KAOTICA Eyeballが進化!シリコン・フィルター採用で録音環境を改善

KAOTICA Eyeball レビュー:シリコン・フィルターに生まれ変わったマイク用レコーディング・アクセサリー

 録音環境の改善を目指すクリエイターにとって、KAOTICA Eyeballは信頼できるツールのひとつと言えます。初代モデルではナイロン・フィルターを採用し、多くのユーザーに支持されてきましたが、このたびリニューアルされ、シリコン・フィルターを新たに採用するなど、大幅な進化を遂げました。耐久性や音質の向上に加え、交換用フィルターのカラー・バリエーションが増えたことで、機能面だけでなく見た目でも使い勝手が向上しています。この新バージョンのEyeballを早速試してみましょう。

環境に左右されにくい自然なサウンド 音抜け良くクリアに響く高域が得られる

 Eyeballは、吸音素材で構成された球体デザインが特徴的なマイク用アクセサリーで、録音時のノイズやリフレクション(反射音)を効果的に抑えます。特に簡易的な録音環境や、反射音の処理が難しい状況でもその効果は高く、クリアなサウンドを手軽に得られる点が大きな魅力です。

HEISERMAN AUDIO H251にEyeballを装着してテストを行った

HEISERMAN AUDIO H251にEyeballを装着してテストを行った

 EyeballシリーズはEyeballのほかにも、よりサイズの大きいマイクに対応するFatBoyやSHURE SM7Bなどに対応する7B、SONY C-800Gに対応する800C、フロントアドレス・マイクやショットガン・マイクに対応するLiveという、対応機種の異なる複数モデルが展開されています。

シリコン・フィルターをEyeballシリーズの別モデルFatBoyに装着した様子

シリコン・フィルターをEyeballシリーズの別モデルFatBoyに装着した様子

 また、マイクの形状が短く、Eyeballをかぶせたままだとショック・マウントに固定できない場合には、Eyeballをかぶせた状態でショック・マウントの上に乗せることで、マイク自体をショック・マウントに固定しなくても使用できます。

 今回のリニューアルでは、フィルターがナイロン製からシリコン製に変更され、音質面でもさらなる改良が加えられました。また、従来モデルのユーザーもフィルター(Silicon Pop Filter)を単体購入すればアップグレードが可能な点は、既存ユーザーへの配慮として評価できるポイントです。

 テストを行った環境は6畳ほどの自宅スタジオで、使用マイクはHEISERMAN AUDIO H251とAUDIO-TECHNICA AT4040です。比較用に従来のナイロン・フィルターと切り替えて試しました。

従来モデルで採用されていたナイロン・フィルターを装着

従来モデルで採用されていたナイロン・フィルターを装着

 収録するソースには、男性ボーカルやアコースティック・ギター、シェイカー、スナップといった幅広い素材を選びました。壁材や床の特性によって反射音が発生しやすい環境ですが、Eyeballを装着することで、こうした外的な影響を効果的に軽減できました。

 シリコン・フィルターに切り替えた際、最初に感じたのは音の抜けの良さです。ナイロン・フィルターではやや曇りがちに感じられた高域が、シリコン・フィルターではよりクリアに響きます。特にアコースティック・ギターの高域のきらめきや、シェイカーの細やかなニュアンスが際立ち、素材そのものが持つ音の魅力を引き出せました。また、トランジェントの再現性にも優れ、録音環境に左右されにくい自然なサウンドが得られます。

フィルターは簡単に取り外しが可能 豊富なカラー・バリエーションでカスタマイズ

 従来のナイロン・フィルターは高域の吸音や減衰が見られ、鉄製のポップ・ガードに比べると音質面での制約が感じられる場合がありましたが、シリコン・フィルターはこれらの課題を大きく改善しています。

 ポップ音の抑制力は鉄製のポップ・ガードほど鋭敏ではありませんが、Eyeball単体で録音環境を改善できる点は大きなメリットです。さらに、フィルター自体の取り外しが簡単な設計となっており、用途に応じて柔軟に使用できる点も利便性を高めています。

 加えて、交換用シリコン・フィルターのカラー・バリエーションが数多く用意されていることで、見た目のカスタマイズ性も向上しました。単体販売があるため、万が一の故障や摩耗時にもすぐに交換できる安心感があり、スタジオ機材として長く使える信頼感を高めています。

シリコン・フィルターはSilicon Pop Filterとして単体でも販売(各色4,950円/1枚)。カラー・バリエーションが多数用意されているため、シチュエーションに応じてカスタマイズすることもできる

シリコン・フィルターはSilicon Pop Filterとして単体でも販売(各色4,950円/1枚)。カラー・バリエーションが多数用意されているため、シチュエーションに応じてカスタマイズすることもできる

 Eyeballは、録音環境の改善をシンプルかつ効果的に実現するアイテムとして、自宅録音からプロフェッショナルなスタジオまで幅広く活用できます。シリコン・フィルターへの変更により、特に高域の明瞭さやトランジェントの表現力が求められる場面でその実力を発揮するでしょう。反射音やノイズが気になる環境でも、簡単なセッティングで録音のクオリティを大きく向上させてくれる、非常に実用的なツールです!

 

春野
【Profile】作詞曲、トラック制作、エンジニアリングまで自らこなすネット発のシンガー・ソングライター/プロデューサー。『IS SHE ANYBODY?』でiTunes/Apple MusicのR&Bチャート首位獲得。

 

KAOTICA Eyeball

33,000円

KAOTICA Eyeball

SPECIFICATIONS
▪周波数特性:0Hz〜30kHz(±1.4dB) ▪全高調波ひずみ率:6.789% ▪最大ピーク:140dB ▪最適なマイク:直径38〜70mmのラージ・ダイアフラム・モデル ▪指向性:カーディオイド推奨(他パターンも使用可) ▪外形寸法:直径193mm ▪重量:113g

製品情報

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