10GB HD、エフェクト・ボード、CD-RWドライブを標準搭載したVS新モデル

ROLANDVS-1824CD

今回紹介するVS-1824CDは、好評だったVS-1880の後継に位置づけられるオールインワンのハード・ディスク・レコーダーだ。VS-1880の機能はそのまま、ハード・ディスクとエフェクト・ボードを標準装備、さらに内蔵型CD-RWドライブが搭載されるなど大幅にパワー・アップし、オールインワンのメリットがさらに生かせる形態に進化した。VSシリーズは新世代機種としてハイスペックなVS-2480が登場したばかりだが、VS-1880クラスで機能を充実しつつ高いコスト・パフォーマンスを実現した本機の登場はうれしい限りだ。

魅力的なオプションを標準装備し
オールインワン性がさらに高まる


最初にVS-1880との違いについて説明しておくと、まず10GBハード・ディスクが標準搭載になった点が挙げられる。これによりパッケージから出せばすぐに制作が始められるようになった。10GBならばCD1枚分のマルチトラック・データの保存にも十分な容量だろう。次にエフェクト・エクスパンション・ボードVS8F-2が1枚標準装備された。このボードは専用DSPを利用した24ビット信号処理で同社のエフェクト・テクノロジーCOSMを利用したエフェクトが満載されており、リバーブやコーラス等の基本エフェクトはもちろんマイク・シミュレーターでは数々のプロ用マイクのキャラクターを手軽に得ることができる。また同社のパワード・モニターDS-90A/50Aを使えばさまざまなモニターのシミュレーションも可能になる。このボードは1枚で2系統のエフェクトを実現し、もう1枚のボードを追加して4系統にすることも可能だ。


さらに、VS-1880では別売/外付けだったCD-RWドライブがVS-1824CDには標準で内蔵されたことが最大のグレード・アップ・ポイント。これでレコーディングからオリジナルCD作成までに必要な機能がすべてオールインワンでそろったことになる。やはり一連の作業を1台でこなせる手軽さはオールインワンならではの大きなメリットだろう。なお、CD-RWドライブを搭載していないVS-1824も用意されている。


評価の高いVS-1880を踏襲した
必要十分な内部機能


本機は機能的にはVS-1880と同等だが、あらためてスペックを簡単に説明しておこう。


基本的な性能として録音は同時8トラックが可能で、アナログ入力も8つ装備。再生は同時18トラックで、各トラックにはVトラックが16本用意されている。つまり最大288トラックを使用することができるわけだ。録音クオリティに関するモードは全部で7つで、最高のMTPモードでは24ビット/48kHzでの録音が可能。必要に応じて長時間の録音に対応したモードやオーディオCD作成に適したモード等も選択できる。また、イコライザーは3バンド/2バンドで選択する。3バンドではロー/ハイがシェルビング、ミッドが帯域可変型のピーキングで、すべてで周波数可変なので音作りの自由度は高い。操作性に関しても大型の液晶ディスプレイやダイアルなどを使った分かりやすさを踏襲し、スーパーEZルーティングによって録音時のさまざまな設定が簡単に行えるなどVSシリーズの良さを引き継いでいるのも魅力だ。さらにオート・ミックス機能が用意され、本格的な凝ったミックスも手軽に実現できるようになっている。


録音からオリジナルCD作成まで
完全に1台で完結する便利さを体験


実際に本機を使用して録音からCD-Rライティングまで行ってみたので、その使用感を報告しよう。録音はルーティングを設定してから行うが、接続したい入力部とトラックのボタンを同時に押すだけ。一人多重録音時でもいちいちマイクを差し替えずにルーティングだけでスピーディに作業することができる。一通り録音が完了したら内蔵エフェクトを使ってミックス・ダウンを行う。


さらに曲の最初や最後の部分をカットするなどの編集で仕上げが終わったらいよいよCD-Rに記録だ。書き込みの設定も本体のメニューから簡単に行え、設定する項目もどのトラックのデータを書き込むか、ファイナライズを行うか、書き込み方法(TAOかDAO)、書き込みスピード(×2/×4)を選ぶだけとシンプル。ファイナライズを行わないと通常のCDプレーヤーでの再生はできないが、VS側では再生可能なのでじっくりと1曲ずつ完成するたびに焼いていけばいい。


今回試した作業では、一度も配線を変更することなくCD制作まで行うことができた。ハード・ディスク・レコーダーにCD-Rドライブが内蔵されたスタイルは予想以上に制作に集中できるメリットがありそうだ。パソコンのHDRシステム構築に自信の無い人も、これなら簡単に1台で音楽制作を完結することができるだろう。HDR市場をリードしてきたVSシリーズならではのノウハウが凝縮されたスタンダード・モデルとして実用性、実力共に評価できる製品だ。



ROLAND
VS-1824CD
オープン・プライス

SPECIFICATIONS

■トラック数:18(Vトラック:各16)
■最大同時再生/録音数/18/8
■レコーディング・モード/マルチトラック・プロ(MTP)、CDライティング(CDR)、マスタリング(MAS)、マルチトラック1(MT1)、マルチトラック2(MT2)、ライブ1(LIV)、ライブ2(LV2)
■AD/24ビット、64倍オーバー・サンプリング
■DA/24ビット、128倍オーバー・サンプリング
■サンプリング・レート/48/44.1/32kHz(バリ・ピッチ機能により22kHz〜50.48kHzまでの範囲で可変)
■接続端子/SCSI(D-sub25ピン)、MIDI IN、MIDI OUT/THRU、インプット1〜2(XLR/バランス)、インプット3〜8(TRSフォーン)、Hi-Z(フォーン)、デジタル・イン/アウト(コアキシャル/オプティカル)、フット・スイッチ(フォーン)、ヘッドフォン(フォーン)、AUXセンドA/B(RCAピン)、マスター・アウト(RCAピン)、モニター・アウト(RCAピン)
■外形寸法:554(W)×336(D)×109(H)mm
■重量/VS-1824CD:6.5kg、VS-1824:6.2kg