現場で真価を発揮するBOSE F1 System ②グランドプリンスホテル新高輪Lounge Momiji

2015年秋に発売されたBOSEのポータブルPAスピーカーF1 System。垂直方向のカバレージ・パターンを4タイプに調整できるフレキシブルアレイ・テクノロジーを搭載したF1 Model 812と、これと完全にマッチするサブウーファーF1 Subwooferを組み合わせたパワード・システムは、瞬く間に話題となった。昨年にはModel 812のパッシブ・モデルも発売。デビューから1年が過ぎたF1 Systemは徐々に現場に浸透しつつある。そんなF1 Systemの導入事例を紹介するレポート、今回は東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪に伺い、ロビーに隣接するLounge MomijiへのF1 Model 812の導入経緯について聞いた。

五感に訴えるホテルとして“音”に注目

グランドプリンスホテル新高輪は、昨年9月にメイン・エントランス、ロビーと隣接するラウンジなどの1階部分を大幅にリニューアルした。プロジェクト担当支配人の三宅康晴氏はこう説明する。

「お客様のホテルに対する第一印象はやはりロビー。外国からのお客様も多く、日本を感じていただきたいという意図があり、“コンテンポラリー・ジャパニーズ”をコンセプトとした空間設計にしています。また、“五感に訴える”ということで、これまであまり着目してこなかった“音”に手を入れていこうと考えました」

そのような取り組みの中、BGMも放送用設備ではなく、BGM専用スピーカーにグレードアップ、音源も従来のクラシック/ジャズに限らず、Rambling RECORDSとのコラボレートでセレクトし、“音”を積極的に空間デザインに取り込んだ。さらには、ロビーとともに改装されたLounge Momijiでのライブ実施を発案したという。

「生演奏に触れる機会を提供したいと考えました。平日夜はピアノの生演奏、週末はライブをやりたいと。ロビーにも音が届くようにしたいのですが、それでフロント対応などに支障があるのは困ります。そんなとき、BOSEの新製品でカバー・エリアをコントロールできるものがあると聞いて、試してみることにしたのです」

Lounge Momijiは金・土に“Urban Music Lounge Momiji”と題したライブ・イベントを開催。ミュージックチャージ1,000円という手ごろな価格(宿泊客は無料)でアコースティックを中心としたライブが楽しめる。取材時は“HINAMATSURI NIGHT 2017”と題したスペシャル・イベントが開催されており、傳田真央のライブが特別メニューや傳田プロデュースのカクテルとともに楽しめた Lounge Momijiは金・土に“Urban Music Lounge Momiji”と題したライブ・イベントを開催。ミュージックチャージ1,000円という手ごろな価格(宿泊客は無料)でアコースティックを中心としたライブが楽しめる。取材時は“HINAMATSURI NIGHT 2017”と題したスペシャル・イベントが開催されており、傳田真央のライブが特別メニューや傳田プロデュースのカクテルとともに楽しめた

宿泊客が足を止めて聴くラウンジ・ライブ

F1 Model 812の導入は、リニューアルで設備導入を手掛けた花森の上條浩道氏の提案による。F1ならば、ホテル側が考える空間作りが可能だと思い当たったそうだ。

「お客様の居るエリアにだけ的確に音を届けたいと考えたときに、カバー・エリアを制御できるF1が適したスピーカーだと確信しました。隣にフロントがあるので、空間全体としてどう音をクリアにを保つか考えたときに、天井への余分な放射を抑えることが有効でした。従来のポイントソースだとこうはいきません」

実際にラウンジでのライブをスタートして、三宅氏は構想していた以上に、その効果を感じているそうだ。

「客室はもちろんですが、ロビーでも寛いでいただくという意味で、居心地の良い空間作りができたと思っています。お客様がチェックインでフロントに並んでいるときに、その横でライブをやっている……そんなホテルはなかなかありませんよね(笑)」

Lounge MomijiでのF1のカバレージ・パターンは奥行きが長いスペースを考慮し、ストレート・ポジションに設定。ラウンジ内を十分な音量で聴かせる中、ロビーでもそのラウンジ・ライブの雰囲気が濁ることなく、高い質感とボーカル・クラリティが保たれたまま漏れ聴こえ、ストレート・ポジションの高い遠達性の効果が伺えた。
最後に、三宅氏にF1の音についてあらためて尋ねてみると、こう答えが帰ってきた。

「音が良いのはもちろんですが、ラウンジに限らずロビーを含めた空間全体にマッチしている。ロビーを通るお客様が足を止めて聴いてくださっている。それが評価していただいている証拠だと思います」

F1のフレキシブルアレイ・テクノロジー。カバレージ・パターンを4パターンから選択可能。音を届けたいエリアを的確にカバーすることに加え、反射や残響など不要な音を抑えられるため、素直な音場を作ることができる。空間の影響を受けづらく、そのための補正が少なくて済むのも利点 F1のフレキシブルアレイ・テクノロジー。カバレージ・パターンを4パターンから選択可能。音を届けたいエリアを的確にカバーすることに加え、反射や残響など不要な音を抑えられるため、素直な音場を作ることができる。空間の影響を受けづらく、そのための補正が少なくて済むのも利点
左がプリンスホテルの三宅康晴氏、右は設備導入を担当した花森の上條浩道氏 左がプリンスホテルの三宅康晴氏、右は設備導入を担当した花森の上條浩道氏

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F1 System

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2.25インチ・ドライバー×8基のアレイを、会場の形状に合わせて4つの指向性パターンに変形させるフレキシブルアレイ・テクノロジーを搭載したパワード・スピーカーF1 Model 812を軸に、そのパッシブ・タイプや10インチ×2基のパワード・サブウーファーをラインナップ。パワード・モデルのアンプ出力は1,000W。F1 Model 812本体のウーファーは12インチで、単体でフルレンジ再生に対応する。専用スタンドをサブウーファーに格納できるのもポイントだ

■パワード・モデル

F1 Model 812 Flexible Array Loudpeaker 230,000円/1本
F1 Subwoofer 230,000円/1本

■パッシブ・モデル

F1 Model 812 Passive Flexible Array Loudpeaker 170,000円/1本

F1 System 製品情報 http://probose.jp/cat_product/f1_system/https://pro.bose.com/ja_jp/search.html?category=&query=F1&queryForDisplay=F1

Presented by BOSE
問合せ:ボーズ プロシステム事業部 http://probose.jp/

サウンド&レコーディング・マガジン2017年5月号より転載