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UNIVERSAL AUDIO Apollo X6|GEN 2 レビュー:ハードウェア/ソフトウェアの両面をアップデートしたApollo X第2世代

UNIVERSAL AUDIO Apollo X6|GEN 2 レビュー:ハードウェア/ソフトウェアの両面をアップデートしたApollo X第2世代

 今回はUNIVERSAL AUDIOの新しいオーディオ・インターフェース、Apollo X6|GEN 2(ジェネレーション2)のレビューです! 筆者はApolloシリーズを合わせて9台所有しており、ラック版ではApollo Quad(シルバー)から始まり、Apollo 8、そして現在は先代のApollo X6(GEN 1)をメインに使用しています。今回、Apollo Xシリーズが第2世代になったということで、その中からApollo X6|GEN 2を興味津々でテストをさせていただきました。

D/Aコンバーターがアップデート。さらにタイトで正確な判断ができる音に進化

 まずはApollo X6|GEN2の特徴として、ヘクサ・コア(6コア)のDSPを備えたThunderbolt接続のオーディオ・インターフェースであることが挙げられます。このDSPパワーを駆使してUAD-2プラグインをUAD Console(ミキサー・ソフトウェア)で使用し、DAWと連携させて制作が可能。もちろん、UAD-2プラグインはDAW内でもエフェクト・プラグインとして読み込むことができます。UAD Console上でUAD-2プラグインを使うことのメリットは、何と言っても低レイテンシーであることです。それによってリアルタイム処理が必要なマイク録音、ギターやベースなどのライン録音の際に極めてスムーズなモニタリング環境を構築できます。

 アナログ入力部は、2つのUnisonマイクプリのほか、2系統のHi-Z入力と6系統のライン入力(フォーン)を装備。アナログ出力部はステレオ・モニター出力(フォーンL/R)、6系統のライン出力(フォーン)、2系統のヘッドホン・アウトを備えています。デジタル部は2系統のADAT S/MUX入出力(オプティカル)とS/P DIF入出力(コアキシャル)、ワード・クロック入出力(BNC)です。

左から、電源アダプター端子、ADAT S/MUXイン/アウト×2、Thunderbolt 3(USB-C)端子×2、ワードクロック・イン/アウト、S/P DIFイン/アウト、ライン・アウト×6、モニター・アウトL/R、ライン・イン×6、マイク・イン×2。フロント・パネル側にはHi-Zイン×2とヘッドホン・アウト×2がある

左から、電源アダプター端子、ADAT S/MUXイン/アウト×2、Thunderbolt 3(USB-C)端子×2、ワードクロック・イン/アウト、S/P DIFイン/アウト、ライン・アウト×6、モニター・アウトL/R、ライン・イン×6、マイク・イン×2。フロント・パネル側にはHi-Zイン×2とヘッドホン・アウト×2がある

 と、入出力面は先代と同じ素晴らしさを持つGEN 2。今回生まれ変わった点としては、まずデザイン面です。フロント・パネルがフラットですっきりとし、ノブのデザインおよび形状も変わりました。ノブはパーツ的にもクオリティがアップしており、クリック感が極めてスムーズで正確な印象です。

 肝心のサウンド面ですが、GEN 1からの進化が本当に素晴らしいです。D/Aコンバーターがアップデートされており、特に出音が飛躍的に向上したと感じます。極めてクリアでクセのないモニタリング・サウンドです。GEN 1よりも高解像度で上下のレンジがしっかり伸びている印象で、“GEN 1は少しカリカリした感じがあって若干腰高な印象だったのだな……”と、ここに来て本来のあるべき音に気がついてしまいました。非常にタイトで正確な音の判断ができる素晴らしいクオリティに進化しています。音のエッジ感はあれど耳に痛い周波数が誇張されることなく、しかし欲しい輪郭はしっかり見えることに感心しました。中〜低域の厚みもしっかり表現され、音のリリース感の表現が素晴らしいです。デジタル特有の音のにじみ感が全く見られず、ピシっと整った軸がしっかりあるサウンドだと思いました。

 また、ヘッドホン・アウトもかなり音質が良くなったと感じました。エネルギッシュなサウンドである一方で、繊細さも失われていません。GEN 1よりも明らかに細部が見え、ファットで音にハリがあります。

