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CD-RW搭載も可能な多機能型オーディオ・ワークステーション

YAMAHAAW4416

YAMAHA待望の新製品AW4416がついに姿を現した! パーソナル・レコーディングの世界を一気に加速させるこの製品。さてどんな仕掛けがされているか見てみよう。

操作性の良いフェーダー類に
44ch/20バスの入出力


ひと目見て何かやってくれそうなルックスと各操作スイッチ。このスイッチ、非常に操作の感触が良く、かつ自照式であるためオペレーションが楽しくなると感じた。コントロール・サーフェイスを見てみると、大きく3つのセクションに分かれている。1つ目は本機のウリで"02R inside"とあるように同社製品の02Rを非常に意識した大型LCDディスプレイとムービング・フェーダーを備えたミキシング・コントロール部。2つ目はデジタル・レコーディング技術の粋を結集したハード・ディスク・レコーディング部。そして3つ目はお家芸とも言えるCD-RW部である。これら3つが統合された新世代のデジタル・オーディオ・ワークステーションがAW4416の姿である。


まずはミキシング・コントロール部を見てみよう。筆者も02Rを自分のスタジオで使用しているので慣れ親しんでいるが、AW4416はさらに使いやすさを考えた仕様になっていると感じた。フェーダーこそコンパクトなボディに対応した60mmであるが、17本のフェーダーすべてモーター・ドライブ・フェーダーで、反応速度も良く使用感も上々である。


また、オペレーション上の重要なポイントでもあるシーン・メモリーやエフェクトのパラメーターも02R同様メモリー/リコールを行うことができる。ミキシングの階層もボタン1つで変更することが可能で、オーバーダビングなどを行うときも混乱せずにスムーズなオペレーションを期待できる。トータル最大44インプット、20バスの構成と、ミキサーとしては大規模なのだが、実際非常にコンパクトな作りになっているので不覚にも"イイ時代になったなぁ"と感じてしまった。


基本的に本体に8chの入力端子があり、そのうちch1〜2はXLRバランス入力、そしてch8にはハイ・インピーダンス対応の入力がある。XLR端子を装備しているということは......48Vファンタム電源も装備しているので、ファンタム電源が必要なコンデンサー・マイクなどをダイレクトに入力することが可能。ハイ・インピーダンス対応入力部には、ギターなどの楽器出力を直接入れることもできる。


エフェクトは2系統装備。また各チャンネルには4バンドのパラメトリックEQ/ダイナミクスが装備されており、自由自在なサウンド・メイキングが可能だ。同社のデジタル・ミキサーから受け継がれた多彩なプリセットがさらに作業効率の向上に貢献している。


入出力の拡張に関しては、01Vでも採用されているMini YGDAI方式のI/Oボードを2枚まで実装できる。このオプションのI/Oボードはデジタル用I/Oとアナログ用I/Oが用意されている。デジタル用としてはTDIF、ADAT、AES/EBUのボード、アナログ用としては4ch XLR仕様の24ビットADボード、8chフォーン・ジャック仕様の20ビットADボードがあり、ユーザーのニーズに即した構成を組むことが可能だ。さらに、デジタル・ドメインのシステムを構成する場合、必要となるワード・クロックの入出力も完備しているので、ほかのデジタル機器との接続も心配無用である。


また、特筆すべき点として新開発のルーティング専用DSPの投入によって、従来では考えられないほど自由度の高いデジタル・パッチ・システムの構築が可能になったことが挙げられる。さらにパッチのセッティングまでもライブラリーとして管理が可能で、メモリー/リコールを瞬時に行うこともできる。


