第9限 ドラム録音〜その2

[サウンド&レコーディング・マガジン 2011年月9月号連動]
前回は基本的なステレオ・マイキング 、AB方式/XY方式でドラムを録音しました。 これに続き、今回も2本のマイクによるドラム録りを実践。"MS方式"を試します。 "MS"とはMid-Side(中央/脇)の略語です。このマイキングではダイアフラム(マイクの収音部)正面の音をとらえる"単一指向性のマイク"を楽器に向けて設置。またこれと直角に交わるよう、ダイアフラムの正面/裏面に位置する音を収める"双指向性のマイク"をセットします。こういった2本のマイクを使って、同じポイントから一つの音を狙うのです。 MS方式で録った音をステレオ音像に仕上げるには、MS処理が可能な機材(プラグイン・エフェクトなど)を必要としますが、音が左右に広がる感じ=ステレオ感を録音後に調整できるという大きなメリットがあります。また、各マイクでの録り音を個別にエディットできるため、響き方を自在にコントロールすることも可能。それでは、MS方式での録音を聴いてみてください。

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  • マイク/RODE NT-1A、AKG C414 TLII
  • オーディオI/O/FOCUSRITE Saffire 6 USB(マイクプリは本機に内蔵のものを使用)
  • DAW/APPLE Logic Studio(レコーダーとして使用)
  • ドラム/横浜天王町Studio Oliveに常設のものを使用

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  • A:MS方式の”M”=正面の音のみの録音(RODE NT-1A)
  • B:MS方式の”S”=脇の音のみの録音(AKG C414 TLII)
  • C:MS方式で得た録り音/ステレオ感が比較的狭いバージョン)
  • D:MS方式で得た録り音/ステレオ感が比較的広いバージョン)
  • E:参考/オーバーヘッドからAB方式でステレオ録音(RODE NT-1A)
  • F:参考/オーバーヘッドからXY方式でステレオ録音(RODE NT-1A)

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一瀬正和

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ロック・バンドでドラマーとして活躍するかたわら、横浜は天王町にてリハーサル・スタジオStudio Oliveを営む社長。「友達の家に遊びに来ているような感覚のリハスタを目指す」という言葉の通り、非常にアットホームな雰囲気のスタジオとなっている。また、リーズナブルな価格も魅力。高校生バンドからインディーズ・アーティストまで、さまざまな人たちによって利用されている。一方、ドラマーとしても敏腕な一瀬氏。そのプレイから、いい録り音を得るには演奏力を高める努力も必要......ということを学ぶことができるでしょう。