 今までの歴代Apolloシリーズでは、補助的に外部D/Aや外部クロックなどを使ったこともあったのですが、Apollo X6|GEN 2はすべてこの1台で行ける、と確信しました。デジタル・アウトもS/P DIFで出力し、外部DACで音を聴いてみたところ、こちらもGEN 1と比べて明らかにクオリティがアップしています。音の芯の表現が明らかに変わりました。

入力音量を自動設定するAUTO-GAIN

 そのほかの新機能として、AUTO-GAINが搭載されました。入力音量を自動調整してくれる機能で、これはかなり便利だと感じます。ひずみの表現はUnisonの強みですが、入力ゲインを間違ってしまうと残念な結果になります。その点、このAUTO-GAINによって安心してUnisonマイクプリが使用できると思いました。

新たに搭載されたAUTO-GAIN機能。入力音量に合わせて自動で適切なゲイン設定を行ってくれる。アナログ・ハードウェアの特性を再現するUAD-2プラグインでは入力レベルも考慮したほうがよいため、AUTO-GAINが役立つだろう

新たに搭載されたAUTO-GAIN機能。入力音量に合わせて自動で適切なゲイン設定を行ってくれる。アナログ・ハードウェアの特性を再現するUAD-2プラグインでは入力レベルも考慮したほうがよいため、AUTO-GAINが役立つだろう

 Apollo X6|GEN 2はバンドル・ソフトウェアの違いで、Essentials+ EditionとStudio+ Editionという2つのパッケージがあります。Essentials+ Editionでも30種以上のハイクオリティなUAD-2プラグインがバランス良く付属しているのはうれしいポイント。同バンドル内のCentury Tube Channel StripとAuto-Tune Realtime Accessの組み合わせをボーカルで試したところ、良好なリアルタイム“ケロケロ”サウンドを得ることができました。

SONARWORKSの音響補正機能も統合予定

 スピーカーやヘッドホンの音響補正を行うSONARWORKS SoundID Referenceの機能が、Apollo Monitor CorrectionとしてApollo X内部に統合される予定です(11月リリース予定)。補正プロファイルをリアルタイムで直接Apolloに適用することができるのはメリットでしょう。

 Apollo X6|GEN 2は、“これさえあれば何でもできる!”という最高の進化モデルです。オールインワンのスタジオ環境におけるオーディオ・インターフェイスの決定版であると強く感じました!

 

益田トッシュ
【Profile】 作編曲家/プロデューサー/マニピュレーター。映画や舞台音楽の制作、歌唱指導も行うなど、マルチに活躍している。昭和音楽大学のサウンド・プロデュース・コースでは非常勤講師を務める。

 

 

 

UNIVERSAL AUDIO Apollo X6|GEN 2

Essentials+ Edition:396,000円、Studio+ Edition:440,000円

UNIVERSAL AUDIO Apollo X6|GEN 2

SPECIFICATIONS
▪接続タイプ:Thunderbolt 3 ▪入出力数:6イン/12アウト(アナログ)、10イン/10アウト(デジタル) ▪アナログ入出力:マイク・イン(XLR)×2、Hi-Zイン(TSフォーン)×2、ライン・イン(TRSフォーン)×6、モニター・アウト(TRSフォーンL/R)、ライン・アウト(TRSフォーン)×6 ▪デジタル入出力:S/P DIFイン/アウト(コアキシャル)、ADAT S/MUXイン/アウト(オプティカル)×2 ▪ビット&サンプル・レート:最高24ビット/192kHz ▪外形寸法:482.6(W)×44.2(H)×305(D)mm ▪重量:3.95kg

REQUIREMENTS
▪Mac:macOS 10.15〜14、Thunderbolt 1/2/3/4(USB-Cポート経由)端子
▪Windows:Windows 10または11(64ビット)、Thunderbolt 3または4(USB-Cポート経由)端子
▪共通:Thunderbolt 3または4のケーブル(別売)、25GB以上の空きストレージ(内蔵ドライブに100GB以上の空き容量があることを推奨)、INTEL Core i7(クアッドコア)以上のプロセッサーを推奨、16GB以上のRAMを推奨、インターネット接続環境

製品情報

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