MELBOURNE INSTRUMENTS Roto-Controlは、タッチ・センサー付きモーター駆動式ノブと高解像度スクリーンによって直感的な操作が行えるMIDIコントローラー。ABLETON Liveで使用した場合、トラック名やトラック・カラー、プラグインのパラメーターなどの情報を自動的に取得する。3つの主要な動作モード(MIX、PLUGIN、MIDI)を備えており、Live以外に、MIDI対応のシンセサイザーやDAW、照明、メディア・アプリケーションなどの制御にも対応。最大64組のセットアップを保存しコントロールできる。これより、SAKURA TSURUTAのレビューをお届けしよう。
精密な反応のモーター駆動式ノブ
箱を開けた瞬間、Roto-Controlの洗練されたデザインに引かれました。マットな質感と適度な重量感があり、高級感も漂います。巾着ケースが付いているのも持ち運びにはうれしいポイント。初回の電源オンでは、ノブが自動で回転し、数秒でキャリブレーションが完了。この動作だけで、ただのコントローラーではないと感じました。セットアップも驚くほど簡単です。ABLETON Liveで試したところ、専用ソフトRoto-Setup Appをインストールしてから、Liveの“環境設定”でコントロール・サーフェスを選択するだけですぐに連携できました。
Roto-Controlの最大の魅力は、モーター駆動によるエンコーダーの精密なレスポンスと操作性です。指先の動きにしっかり追従し、BPMのような数値入力ではクリック感のある回転、ボリュームやフィルターでは滑らかに動く仕様になっています。この感触は実際に触ってみると驚くほど自然で、手元でアナログ・シンセを操作している感覚に近いです。
視覚的フィードバックも優秀で、Roto-Controlのノブを調整すると、DAW側のパラメーターが追従し、調整済みの位置に自動で移動します。逆作動も可能なため、より細かいニュアンスの調整が格段にしやすくなりました。この機能は、ライブ・パフォーマンスでも活躍しそうです。マウスでの操作を省けるし、DAWの画面に頼らなくていいため、オーディエンスとの向き合い方も変わると思います。
“PLUGINモード”では、各プラグインのパラメーターに最適化された回転特性が適用され、ソフトウェア・シンセの操作感が向上。リバーブのディケイ・タイムを微調整したいときはノブの回転がスローになり、大胆な変化をつけたいときはスムーズに動かせる。これが想像以上に便利で、まるでプラグインがハードウェアになったような感覚でした。
プラグインのマッピングを保存可能
各社のプラグインのマッピングも保存可能で、普段よく使うプラグインを直感的に操作でき、効率が格段に上がります。MIDI対応のアナログ・シンセとも連携し、いろんなボタンを押さないと辿り着けないようなパラメーターを事前にマッピングしておくと、よりアクセスしやすく、拡張機能を手に入れたようにサウンド・デザインの幅が広がります。
MELBOURNE INSTRUMENTSの“アナログの温かみとデジタルの精密さを融合する”という哲学を感じる本機は、DAWとの統合がよりスムーズになる、Liveユーザーやシンセ愛好家には魅力的なデバイスだと言えます。
実際に数日間使ってみて、これまでのMIDIコントローラーとは一線を画す操作体験ができると確信しました。シンセを演奏する感覚でパラメーターを操れるのは、まさに理想的。Roto-Controlによって、音作りのアプローチ自体が変わりそうです。
SAKURA TSURUTA
【Profile】プロデューサー/ライブ・アクト/DJ/教育者。幻想的な電子音楽で国内外のリスナーを魅了し、作品が高く評価されている。音楽業界でのジェンダー平等を提唱し、Forbes Japan“世界を救う希望100人”に選出。
MELBOURNE INSTRUMENTS Roto-Control
オープン・プライス
(市場想定税込売価:76,800円)

SPECIFICATIONS
⚫電源:USB-C 5V (15W) ⚫外形寸法:341(W)×44(H)×112(D)mm ⚫重量:715g ⚫付属品:USB-C 5V 電源、USB-C ケーブル、キャリー・バッグ
REQUIREMENTS
⚫OS:Mac/Windows
⚫共通:ABLETON Live 10 以上対応