポを設定できるマスター・テンポ機能には、専用ボタンが装備されより手軽に使えるようになっている。

音色をリアルタイムに変化できる
Q-LINK機能を装備


MPC4000の機能の中で、これまでのシリーズと比較して最も大きなアドバンスといえるのがQ-LINK機能だ。これは簡単にいうと、パネル上に用意された4つのノブと2本のフェーダーに、さまざまなパラメーターをアサインしてコントロールできるというもの。一時期のシンセやサンプラーは、多機能化の影響もあって、パラメーターが階層化されたページ内に用意されており、すぐには目的のパラメーターを操作できないということも多かった。しかし、最近ではパネルに複数のノブなどが用意され、感覚的な音作りが行えるものも増えてきているが、これと同様のことがMPC4000でも可能となっているのだ。パラメーターのアサイン方法も実に簡単。Q-LINKセクションの上部にあるSETUPボタンを押すと設定画面が表示されるので、任意のノブやフェーダーにアサインしたいパラメーターを割り当てればいいだけ。もちろん、ここではパラメーターの可変範囲も決めることができる。また、アサイン可能なパラメーターは、音量、パン、フィルターのカットオフ周波数やレゾナンス、LFOのスピード/ディレイ/オフセット/デプス、それに音量やフィルターなどのエンベロープ(アタック、ディケイ、サステイン、リリース)といったものに加え、ゾーンの選択/音量/パン/ピッチ/スタート・ポイントなど多岐にわたる。ちょっと考えただけで、簡単な補正からかなり無茶なことまで、いろんなアイディアが湧いてくる。もちろん、ノブの動きをシーケンスに記憶させることも可能なので、機械的なシーケンスを動きのある生き生きとしたものに仕上げることができるだろう。"適当にノブやフェーダーをいじったら期せずして良い効果を得られた"といったアナログ・シンセでよくある現象も期待できそうだ。しかも、Q-LINK機能はシーケンス機能と併用することで、より独創的かつ攻撃的な音作りが可能になる。というのも、6個のコントローラーにアサインされたパラメーターを、16分割した時間軸で正確にコントロールできるのだ。パネル上のQ-LINKセクション上部にあるSEQU ENCEボタンを押すと、Q-LINKシーケンス・モードに入ることができ、ディスプレイ上には16個のノブが4列に並んだ画面が表示される。また、FUNCTIONボタンの2を押すと2列のフェーダーが16本並んで表示される(画面⑥)。▲画面⑥ Q-LINKシーケンス・モード画面。16本のスライダーで音色を時間軸に沿って変化させることが可能。4列×16個のノブが並ぶ画面も用意されている これは、あたかもアナログ・シーケンサーのような仕組みで、例えば音量をアサインしたノブを最小最大と交互に16個設定していけばトレモロ的な効果が得られたり、フィルターのカットオフをフレーズに合わせて閉じ開きするようなパターンを作れば、タッチ・ワウ的な効果を得られることになる。さらに、ピッチをアサインしたノブを極端な変化が出るように設定してけば、何気ない楽器音をエレクトロニカ的な響きに変えることも可能で、6個のコントローラーすべてにさまざまなパラメーターをアサインすると、一聴しただけではどうなっているか判断できないくらい複雑な音響効果を生み出せる(実際にいろいろと試したみたが、設定した本人でさえ、なぜそうなるのか分からないほどの音を作ることができた)。もちろん、狙った効果を作るのも容易であるし、各ノブやフェーダーの効果をオン/オフできるので、やり過ぎてしまった際の確認/整理も簡単だ。最近では、さまざまな音響効果をリアルタイムに生み出せるソフトウェアが人気を集めているが、Q-LINKシーケンス機能はそれと同じような概念をMPC4000へ導入するものだと感じた。この機能によって、MPC4000は従来のMPCユーザー以上の幅広い層にも受け入れられるのではないだろうか。

