RHODESのフラッグシップ・モデルRhodes MK8のサウンドと現代的なテクノロジーが融合した、同社初の公式ソフト音源。30,000個以上のサンプルでRHODESピアノの特徴を再現し、127のベロシティ・レイヤー、14のアーティキュレーション、メカニカル・ノイズによりリアリティを追求。多彩なプリセットやEQ、フィルター・エフェクトなどを備え、幅広い音色を表現することができる。機能を絞った下位エディションのRhodes V8も用意されている。
実機の音や機構の動きをリアルに再現
まず初期設定のまま鳴らしてみたところ、“まさに本家”という響き方に驚きました。実機のRHODESは、メカニカル・ノイズや特有の打鍵感、トーンバー(音叉)の響きなど、独自性が強い楽器です。その公式ソフト音源であるRhodes V8 Proは、聴感上の音色の再現だけでなく、演奏する際の心地良さや機構の動きなどにもリアリティを感じられるソフト音源に仕上がっています。弾いた瞬間から、これまでのRHODESのサンプリング音源とは一味違う、本家ならではの“軸の太さ”を感じました。
ピアノ内部の細かい設定が一目瞭然
音色に関わるすべてのコントロールは3つの画面(MAIN、SETUP、DETAIL)から操作可能で、どの画面も一目瞭然の操作性を備えています。SETUP画面では、内部機構の細かい設定(LEVEL、DAMPER、FINE TUNE、TIMBRE)を鍵盤ごとに調整できます。
特記すべきは、これらのパラメーターをRHODESの過去機種などに合わせて変更できる“PROFILE”機能。任意の設定を選ぶことで、ピアノ内部のセットアップ情報をすぐに変更することができます。
私は1983年のMK2 Stageを1台所有していますが、MK2 Stageのプロファイルを読み込んだところ、大変満足度の高い音色で驚きました。この機能を使えば、RHODESの音色からかけ離れた個性的な音色作りも可能です。しかし、どのような処理を施しても、RHODES本来の音の芯を失うことはありません。RHODESブランドの軸の太さとこの音源のコンセプトの強さを感じました。
上記の機能は、演奏においてはもちろん有用ですが、作曲やアレンジに対しても非常に使い勝手が良いです。実機でレコーディングしようとすると、楽器自体のメインテナンスやエフェクト類を含めた音色作り、アンプ選び、マイク選びなどが必要になります。しかし、Rhodes V8 Proを使えばその作業を省略できますし、ノイズレスである上に、全体の音色構造が視覚的に把握しやすく、すぐに音色のブラッシュアップが可能です。その結果、エフェクトやEQによる多彩な音色作りのさらなる一手に集中することができます。
実際に使用してみて、Rhodes V8 ProにはこれまでのRHODES系ソフト音源固有の妙な癖がなく、本流の音色として洗練された存在感があります。多くのジャンルで活躍できるソフト音源であると感じました。
岡ナオキ(Numéro.8)
【Profile】作編曲家/プロデューサー/Numéro.8代表取締役。2002年より、多数のアーティストへの楽曲提供/編曲を経験。Numéro.8では、音楽制作以外に“音を利用したソリューション開発”や後進の育成なども行う。
RHODES MUSIC Rhodes V8 Pro
42,878円(価格は為替レートにより変動)

REQUIREMENTS
⚫OS:Mac/Windows
⚫共通:64ビットのみ対応、INTEL Core i5、Apple Silicon、4GB以上のRAM
⚫対応フォーマット:AU、AAX、VST2、VST3