出力に関してはS/P DIFが装備されミックス・ダウンの最終出力をデジタルで送り出すことができる。本来はあくまで内蔵のCD-RWに焼き込むことを前提にしているが、例えばDATなどにトランスファーしなければならない場合などには非常に有効だ。当然オプションのI/Oボードを使用すればI/Oボード経由で各種外部機器に出力することができる。それ以外にオムニ・アウトと呼ばれるアナログ出力が4系統装備され、各バスやミキサーのチャンネル・ダイレクト・アウト、レコーダー部のトラック・ダイレクト・アウトなどを好きなようにパッチすることが可能である。ちなみにアウトプットのパッチに関してだが、オムニ・アウトにだけに限定されるわけではなく、ステレオ・アウトやデジタル・アウト、オプションのI/Oボードなどへの出力もパッチの対象になるのは言うまでもないだろう。早い話、フルに拡張した場合、すべてを接続したまま自由にパッチすることができるので、スパゲティ状態になりやすいケーブル類とおさらばでき、シンプルなシステム構築が可能なのである。当然のことだが、音源を追加する場合などには、物理的な接続変更が必要になるが、その際にも非常に便利な機能であることは言うまでもないだろう。そのほかにも、同期モノに必要なMIDIやMTCの入出力、PCとのダイレクト・リンクが可能なTO HOST端子などレコーディングに必要最小限のものはすべて備えている。


24ビット・リニア録音が可能な
合計18trのHDR


レコーダー部は、基本的に18trのデジタル・レコーダーと考えてよい。待てよ?普通のレコーダーって4trまたは8tr単位で増えていくのが普通なのでは?と思うだろう。実はこれ、通常レコーディング・トラック数は16なのだが、ミックス・ダウン用に2tr別に用意されているのである。ここまで先読みできたあなたには座布団1枚。つまり、常にミックス・ダウン用のトラックを意識せず16trフルに使えるということなのだ。おまけにすべてのトラックが24ビット・リニアでレコーディングが可能(セッション別に16ビット/24ビット切り替えができる)なため、内部処理32ビットのミキサーと合わせて考えれば、非常に高い基本性能を持つことになる。さらに、バーチャル・トラックも完備しており、16tr×8で128trを確保できる。それにステレオ・トラックでさらに2trの合計130trのセッションが構築でき、1セッション当たり6.4GBもの容量を割り当てることができるというように、余裕で作業ができるのもうれしいところだ。


オペレーションに関しては普通のレコーダーを使用する感覚で使いやすい。録りたいチャンネルのREC READYボタンを押しRECボタンを押すだけである。同様にパンチ・インなども特別に意識することなくでき、ばんばんオペレーションができるのが良い。また、最後に録音された場所が自動的に登録され、即座にそこまでロケートしてくれるので、録り直しする場合は非常に楽である。当然ポイントの微調整も可能で、重箱の隅をつつきたい人にもお薦めである。


編集機能に関しても移動、複製、挿入、削除の基本的な機能はもちろん、タイム・コンプレッション(50〜200%)や上下1オクターブのピッチ・シフト機能も装備。そして、最大16回のアンドゥ/リドゥも可能で、さらに、99ポイントまでのロケート・マークが設定できる。まさに至れり尽くせりとはこのことである。


なお、AW4416の基本はハード・ディスク無し、CD-RW無しのシステムで、メーカー推奨のデバイスをユーザー・サイドでインストールが可能となっており、予算に応じてディスクを選択することができる。この内蔵のハード・ディスクであるが、簡単に抜き差しできるようにスロット・ボードにドライブを取り付けるタイプなため、必要に応じて複数のドライブを使い分けることが可能であるのだ。また、リア・パネルにはSCSI端子(D-sub50pin)があり、メーカー推奨の外部デバイスが使用できる。ちなみに、外部デバイスに直接レコーディングすることはできないので注意しよう。あくまでもバックアップ用の外部デバイス接続専用と考えるのが良い。