シリーズの優れた操作性を継承
MIDIは何と96チャンネル仕様


MPC4000のデザインや操作性についても触れておこう。見た目に関してはMPCシリーズの総決算的な雰囲気があり、落ち着いた印象のデザインでバッチリ。しかもこのデザインは機能的にも優れている。例えば、MPC3000で好評だったモード・セクションが採用されており、目的のモードをボタン1つでダイレクトに呼び出せるようになっている。また、MPC2000に備えられていたOPEN WINDOWボタンも用意されているので、各ページにおける詳細設定用画面を瞬時に開くことができ、階層構造を単純化するのに役立っている。つまり、MPC4000は従来モデルの良い部分を集めた操作体系を持っているのだ。ただし、パラメーターの操作は、カーソルとJOGが一体化した全く新しいインターフェースが採用されており、これは慣れるのにしばらく時間がかかったが、それほど大きな問題ではないだろう。さらに、パッドの感度をカスタマイズできるのもユーザー・フレンドリーな機能といえる。そのほか、USB端子を装備しているので、同社S6000やS5000などでおなじみのコントロール・ソフトウェア、Ak.Sysを利用してコンピューターから本機を操作することも可能だ。しかも、このUSB端子は文字入力用としてコンピューターのキーボードをつなぐこともできるし、ハード・ディスク・ドライブやCD-ROMドライブも接続できる。USB端子が出たついでに、接続端子類も紹介しておこう。リア・パネルには入力用にTRSフォーンとXLRのコンボ・ジャックが用意されているほか、ターンテーブルをダイレクトに接続可能なPHONO端子も装備されている。アウトプットもTRSフォーンとXLR端子が用意されており、この辺りはプロ・ユーザーへの気配りだろう。また、オプションでS/P DIFのデジタル入出力端子やADATオプティカル端子(アウト)も追加可能。さらに、デジタル・オーディオの要であるワード・クロック・イン端子も追加できる。これによりクロック・ソース次第で音色にユーザーの個性を加味することも可能となった。MIDIもMPC3000と同様の2IN/4OUT仕様。内部のMIDIポートも2系統32チャンネル仕様なので、外部と併せて合計で96チャンネルをコントロールできる。さらに、記録メディアに関しても250MBのZipドライブをオプションで内蔵できるほか、ハード・ディスク・ドライブやCD-ROMドライブも搭載可能(ただしベイは2基)。つまり、完全に一台完結型のシンプルなシステム構成から、外部音源を使用した大規模な音楽制作システムの中心にもなり得るわけだ。そういえば、これまで"MPC"は"MIDI PRODUCTION CENTER"の略だったが、本機より"MUSIC PRODUCTION CENTER"の略となった。つまり、それくらい充実したスペックであるというメーカーの自信の現れであろう。試用日数が短く、OSのバージョンもまだ製品版に達していなかったため、すべての機能をチェックするのは難しかったのだが、それでも、MPC4000はシリーズ史上かなり大胆な変更が加えられた製品であると感じられた。OSに関しても、これが製品バージョンまでアップされれば、現在の機材の流れをうまくつかみつつ、さらに独特な論理をも持ち合わせた内容になると思われる。製品が発売されてからの、OSのバージョン・アップによる機能追加も楽しみだ。いろんな意味で、今後も進化を望めそうな製品であると思われる。

▲リア・パネル。メイン・アウトはXLR端子とTRSフォーン端子の両方に対応、また、入力はXLR端子とTRSフォーン端子のほかPHONO入力に対応したRCAピン・ジャックも用意されている。そのほか、上の写真のようにオプションでデジタル入出力やワード・クロック・イン端子、アナログ・パラアウトを追加することが可能となっている

AKAI PROFESSIONAL
MPC4000
オープン・プライス(市場予想価格300,000円)
MPC4000-ZP/オープン・プライス(市場予想価格328,000円)

SPECIFICATIONS

■サンプリング・レート/44.1kHz、48kHz、96kHz
■サンプリング・データ・フォーマット/24ビット/16ビット(リニア)
■メモリー/標準16MB(256MB DIMMを2枚装着することにより、最大512MBまで拡張可能)
■最大同時発音数/64
■フィルター/2ポール×3基(レゾナンス付き)
■エンベロープ・ジェネレーター/3基
■LFO/2基
■最大イベント数/300,000ノート
■分解能/960ppq
■最大シーケンス数/128
■最大トラック数/1シーケンスにつき128
■最大ソング数/128
■ドラム・パッド/16
■MIDIアウトプット・チャンネル/64(16×4アウトプット・ポート)
■入力端子/REC IN×2(LINE/MIC=1/4TRSフォーン / XLRコンボ・ジャック×2、PHONO=RCAピン・ジャック×2)
■出力端子/MAIN OUT L / R(1/4TRSフォーン×2、XLR×2)
■SMPTE/IN、OUT(1/4TRSフォーン)
■MIDI/IN×2、OUT×4
■SCSI端子/1
■USB端子/Host×1、Slave×1
■外形寸法/526(W)×170(H)×453(D)mm
■重量/10.5kg
※オプション/IB-4D:25,000円(S/P DIF端子やワード・クロック・イン端子を追加するデジタルI/Oボード)、IB-4ADT:30,000円(ADATインターフェース・ボード)、IB-48P:40,000円(アナログ8チャンネル・アウトプット・ボード)