最新の同軸ドライバー・テクノロジーを採用したCLASSIC PROの10インチ・パワード・スピーカー。DSPを内蔵し、5種類のプリセット(MUSIC/SPEECH/LIVE/DJ/MONITOR)やフィルター、ディレイでの音質調整が行える。CSRシリーズは、本機のほか12インチのパワード・スピーカーCSR12Pとパワード・サブウーファーのCSR15SP/18SPをラインナップ。ハイボックスとサブウーファーを2台ずつ使ったステレオ・システムや、2.1chのシステム構築にも対応する。
簡単に操作できるDSPエフェクト
重量はパワード・スピーカーの割には非常に軽量です。片手で軽々持ち上げられますし、女性の方でも一人で簡単にスピーカー・スタンドに乗せられるでしょう。筐体も非常にコンパクトなので車があれば気軽に持ち運べます。キャンプなどに持ち運んで音楽を楽しむのにも良いかもしれませんね。
背面にはライン入力とマイク入力の両方に対応した2つのXLR/TRSフォーン・コンボ入力があり、音楽をかけながらマイクでしゃべることなどがミキサーなしでできてしまいます。それぞれにゲインが付いているので、バランスを取ることも可能です。
さらに、DSPエフェクトが内蔵されていて、プリセットとしてMUSIC/SPEECH/LIVE/DJ/MONITORの5種類が用意されています。システム・ディレイ(0.1〜10msまでの遅延時間を設定可能)、HI/MID/LOWの3バンドEQに加え、ローカット・フィルター(80/100/120/150Hzの中から選択可能)を搭載。Bluetooth接続も可能です。内蔵エフェクトの設定は、ロータリー・エンコーダーで分かりやすく簡単に操作できるので好印象です。視認性も非常に良くて、目の悪い筆者には助かります。
立体的で深みのある低音が魅力
プリセットを一番スタンダードであろうMUSICにして、ほかの設定は触らずに音楽を再生してみます。色付けのない素直な音で好印象でした。低域も良い感じに再生されていると感じました。
次はDJプリセットを試してみます。あくまでも個人的な好みですが、私にはこちらのサウンドのほうが良いと感じました。低域が出てくることで全体に深みができ、立体感の増す感じがします。10インチ・ウーファーでこのサウンドはなかなかなのではないでしょうか。
さらに、SHURE SM58を使ってSPEECH、MONITORプリセットをチェックしてみます。SPEECHは不必要な低音がカットされて、声が聴き取りやすくなります。またMONITORは低域に加えて、中低域もある程度抑えられており、自分の声が非常にナチュラルに聴き取れるようになりました。
最後にLIVE。これはMUSICより少しだけスッキリする印象です。恐らくアコースティック系や弾き語りなどのライブを前提としているプリセットなのではないかと思います。
CSR10Pは機動性が高く、ミキサーがなくてもさまざまなシチュエーションに合わせて用意されているプリセットを変更するだけで適切な音に仕上がってくれ、手軽にどこでも持っていけるようなスピーカーだと感じました。そして、この価格帯で同軸スピーカーが手に入る!ということに驚きます。
西川文章
【Profile】大阪を拠点に活動するPA/レコーディング・エンジニア。大小さまざまな会場を回り、豊富な経験を持つ。かきつばたやブラジルなどのプロジェクトで、ギタリストとしても活躍している。
CLASSIC PRO CSR10P
39,800円/ 1台

SPECIFICATIONS
⚫スピーカー・タイプ:2ウェイ・パワード ⚫最大出力音圧レベル:124.5dB ⚫出力:1,200W RMS(LF/MF)+200W RMS(HF) ⚫クロスオーバー周波数:2.2kHz ⚫周波数特性:60Hz〜20kHz(−10dB) ⚫外形寸法:310(W)×515(H)×280(D)mm ⚫重量:12.8kg(1台) ⚫入力端子:XLR/TRSフォーン・コンボ×2、3.5mmステレオ・ミニ×1 ⚫出力端子:XLR×1