ROB PAPENがリリースしているすべてのインストゥルメント&エフェクト・プラグインを収録したバンドルの最新版。前バージョンからはRaw 2、Synfexという2種類のシンセが追加されている。波形描画やXYパッド、ステップ・シーケンサー/アルペジエイターなどのパラメーターを搭載したシンセが多く、ROB PAPENらしいダイナミックなサウンドの変化を生む音作りができるだろう。過去のバージョン1〜9を所有しているユーザーはアップグレード価格(9,900円〜)で購入できる。
有機的なサウンドが作れるRaw 2
非常に多くのプラグインを収録しているExplorer 10。ここでは新たに加わったRaw 2とSynfexをピックアップして紹介します。
Raw 2はエッジの効いたディストーション・サウンドが特徴のシンセ。ダブステップなどで必須のウォブル・ベース系サウンドを作れる最強のツールとなっています。2基のオシレーターそれぞれにXYパッドが用意されており、位相により発生するひずみを動的にコントロールすることが可能。WAVE DISPLAYという画面ではユーザーが波形を自由に描くことができ、その波形をオシレーターやLFOとして使用できます。このセクションだけでも有機的なサウンド構築が可能で、こういった部分はROB PAPEN製品の大きな特徴ですね。
内蔵されたアルペジエイターもかなり強力。16ステップのシーケンサーがA/Bという2系統で用意されており、PLAY MODEから小節ごとに2系統を交互に入れ替えて鳴らすことも可能。画面下部のSTEPSではシーケンスのステップ数、LOOP STARTでは再生開始位置の設定ができ、これもA/Bそれぞれで設定できます。これらの組み合わせでアルペジオのバリエーションがかなり作れました。
SE系に特化したSynfex
Synfexはリバースやドロップ、ライザーなどSE系のサウンド作りに特化したシンセです。一番の特徴は画面上部のMOVEMENTセクション。ここでは音の立ち上がりやリリースのカーブを描くことが可能です。
筆者は楽曲のセクションの切り替わりなどでリバース系サウンドを多用しており、欲しいサウンドが決まったら、いったんオーディオ化してから波形のレベルで調整することが多いです。それは視覚的に調整できるからなのですが、Synfexではその手間も必要なく、音の差し替えや調整がスピーディに行えました。
Synfexはテンポ・ベースで動作するため、サウンドのうねりの速度などはDAWのテンポに対してクオンタイズ値で調整が可能。SAMPLES画面ではドラッグ&ドロップでWAVやAIFFのサンプルが読み込み可能で、サンプル音源としても使用できます。SynfexだけでSEやFX系はすべて賄えそうですね。
両シンセともにプリセットが豊富に用意されており、どれもが驚くほどハイクオリティ。ここからインスピレーションを受けて何曲も書けそうです。ぜひその耳で確かめてみてください!
阿瀬さとし
【Profile】作曲家/マニピュレーター/ギタリスト。Kco(vo、acg)とのアコトロニカ・ユニット=Cojokでギターとプログラミングを担当し、CMソングや劇伴の制作、ライブ・マニピュレーションもこなす。
ROB PAPEN Explorer 10
オープン・プライス
(市場予想価格66,000円前後)

REQUIREMENTS
⚫OS:Mac/Windows
⚫対応フォーマット:AAX/AU/VST/VST3