アル・シュミット〜ECLIPSE TD-M1ユーザー・レポート(4)

透明感があるTD-M1をぜひみんなに聴いてみてほしい

 “タイムドメイン理論”に基づき設計されたECLIPSEのスピーカー、TDシリーズ。昨年発売されたTD-M1は、24ビット/192kHz対応のUSB入力搭載、APPLE AirPlayでのワイアレス対応など、使い勝手も追求したモデルだ。もちろん音質もこれまでのTDシリーズが培ってきた“正確な再生”をさらにブラッシュ・アップ。ECLIPSE初のアンプ内蔵型で使いやすさも向上し、エンジニアが愛用するケースが加速しつつある。今回は、1950年代からデューク・エリントン、ヘンリー・マンシーニ、レイ・チャールズ、スティーリー・ダン、TOTO、ポール・マッカートニーなどの作品で手腕を奮ってきた大御所エンジニア/プロデューサー、アル・シュミット氏がTD-M1を愛用中との情報をキャッチ。85歳の今も現役であり、大学で後進の指導にも当たるという多忙な氏とコンタクトを取りTD-M1について、また近況について聞いた。

この記事はサウンド&レコーディング・マガジン2015年7月号から編集・転載したものです。

レコーディングしたときの音そのものを再生

最近はどういったアーティストの作品を手掛けているのですか?

最近手掛けた中で大きなプロジェクトはニール・ヤングのアルバム『ストーリートーン』。それから、ボブ・ディランのアルバム『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』も終えた。これは2月に出たのかな。現在は、パット・ウィリアムス・ビッグ・バンドのレコーディングの最中だが、とてもエキサイトしているよ。素晴らしい音になっている。こんなところかな。あと、もうじき『THE ART OF RECORDING A BIG BAND』という、私の録音テクニックを紹介したDVDが出る。ビッグ・バンドのレコーディングやセットアップの仕方を示したものなんだ。

あなたのように長いキャリアを積んで来られた方がいまだに現役で活躍されているというのは驚きです。何が原動力になっているのでしょう?

音楽と音をとらえることに対する愛だね。私はとても恵まれている。今やっていることが大好きだし、毎日仕事に行くことのできる私は幸せ者だ。

今回は、最近愛用されているというECLIPSE TD-M1についてうかがいたいと思います。最初はAESショウで、TD712ZMK2という、TD-M1より大きなモデルを試聴したと聞きました。

そうだ。とにかく、あのスピーカーの音はとても気に入ったんだ。部屋に入って聴いてみたら、ひたすら圧倒された。私がレコーディングした作品をかけてくれたんだが、あのスピーカーから出てきた音は、レコーディングしたときの音そのものだったよ。素晴らしかった。とても忠実な音だ。

スタジオで録音した音を家でも忠実に再現

TD-M1はどのような環境で使っているのですか?

自宅のリビングで使っている。当然、部屋の音響特性もまたスピーカーに影響を与えることがある。それで音の出方が変わってくるので、それぞれの音は少しずつ違う。部屋のサイズなどが影響してくるからだね。私がTD-M1を気に入っているのは、スタジオでレコーディングしたものを家に持って帰ってきて、それを家で聴いても、2つのスピーカーの間から何が聴こえてくるかがちゃんと分かるところなんだ。スタジオで使っているモニターはもう15年も愛用しているもので、どんなサウンドがするのか完全に理解している。スタジオでそんなモニターを使って聴いたのと変わらない印象で、自宅のTD-M1で聴くことができるんだ。

そうした点を気に入っていらっしゃるわけですね。クライアントや共同制作者、Capitolのエンジニア陣などから、TD-M1の反響は何かありましたか?

あったよ。私が聴かせたほとんどの人から反響があったし、AESショウでもいろいろな人をECLIPSEが試聴できる部屋に連れていった。みんな、感動したと思う。とても気に入ってくれたよ。

どんなタイプの音楽にTD-M1は向いていると思いますか?

特に無いというか、どんなタイプの音楽にも向いていると思う。とても透明感があるので、どんなものにも合うと思うよ。

全体として、TD-M1には満足されていますか?

ああ、とてもね。みんなにはぜひとも聴いてみてほしい。スピーカーはとてもパーソナルなものだが、ニューヨークでTD-M1を使っている人たちが増えてきていることを私は知っている。だから、少なくとも聴いてみることだ。そして、自分に合うかどうか確かめてから決めてほしいね。とにかく、聴いてみることを強くお勧めする。

 

【アル・シュミット PROFILE】
1930年ニューヨーク生まれ。ハリウッドのRCAスタジオでヘンリー・マンシーニやサム・クックの作品を手掛け、頭角を表す。1960年代に独立した後は、ジェファーソン・エアプレイン、ジャクソン・ブラウン、ニール・ヤング、スティーリー・ダンなどを手掛け、20以上ものグラミー受賞歴を誇る

ハイレゾを生かすならECLIPSE

CompareGraph

CDはハイレゾよりも分解能こそ低いが、ソースの再現性においては、スピーカーが元音を崩す度合いの方がCDとの差異よりはるかに大きい。原音忠実なECLIPSEのタイムドメイン・スピーカーならば、ハイレゾ音源の特長を生かすことができる

TD-M1

TD-M1_BK_LR

■スピーカー・ユニット:8cmコーン型フルレンジ ■方式:バスレフ・ボックス ■再生周波数:70Hz〜30kHz ■定格出力:20W(T.H.D 1%/片チャンネル駆動時) ■最大出力:25W(T.H.D 10%/片チャンネル駆動時) ■高調波ひずみ率:0.08%(1kHz/10W出力時) ■S/N:90dB以上 ■入力インピーダンス:10kΩ ■消費電力:10W ■待機電力:2.7W(ネットワーク・スタンバイ時)、0.5W以下(完全スタンバイ時) ■外形寸法:155(W)×242(H)×219(D)mm ■重量:約5.3kg(ペア) ■価格:125,000円(ペア) ■カラー:ブラック/ホワイト

TD-M1R▲Rch用スピーカーのリア・パネルには、左から電源アダプター入力、AUXイン(ステレオ・ミニ)、USB A、USB B、Lchスピーカー用出力、そして付属Wi-Fiアンテナを接続するための入力が並ぶ(撮影:小原啓樹)

問合せ:富士通テン
http://www.eclipse-td.com/

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