真空管アンプとテープの音響特性を付与するプラグイン「GOODHERTZ Tupe」

真空管アンプとテープの音響特性を付与するプラグイン「GOODHERTZ Tupe」

フックアップが運営するオンライン・ストアのbeatcloudから、注目のソフトをピックアップする本コーナー。今回レビューするのはGOODHERTZ Tupeです。“Tupe”は、チューブ・アンプの“Tube”とアナログ・テープ・マシンの“Tape”を組み合わせた造語。これ一つで両者の音響特性を再現でき、ブレンドすることも可能なサチュレーション・プラグインです。Mac/Windowsで動作し、AU/AAX/VST/VST3プラグインとして使用できます。早速、詳しく見ていきましょう!

Tubeには9種類の真空管モデル、Tapeには4種のテープ・モデルを搭載

 ビビッドなピンクや、“tube”“tape”と背景に太い文字で書かれたデザインが目を引くTupe。ビンテージな質感のサチュレーションから派手なディストーションまで、さまざまなひずみエフェクトを提供してくれます。

 

 まずは基本的なパラメーターの説明から。画面左上にある“tube”と“tape”がこのプラグインの最も根幹となる部分で、両者はスライダーになっています。“●”を左右に動かすことで調整でき、右端の200%に近付くほどひずみが強くなる仕様です。これに伴い文字のデザインも変化するため、視覚的にも分かりやすいですね(画面①)。

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画面① 画面左上にある“tube”と“tape”。●を左右に動かすことでひずみ具合を調整できる。値が200%に近付くに伴い、背景の文字も太くにじんだようなデザインに変化する

 画面左端にある“ドライブ”フェーダーは、入力レベルを制御。数値は−100%から100%まであり、100%にすることで激しいディストーション・サウンドが得られます。一方、画面右端には“アウトプット”フェーダーを備え、±18dBでの出力レベル調整が可能です。

 

 Tupeの大きな特徴の一つとして、Tubeに9種類の真空管モデル(画面②)、Tapeに4種類のテープ・モデル(画面③)が用意されていることが挙げられます。それぞれ画面中央にある専用スロットで選択でき、さまざまなトーンをかけ合わせた音作りを楽しめるでしょう。下部にはTubeとTape、それぞれのバイアスやノイズをコントロールするパラメーターもあり、より細かいテクスチャー調整が行えます。

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画面② Tubeでは、専用スロットから9種類の真空管モデルを選択可能。ビンテージ真空管の5751のほか、6L6やEL34、12AX7など定番モデルを備える

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画面③ Tapeでは、専用スロットから4種類のテープ・モデルを選べる。Tubeの専用スロットで選択した真空管モデルの音色とかけ合わせることが可能だ

 これらの下段にあるのは、オプト・セクション。ここでは、1960年代の光学式コンプレッサー・サウンドをほうふつさせる処理が施せます。また、プリ/ポストで配列順序を変更することも可能です。

 

 さらに下段には“原音”とかかれたフェーダーを備え、Tupe全体のドライ/ウェット量を調整できます。また、同じ段の右端にある5つのボタンはバイパス用。それぞれのパラメーターをワンクリックでバイパス可能で、素早く変化を確認できるのが便利ですね(画面④)。

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画面④ “原音”フェーダーでは、Tupe全体のドライ/ウェット量を調整。右端にある5つのボタンをクリックすると、それぞれが対応するパラメーターがバイパスされる


 画面右端には“TUPE”と書かれたピンクで縦長のサイド・バーがあります。上から、先述の“ドライブ”に対応するVUメーター、電源ボタンを搭載。また“…”ボタンを押すと、画面右側に拡張パネルを出現させることができます(画面⑤)。

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画面⑤ サイド・バーにある“…”ボタンを押すと、右側に拡張パネルが出現。画面最下段からフィルター・モードとエンファシス・モードを切り替えることができる。EQポイントをマウスでドラッグすることで、直感的なフィルタリングとトーン・シェーピングが可能

