
SC207は聴き疲れすることもなく気分良く作業ができる
脚本家としての顔を持つエンゲルケンと、大学では現代音楽とクラシック打楽器を学んだというシュピース。2人は、俳優として活躍するベン・ベッカーのバンドにそれぞれギタリスト、ドラマーとして参加し、バンド解散後はRoxy Studioを拠点に制作を行っている。エンゲルケンは「ここを使っているのは8年前から」と振り返る。「ここは以前はRiet Studioという名前で、1985年までタンジェリン・ドリームのキーボーディストを務めていた、ヨハネス・シュムーリングが使っていました。確か彼は10年以上ここにいたはずです。ここが気に入った理由は……自宅から近いから(笑)。近くにあるビクトリア・パークも含めて、このあたりの雰囲気が好きなんです。あと、入った時点で既にルーム・アコースティックが整っているという利点もありました」古風なアパートの2Fにしつらえられたスタジオは3つの部屋があり、それぞれにDAWシステムに加え、ドラム・キット、ピアノなどの多彩な楽器をセット。各ルームはケーブルでつながっており、「さまざまなセッションにフレキシブルに対応できます」とシュピースは語る。「作曲はAPPLE Logic、録音はAVID Pro Toolsで行っています。演奏もここで録っていて、コラボレーターの通称“キャプテン”がBRAUNERやSCHOEPS、NEUMANNなどいろいろなマイクを持ってきてくれます。楽しいですよ」2人はミキシングまでここで行っており、「モニターはとても重要です」とエンゲルケンは言う。「EVE AUDIO SC207はポンと置いただけですぐにいい音が出たので、すごく気に入っています。音が丸くて、サブウーファーがなくても奇麗な低域が出るところがいい。気分良く作業できますし、聴き疲れすることもないですね」一方、主にSC208を使っているシュピースも「私もベースが気に入っています。あと、ステレオ・イメージがとてもいい。“ベースはここ”“チェロがここ”という感じで、楽器がはっきりとそこにあるように聴こえます」と語る。2人は映画音楽のほかに個人でのさまざまなプロジェクトにかかわっており、エンゲルケンはジャズ系の実験音楽プロジェクトで定期的なライブ活動を展開。一方のシュピースもショート・フィルムのサウンド・デザインなどを手掛けている。「要するに、クリエイティブ/コマーシャルなプロジェクトのバランスを取るようにしています。このスタジオがこれからも存在できるようにね(笑)。音が出るものすべてに興味があるので、今後もいろいろとチャレンジしていきたいです」



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