さまざまな用途で活躍する
CD-RWドライブ


前項でも触れたが、つるしの状態では装備されていないので、ぜひともCD-RWドライブの装備をお薦めする。当然ミックス後のマスター作成やセッション・データのバックアップ、さらに通常のCD再生ができるということもあるが、それ以外にも内部のソフトウェアのアップデートもCD-RWドライブからできるからだ。また、内蔵でなくても推奨ドライブを外部SCSI経由で接続しても大丈夫。なお、CD-RWに書き込む速度であるが一応システム的に等速、2、4、6倍速までサポートされている。当然ながら6倍速で書き込む場合、ドライブも6倍速対応でなければいけない。


また、"マスタリング"というモードが存在するが、これはミックスして記録されたステレオ・トラックをプレイ・リストを作成しCD-R(CD-RW)に書き込む作業を行うためのもので、通常行う最終的なEQやダイナミクスを調整する作業とは違うので注意しよう。それと、CD-Rなどに書き込む場合、セッションのサンプリング周波数が44.1kHzでなければならない。このとき解像度は16ビット/24ビットのどちらでも良いが、16ビットに落とし込む際、下位8ビットのデータが切り捨てられるということがあるのでこちらも若干注意が必要である。今後この辺のバージョン・アップを期待したいところだ。


パフォーマンス重視の
サンプリング・パッド


AW4416のユニークな機能として内蔵サンプリング・パッドというものがある。これは8音同時発音可能な簡易サンプラーで、ピッチなどは変更できないが、A/Bの2バンク×8パッドで合計16音色を割り当てることができる。サンプリングに使用できる素材はハード・ディスク上のサウンド・ファイルや外部SCSIデバイスに保管されているWAVファイル、ミキサー出力などのさまざまなソース。各パッドに割り当てる音源の発音合計時間は約90秒である。そのほか各パッドの発音タイミングをAW4416に記憶させることも可能。後からオフラインでデータ編集が可能というシーケンサー機能まで持っているのがすごい。当然ライブ・プレイも可能だし、パッドをペア設定することでステレオ素材まで扱える(当然扱えるサンプルは減るが......)。超便利機能なのである。


すごいシステムが登場した。AW4416はこれだけコンパクトなシステムにもかかわらず、コスト・パフォーマンスに優れ、拡張性が高く、多様なアプリケーションに即座に対応可能なデジタル・ワークステーションなのだ。どう使うかはユーザー次第だが、1度店頭デモなどでその実力を垣間見てほしい。きっと手に入れたくなるはずである。なぜならば自分も欲しいと思うからだ。



▲リア・パネル(別売オプションI/OボードMT8-ATを2基拡張した状態)


YAMAHA
AW4416
オープン・プライス

SPECIFICATIONS

■周波数特性/20Hz〜20kHz
■全高調波歪率/0.02%以下(@1kHz,オムニ・アウト)
■ダイナミック・レンジ/104dB
■接続端子/マイク/ライン・インプット1〜2ch(XLR/TRSフォーン)、3〜8ch(TRSフォーン)、Hi-z 8ch(フォーン)、ステレオ・アウト(RCAピン×2)、モニター・アウト(TRSフォーン×2)、オムニ・アウト(フォーン)×4、ヘッドフォン端子(TRSフォーン)×1、デジタル・イン/アウト(RCAピン)×1系統、ワード・クロック・イン/アウト×1、MIDI IN/OUT/THRU/MTC OUT×1、FOOT SW×1、TO HOST端子×1、SCSI端子×1、オプションI/Oスロット×2
■トラック数/16トラック×8バーチャル・トラック+ステレオ・トラック
■ビット数/16ビット/24ビット・リニア(非圧縮)
■サンプリング周波数/44.1kHz/48kHz
■1セッションの記録容量/6.4GB
■ソング数/50,000ソング
■AD変換/24ビット、96倍オーバー・サンプリング
■DA変換/24ビット、128倍オーバー・サンプリング
■内部処理/32ビット
■外形寸法/558(W)×148(H)×460(D)mm
■重量/11.8kg(オプションを除く)