 この拡張パネルでは、フィルターとエンファシスの2つにアクセスできます。フィルター・モードでは、マウスでEQポイントをドラッグすることで、とても柔軟なフィルタリングとトーン・シェーピングを実現可能です。

 

 対してエンファシス・モードでは、フィルター・モードと同じ操作方法ですが、Tube/Tapeのエフェクト成分のみに反応します。どちらもより細かい制御と微調整が行え、サウンドにインスピレーションを与えてくれることでしょう。

あらゆる年代の名曲にちなんだプリセットを多数収録する

 ここからは、Tupeを実際に使ってみましょう。まずTupeに収録されたプリセットを見ると、“Historical”というカテゴリーには、あらゆる年代の名曲のタイトルが並んでいるのに興味が湧きます(画面⑥)。

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画面⑥ Tupeに収録されたプリセット・カテゴリーには“General”“Historical”“Historical,Individual Instruments”、“Guitar & Bass Amps”などがあり、“Historical”には往年の名曲のタイトルが並んでいる。いずれもタイトル曲にちなんだひずみを再現しているため、プリセットを選ぶ際に音色をイメージしやすい。なお、画面右側にある拡張パネルはエンファシス・モードを表示している

 例えば“1612 - Vulfpeck(2014)”というプリセットを選択すると、ヴルフペックらしいナロー・レンジでコンプの効いたひずみサウンドが得られます。サウンドにキャラクター付けをしたいときに、こういったプリセットを使うのはうってつけでしょう。豪快にバスやマスターに挿して使うのも、場合によっては素晴らしい結果になると感じます。

 

 次はTupeをさまざまなソースで試してみましょう。ギターやピアノといったソースにおいては、Tupeを軽くかけることでソフトな倍音を強化することができます。逆にしっかりとひずませてしまえば、音色だけでなく奥行き感までも調整することができ、非常に面白い効果を発揮するでしょう。

 

 またドラムに対しては、プリセットからオールドな質感の“Voodoo Child - Jimi Hendrix(1968)”を用いてみます。滑らかなサチュレーションによる厚みを付加することで、1960〜70年代をイメージさせるクリスピーなサウンドを再現することができました。

 

 さらに、プリセットを使わずともTubeとTapeのフェーダーを130%程度にし、ドライブをほんの少し上げ、エンファシス・モードで低域を持ち上げることで、心地良くひずんだローエンドと肉厚な質感を得ることができます。

 

 大胆なアプローチとしては、Tubeのフェーダーを100%、Tapeを200%、ドライブを−15%にし、フィルターで150Hzと900Hz辺りを軽く持ち上げると、テープ・サチュレーターの持つ独特で素晴らしい高次倍音を得ることができるのでお勧めです。

 

 Tupeはどのソースに対しても試す価値のある、ユニークでクオリティの高いサチュレーション・プラグインです。ここ数年人気のローファイ・サウンドを手軽に演出できますし、シンプルな操作感はビギナーにも優しいでしょう。もちろん、プロのプロデューサーやエンジニアにも愛されるポテンシャルを持ったプラグインだと思います。

 

 自分もギターやエレピ、ベースなどあらゆる楽器をサチュレーションする際、ファースト・チョイスとなるプラグインになると確信しています。まだ日本でローンチされて間もないTupe、ぜひ皆さんも試してみてください。ユニークで大胆なサウンドのとりこになるかもしれません。

 

GOODHERTZ Tupe

価格:14,200円

 Requirements 
■Mac:OS X 10.9以上、AU/AAX/VST/VST3(いずれも64ビット)対応のホスト・アプリケーション
■Windows:Windows 7以上、AAX/VST/VST3(いずれも64ビット)対応のホスト・アプリケーション

 

春野

東京を拠点とするシンガー・ソングライター/プロデューサー。2017年にボカロPとしてデビュー後、ローファイ・ヒップホップのインストゥルメンタル作品や自身がボーカルを務めるEPを発表している。

 

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