青葉市子インタビュー 〜共同プロデューサー梅林太郎&エンジニア葛西敏彦と『Luminescent Creatures』を語る

青葉市子

この作品を通して、どんな生き物も肯定されるような
世界になったらいいなという願いがあります

音楽家の青葉市子が、アルバム『Luminescent Creatures』を2月にリリースした。前作『アダンの風』と同じく、共同プロデューサーに梅林太郎を、エンジニアに葛西敏彦を迎えて制作された本作は、原点とも言える弾き語り形式から壮大なオーケストレーションまで多彩なアレンジがありつつも、アルバムとして一貫した世界観を構築。聴く者を穏やかな気持ちにさせてくれる一枚だ。現在長期のワールド・ツアー中の青葉が日本をたつ前に、梅林と葛西も交え、今作がいかにして作られたのかを聞いた。じっくりと読み進めていただけたら幸いだ。

自分より自分を理解している

──今作の発表時に、葛西さんが“とても長い時間をかけて皆さんと一緒に作った”と、Xでポストされているのを拝見しました。

青葉 すごく時間がかかりました。前作『アダンの風』が2020年12月の発売で、その次の瞬間から創作は始まっていた気がします。我々も前作が完成したときに、これで終わりとはきっと誰も思っていなかったし、『Luminescent Creatures』に入っている曲の中には前作の制作時にもう生まれていたものもあります。何度も一緒に集まったり、音のかけらみたいなものを交換しあう期間があって、ようやく本格的なレコーディングに着手できたのが昨年の5月です。

──そろそろスタジオに入って録ろう、となるきっかけはあったのでしょうか?

青葉 いわゆるアルバム制作みたいな進行からはかなり外れていて。作曲、作詞、レコーディング、ミックスが全部同時進行だったので、目安も設けづらいというか。録音しても“やっぱりこういうアレンジが良い”となって使われなくなったものもたくさんありました。

──オーケストレーションや弾き語りなど、アレンジもさまざまです。それもスタジオに入って決めていったのでしょうか?

青葉 大きなスタジオでレコーディングするものは、ミュージシャンの方々をお呼びしているので、ある程度固めてからやっていたんですけど、弾き語りのものとかは、“今日、何ができそう?”という話から始めることもありました。「惑星の泪」はもともとピアノで作られた曲ですけど、ギターでやってみようとなり、アレンジしながら“じゃあ、録ってみよう”というふうに進んだこともありましたね。

葛西 準備しているものもあれば、そうじゃないものもあります。“波”というか……そのとき、そのときのみんなの判断でどんどん変わっていく。僕が知らないうちに新しい曲ができていて、“それ、知らないけど”みたいなこともありましたし(笑)。いろんなところで、いろんな形で進んでいたように思います。

──2曲目のタイトルが波照間島の座標です。収録曲の歌詞にも海を想起させるものがありますが、今作を創作する上で大きなインスピレーションとなっているのでしょうか?

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