プロ仕様の入出力環境を備え機能/音質も優れたCD-Rレコーダー

SONYCDR-W66

サンレコ読者諸君は既にご承知の通り、ここ数年のCD-Rの普及には目覚ましいものがある。それはコンシューマー・レベルの話だけではなく、プロの制作現場においても同様だ。プライベート・スタジオからレコーディング・スタジオ、放送局に至るまで、CD-Rは急速に普及している。ただ、CD-Rの普及に拍車が掛かったのはご存じの通り、パソコンの記録媒体としての用途であったため、CD-Rドライブは高速化や低価格化のみが重要視されてしまい、音質や信頼性重視のプロ用機器は後回しにされてしまった感がある。実際、プロ・スタジオで求められる機能や性能を持った機種となると、非常に限定されていたと思う。最近になってようやく少しずつ"音質"が重視されるようになってきたのである。

そのような状況の中で、SONYから業務用CD-Rレコーダーの新製品CDR-W66が登場した。本機はまさに"プロ・スタジオ仕様"と言えるデザインと機能性を誇っており、発売前から話題となっている。早速チェックしてみた。

アナログ/デジタルともに
充実した入出力環境を装備


本機は2Uのラック・マウント・サイズ。グレーのボディはSONYの業務用機器共通のデザインで、正面パネルを見ると多機能であることがうかがえる。操作ボタンが多く複雑そうにも見えるが、実際に使ってみるとなかなか合理的に配置されており、操作性は良かった。


リア・パネルには多くの入出力端子が装備されており、これが本機の"売り"とも言えるだろう。アナログ入出力はバランス(XLR)、アンバランス(RCAピン)共に装備。バランス入出力にはレベル調整用のトリムも付いている。デジタル入出力は、オプティカル(光)、コアキシャル(同軸)に加え、プロ機の象徴とも言えるAES/EBUを装備。さらに特筆すべき点として、外部からのワード・クロック信号で同期させるためのWORD SYNC入力端子が装備されている。その他、リモート端子(3種類)やデュプリケート端子などもある。


操作性や機能面から
プロ機としての位置付けは明らか


次に、肝心の機能について検証してみよう。CD-Rへの基本的な録音機能は一般的なCD-Rレコーダーと何ら変わりは無く、紙幅の都合もあるので省略させていただく。操作性は前述の通りなかなか良い。ボタン、ツマミ類もしっかりしているので、安心して操作することができる。


他のCD-Rレコーダーと異なる本機ならではの特徴としては、まずCD-TEXTに対応していることが挙げられる。これは姉妹機CDR-W33にもあった機能で、曲名、ディスク名を記録することができる。同じ曲を何テイクも録音する際には、曲名+テイクNo.を記録しておけば、判別しやすくなり便利である。テキストの入力を容易にするために、本機にはフロント・パネルにキーボード端子が装備されているが、接続したキーボードをリモコン代わりにして、本機をキーボード上から操作することも可能である。


もう1つの重要な特徴はデジタル・エフェクト機能である。やはりCDR-W33と同じく48ビットDSP処理のデジタルEQとリミッターを搭載しており、簡易的なマスタリング効果が得られる。SBM(スーパー・ビット・マッピング)フィルターも内蔵し、24ビットADコンバーターと併せてハイクオリティなサウンドを得ることができる。ちなみにこれらのデジタル・エフェクトやSBMは、アナログ入力またはAES/EBU入力の場合にのみ有効な機能で、オプティカルおよびコアキシャルのデジタル入力の際には使用できない。民生機をメインで使っている向きには残念だが、このようなことからも本機がプロ機として位置付けられていることがうかがえる。


また、新しく採用された便利機能にデュプリケート機能がある。リア・パネルのデュプリケート端子を使って本機2台を接続すると、倍速でデュプリケートが行えるのだ。デュプリケートの際にはテキスト情報もコピーされるので便利である。


スタジオでの使い勝手に優れ
音質面でも十分なクオリティ


さらに実際に使ってみると、本機はCDプレーヤーとしての使用にも実力を発揮してくれる。操作性が非常に良く、特に付属のリモコンを使うと25トラック目までをボタン1つでダイレクトに頭出し可能である。また、この付属リモコンは赤外線の他に、ワイアードとしても使用できるので、スタジオなどでは非常に使いやすい。


前述のように、最近のパソコン用CD-Rドライブは高速化により音質が犠牲になっている物が多いが、本機のようなレコーダー・タイプの機器は等速書き込みなので、その点音質面でも有利になる(書き込み方式が異なるのでプレス・マスターは作れないが)。本機の音質も、録音/再生ともにスタジオ・ユースとしては、他の機器と比べても遜色無く、十分なクオリティを持っている。


機能性/操作性共に良く、サウンド面でもさまざまな配慮がなされており、非常に使いやすいこのモデルは、アマチュアと言うよりまさしくプロ・ユースでこそ実力を発揮する製品であると実感した。ぜひともプロ・スタジオに導入してほしい1台であると言える。



▲各種デジタル/アナログ入出力やWORD SYNC入力など充実した端子群を備えたリア・パネル


SONY
CDR-W66
145,000円

SPECIFICATIONS

■再生可能ディスク/CD/CD-R/CD-RW
■記録可能ディスク/CD-R/CD-RW(音楽用)
■記録方式/トラック・アット・ワンス
■周波数特性/20〜20,000Hz(+0/−1dB)
■SN比/98dB(再生時)、92dB(録音時、A-Weighted)
■歪率/0.01%以下(1kHz、−20dBfs、録音再生時20kHzLPF)
■外形寸法/482(W)×88(H)×290(D)mm
■重量/約5.2kg