SC307は低域がよく判断できステレオ・イメージも優れている
nhow Berlinはシュプレー川沿いのホテルの8Fがスタジオとなっており、2つのコントロール・ルームとボーカル・ブース、ラウンジ・スペースで構成。ロシア人デザイナーが手掛けたショッキング・ピンクをアクセントとするモダンな内装は、世界中からクリエイターが集う現在のベルリンの空気を反映しているようでもある。シュムック氏は「現在のところ、ホテルとスタジオを組み合わせるアイディアはうまく機能しています」と語る。「音楽制作はもちろん、ホテル併設という利点を生かして、1Fにあるラウンジでショウケースを行ったり、ユニバーサルなどのメジャー・レーベルがプレス・カンファレンスを行ってきました。ホテル内にはMADIのネットワークが張り巡らされており、ミュージシャンが客室で演奏したテイクをここで録音/ミックスすることもできます。最近ではグラミー賞ノミネーターのプロデューサー=ジュード・フリードマンが、ここで新人バンドをプロデュースしました」スタジオの機材に関しても、AKG、SE ELECTRONICSなどさまざまなメーカーとコラボレーションを行ってきたという。「ベルリンには多くの機材メーカーがあり、このスタジオは新製品のテストの場としての役割も担っています。最近、モニター・スピーカーとしてEVE AUDIO SC307/SC205を導入しましたが、特にMultifunction/Digital Suiteに設置したSC307には良い意味で大変驚かされました。ステレオ・イメージがとてもはっきりしていて、低域がよく判断できます。もう一方のAnalog Mixing Suiteにはほかのメーカーのラージ・スピーカーを設置しているのですが、実を言うと、音響的にあまり納得がいっていません(笑)。SC307の印象が大変良かったので、Analog Mixing Suiteの方にもサブウーファーと組み合わせてセッティングしてみようと考えているところです。ローとミッド・レンジのユニットの働きを切り替えられるので、セッティングもやりやすいですしね」シュムック氏はベルリンの現状について「ここはアーティストが多く音楽シーンもダイナミックで創造性にあふれていますが、その中で優秀な人材を探すのは難しい」と語る。「人材発掘のため、ここで“Open Mic”というイベントを毎月開催しており、先日開催した2周年記念イベントには1,000人が集まりました。今後も多くのメーカーとコラボレーションしていきたいです。最終的には、ここで音楽を経験し、スターに会い、何かが起きるというnhowのイメージを作り上げることを目指しています」
Line Up
EVE AUDIOの現行ラインナップ。フルレンジ・モニターのSCシリーズとサブウーファーのTSシリーズがあり、SCシリーズは2ウェイから4ウェイのモデルをそろえる。リボン・ツィーターは各モデル共通で、最小の2ウェイ・モデルSC204は4インチ・ウーファーを搭載、最大の4ウェイ・モデルSC408は8インチというように、各モデルの番号はユニット数とウーファーの口径で表されている。全機種にDSPが搭載されており、フィルターなどの設定は各モデルに最適化されている