エレキ/ベース・アンプ、アコギのモデリングと豊富なエフェクトを単体機に

JOHNSONJ-Station

14種類のギター・アンプ・モデリング、3種類のベース・アンプ・モデリング、2種類のアコースティック・ギター・モデリング、11種類のスピーカー・キャビネット・モデリング、そして5つ同時使用が可能な9種類のエフェクトを単体機に収めたモデリング・システムJ-Stationが発売された。早速、その実力を探ってみよう。

歪みもクリーンも十分に使える
豊富なプリセット・サウンド


まずミキサーにライン接続した状態で、30種類用意されたファクトリー・プリセットをチェックしてみた(ユーザー・プリセットも30種類までメモリー可能)。内蔵エフェクトを駆使したタイプが多くバリエーションは豊富だが、特に印象に残ったのはJOHNSONの真骨頂と言えるハイ・ゲインでエッジの鋭いディストーション・サウンド。どれも生き生きとしたキャラクターが魅力的で、深い歪みとロング・サステインが味わえる。歪み系は、LINE6のPodと比べると、よりザクザクッとした切れのある歪みが得られるという印象で、1980年代終盤から1990年代前半のLAメタル風のドライでシャープな歪みには最適だろう。そのほか、意外に好印象だったのがクリーン系。ビンテージのアンプ・モデリングだけでも十分だが、内部エフェクターを併用することで1980年代ブリティッシュ・ニューウェーブ系の"シャキーン"としたサウンドを作ることができた。またしても比較になるが、Podはこのタイプのキャラクターをそれほど得意としていない感もあり(外部エフェクトやエディット・ソフトを利用すればいい感じになるが)、本体だけで全部こなしたい向きにはJ-Stationにアドバンテージがあると言える。アコギのシミュレートもいい具合に仕上がっており、グルーブを出す目的でシャカシャカと高音域成分を加えるような用途で利用したくなる。さらにベース・アンプのモデリングも3種類用意と、1台でさまざまな場面での活躍が期待できる。なお、本機に搭載されたアンプ・モデルは表①にまとめておいたので、そちらを参照していただきたい。表① エレキ、ベース、アコギのモデリング・タイプ 

5系統の同時使用が可能な
内蔵エフェクト群


次に内蔵エフェクトだが、種類はコンプ、コーラス、フランジャー、トレモロ、ロータリー、オート・ワウ、ピッチ・シフター、ディレイ、リバーブ、ノイズ・ゲート。どれも実用的なクオリティを保っており、簡単にいい雰囲気が出せるよう作られている点が素晴らしい。レトロなテイスト演出に欠かせないショート・ディレイ風のサウンドもツマミとタップ操作によるタイム設定で楽に再現できるなど、コントロール感もばっちり。特筆したいのはコンプ、ノイズ・ゲート、ディレイ、リバーブ、モジュレーション/ピッチ・シフター系が別系統で用意されているということ。つまり、この5系統のエフェクトを同時使用した音作りも行えるということで、前記したニューウェーブ系のクリーン・サウンドが再現できるのもこうした構造ならではの利点なのだ。

エフェクト・パラメーターは
本体からエディットも可能


マニュアルを読んでみると、この内蔵エフェクトにはかなりのパラメーターが用意されていることが分かる。ディレイやリバーブ・タイプの変更はもちろん、コンプのスレッショルド、フリケンシー、ノイズ・ゲートのアタック・タイムの変更など、あらゆるパラメーターのエディットが本体上で行えるよう設計されている。もちろん、パソコンでの編集を可能にするエディット・ソフトも付属しているが(現在はWindows版のみ)、本体だけでもパラメーターが操作できるのはうれしい。特にリバーブはプレート、ホール、アリーナからスプリング、ガレージ、バスルーム、クラブまで13種類ものバリエーションを用意。さらに反射壁面をシミュレートするDiffusion、反射密度を設定するDensity、そしてDecay Timeといった専用機並みのパラメーターも用意されており、積極的にエディットして空間演出に凝りたいところだ。また、モジュレーション/ピッチ・シフター系は、プリ/ポストの切り替えにも対応している。本機にはデジタル環境に対応するためS/P DIF仕様のデジタル出力も装備している。さらにデジタル出力レベルの調整機能までもが付いており、ゲインが足りないケースでも簡単にブーストできるのは素晴らしい。またインターネット時代を反映してか、将来的なアップデートへの対応はWebを利用した形態をとっている。プログラムはフラッシュROMに収められているので、ユーザーがWeb(www.johnsonamp.com)に公開される最新バージョンをダウンロードし、簡単にアップデートできるのも大きな魅力だ。
JOHNSON
J-Station
49,800円

SPECIFICATIONS

■入出力端子/アナログ入力×1(フォーン)、アナログ出力×1(L/R、フォーン)、ヘッドフォン出力×1(フォーン)、MIDI IN、MIDI OUT/THRU、デジタル出力×1(S/P DIF、コアキシャル)、フット・スイッチ
■AD/DAコンバーター/24ビット
■サンプリング・レート/44.1kHz
■外形寸法/266.7(W)×165.1(D)×57.2(H)mm
■重量/950g